岡本かの子/快走 過去世 扉の彼方へ<あらすじ 要約>計18冊

岡本かの子/快走 過去世 扉の彼方へ<あらすじ 要約>計18冊

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岡本かの子 (おかもと・かのこ)
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或る男の恋文書式 
岡本かの子の 短編集です  月の雫が太く下界に直立したようなあの電柱の下に立ち止まって、いつまでも・・・・・

男と別れた女性が、その辛い心情を綴った美しいラブレター。と思いきや、どんでん返しのオチが待っています。 おもしろい作品です
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越年 
岡本かの子の 短編集です。同じ会社の男性社員・堂島にいきなり平手打ちされた加奈江。堂島が会社を辞めて転職したと知った彼女は、堂島に仕返しするため、彼が飲み歩く銀座を探し回ります。「なぜ、私を撲ったんですか。一寸口を・・・・・

それも社を辞める時によって撲るなんて卑怯じゃありませんか」。堂島はなぜ加奈江を撲ったのか  男女の感情を鮮やかに描いた好作品です。
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雛妓 
岡本かの子の 短編集です。死んだ父親の通夜明けの春の宵に、画家である主人の逸作に連れられ、不忍池の料亭にやって来た歌人・かの子。父親が背負い残した一族の“家霊”に苦悩する彼女は、自分と同じ名前である雛妓(おしゃく)の無邪気さに親しみを覚えます。雛妓のかの子と親子の・・・・・

「かの子さーん」、「かの子さーん」。家霊をテーマに小説を書いています
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快走 
岡本かの子の 短編集ですある日の晩、誰もいない多摩川の堤防の上を思いっきりランニングしてみた道子は、溌剌とした快感を覚え、その日からやみつきになってしまいます。そんなこととは知らない両親は、毎晩出掛ける道子のことが心配になって。「道子は・・・・・

毎晩 お湯に行きたがって、行ったが最後一時間半もかかるんですからね」。家族の幸福の風景を描いて微笑ましいです。ベストセラーで有名です おもしろくて、いい作品です

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過去世 
岡本かの子の 短編集です。退職官吏Yの家に寄寓し、Yの二人の息子と出会った雪子だが。女嫌いで親譲りのエゴイズムである弟・梅麿と、おどおどした性格で父と弟から召使のように扱われる兄・鞆之助(とものすけ)の加虐性と被虐性の恍惚です。「兄さん、僕に出して・・・・・

「無理をいうなよ。だめだよ。男になんか、縫えなんて」。 効果的な最後シーンによって印象的な作品に昇華しました。

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家霊 
岡本かの子の 短編集です。病気の母親に代わって、どじょう屋の女主人になった くめ子。溜まったツケも払わず、どじょう汁を註文してくる彫金師の徳永老人に迷惑を感じている彼女でしたが、母親と徳永の救いの関係をはじめて知ります。「妙だね、この家は、おかみさんになるものは代々亭主に放蕩されるんだがね。あたしのお母さんも、・・・・・

そこをじっと辛抱してお帳場に噛りついていると、どうにか暖簾(のれん)もかけ続けて行けるし、それとまた妙なもので、誰か、いのちを籠めて慰めて呉れるものが出来るんだね」。心に残る名作品です。女主人公の姿を描いた感動作品です。
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気の毒な奥様 
短編集です。映画館に一人の女性が駆け込んで来ました。子供が急病なので夫を至急呼び出して欲しいといいます。しかし愛人と一緒に映画を見に来ている夫の恥になるから、名前は・・・・・

案内係の少女は機転を利かせます。オチが楽しいユーモア・ショートストーリーです。

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現代若き女性気質集 
岡本かの子の 短編集です「結婚  そうね。出来るだけ我儘をさして呉れる男か、それとも絶対的に服従させられる強い男とならばね」 「ラグビーを見ているときだけ男の魅力を感ずる」 「流行なんてつまんないと思うんだけれど、やって・・・・・

「いざとなって決心すりゃ、裸のモデルにでも平気でなれますわ。そして食べて行きますわ」。 現在でも 充分 共感できる名文句集です。

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渾沌未分 
岡本かの子の 短編集です。東京・下町の水泳場で旧式水泳(青海流)を教えている“旧東京人”の父・敬蔵と一人娘・小初でしたが、都会文化の猛威にさらされ、すっかり零落してしまいました。都会の真中で生きていくため、若い薫(薄給の会社員の息子)との初恋を軽蔑し、五十男の貝原(材木屋の小富豪)に望みを・・・・・

「泳ぎつく処(ところ)までどこまでもどこまでも誰も決してついて来るな」。渾沌未分の世界(水中の世界の自由)に深入していく女主人公の姿を劇的に描いた女性解放作品です。緻密な描写に目をはります。

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鮨 
岡本かの子の 短編集です。常連客である年配の紳士・湊(みなと)に好意を寄せる鮨屋(すしや)「福ずし」の看板娘・ともよ。鮨を食べるということが自分の慰みになるという湊が語る思い出話です。没落していく家に生まれた故か、偏食で、食事が苦痛となった子供のために、手製の鮨を握って食べさせる母親の愛情。幻想の中のもう一人の母と、目の前で鮨を握っている母が・・・・・

「すし  すし」、「では、お客さまのお好みによりまして、次を差上げまあす」。鮨にまつわるちょっといい話の作品です。ほのぼのします。

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蔦の門 
短編集です。孤独は孤独と牽(ひ)き合うと同時に、孤独と孤独は、最早(もは)や孤独と孤独とでなくなりました。結婚に二度も失敗し、薄倖な身の上の老女・まきと、早くに両親を亡くし、伯母夫婦に気兼ねしながら生きる少女・ひろ子。
「では、おばさん行って来るわ」。突っかかるような言い方のまきと、早熟(ませ)た・・・・・

少し年の隔たった母子のようで、素敵に心暖まります。好作品です。

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とと屋禅譚 
岡本かの子の 短編集ですこの頃、商売がうまく行かなくなり、気持ちが滅入っている魚問屋の主人・国太郎。今どきの商人になればよいとわかっていながら、大ふうなお坊ちゃん気質を捨てることができないです。色里・吉原へ出掛けた国太郎は、吉原へ“修行”にやって来た おかしな若い僧と・・・・・

「遊ぶって、あなたが遊びなさるのですか、その坊さんの服装で」。この坊さんが高僧となったのも十分、頷けます。

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扉の彼方へ 
岡本かの子の 短編集です  学者だった亡父の元助手で、自分よりずっと年の離れた中年男・及川と結婚した私。前妻が他の男と情死してしまった過去を持つ及川と、青年・珪次との同棲(初恋)が破綻した私でした。結婚前のお互いの辛い悲しい思い出です   
その胸の扉を開いて、二人は・・・・・

  「二人ともこれで実はそうとう深傷(ふかで)を負ってるのだなあ」。“蒟蒻(こんにゃく)”が取り持つ縁といった感じで、とってもいいお話です。

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花は勁し 
岡本かの子の 短編集です。活花の師匠・桂子と肺病の画家・小布施  同志になりえなかった二人の経緯と、小布施とせん子(桂子の姪)の関係を知った桂子の心境。「君と僕は昔から本当は愛し合っていたのだ」、「私も急に・・・・・

貞操を花に捧げると誓った女主人公の、花のように勁(つよ)い逞しき生命力を描いた女性小説作品です。

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娘 
岡本かの子の 短編集です  鼈甲屋の一人娘で、ボート競技の選手である室子。水上の世界に日常では味わえない法悦を感じている彼女は、友人の皆が結婚する中、自分だけが独身であることも気にしません。「今まで、自由で、独自で自然であった自分が手もなく・・・・・

添えものにされ、食われ、没入されてしまうのだ」。生まれて初めて愛の力に射すくめられた女主人公の姿を鮮やかに描く作品です。

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鯉魚 
岡本かの子の 短編集です 応仁の乱で行き場を失った武将の娘・早百合姫を助けた臨川寺の沙弥・昭青年。彼女に食事を運ぶ彼でしたが、僧たちに見つかってしまいます。
「昭公が一緒に居たのは、確とおなごかな。鯉魚をおなごと・・・・・

悟りの決定的瞬間が味わえます

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老妓抄 
岡本かの子の 短編集です。発明で金儲けする夢を持つ快活な青年・柚木(ゆき)の後援(パトロン)を買って出た老妓・小その。彼女のお陰で幸福な生活を送る柚木でしたが、放胆な飼い方をする老妓の目的に疑問を抱くようになります。「そんな純粋なことは今どき出来もしなけりゃ、在るものでもない」。
彼女に出来なかったことを自分にさせようとしていると知った柚木は、老妓から逃げます。「おっかさん・・・・・

老妓という存在から脱し得られない青年の滑稽な姿を、老妓の養女・みち子との関係を交えて描く作品です。

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老主の一時期 
岡本かの子の 短編集です。一代で巨万の富を築いた山城屋の主人・宗右衛門だが、二人の娘が病気で足に障害を負い、妻・お辻が心臓病で死んでしまいます。菩提寺である泰松寺に通って、こうなった業因を探る宗右衛門だが、荒廃と疲労が極度に達してしまいます。
娘達への回避の念、家業に対する倦厭の情、女菩薩の・・・・・

「では、御老師、私はどういたしたらその業とやらが果せましょうか」。ラストシーンの老師は、とても為になり、有り難いです。

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