谷崎潤一郎(たにざき・じゅんいちろう)/痴人の愛 卍(まんじ) 他 <あらすじ 要約>計5冊

谷崎潤一郎(たにざき・じゅんいちろう)/痴人の愛 卍(まんじ) 他 <あらすじ 要約>計5冊

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谷崎潤一郎 (たにざき・じゅんいちろう) 
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春琴抄 
中編。幼少時に失明し、琴曲の師匠となった大阪の旧家の娘・春琴。 美人でしたが、驕慢で、気位が高く、我がままな性格の春琴に忠実に仕えて、彼女に打たれることに喜びを感じながら、身の回りの世話をする奉公人・佐助。二人は夫婦同然の関係になりながらも、「佐助」、「お師匠様」と呼び合い、主従・師弟の関係を崩しません。不幸にも、春琴の身に第二の災難が降りかかった時、佐助は。「嗚呼(ああ)此れが本当にお師匠様の住んでいらっしゃる世界なのだ。此れで漸(ようや)くお師匠様と同じ世界に・・・・・

著者が得意なマゾヒズムの、凄絶なる愛の世界を描いています。
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少年 
谷崎潤一郎の 短編集です。小学校の同級生・塙信一の家に遊びに行った私。学校では卑屈で意気地なしの信一でしたが、家では姉の光子や餓鬼大将の仙吉をいじめていました。毎日色々な趣向を凝らしては乱暴な遊びに耽ける少年たち。光子に誘われ、夜の塙家の西洋館に忍び込んだ私でした。「栄ちゃん、もう此れから信ちゃんの云う事なんぞ聴かないで、あたしの家来にならないか。いやだと云えば彼処にある人形のように、お前の体へ・・・・・

これぞ健全なる少年少女の姿だ  最高に興味ぶかい官能ホラー小説です。
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痴人の愛 
谷崎潤一郎の長編集です。
浅草のカフェの女給だった、無邪気であどけない日本人離れした顔立ちの少女・ナオミに惚れた電気会社の技師である青年の私でした。ナオミを教育し、立派な婦人に仕立てたいと考えた私は、彼女を引き取って、大森にある一軒家を借りて、一緒に住み始めます。籍を入れて夫婦になった二人は、アトリエだった家で、ままごとのような自由気ままな生活を送ります。
ナオミに英語や音楽を習わせる私でしたが、思惑に反して、彼女は傲慢で我が儘で己惚れの強い悪女に育ってしまいます。ナオミが、男友達である慶応の学生・浜田や熊谷などと関係していると知った私は、ナオミを家から追い出しますが、すぐに彼女が・・・・・

美少女の魔性的な魅力の前に完全服従するに至るM男の告白を描いて、未だ新鮮さを放つ最高傑作のひとつです。
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猫と庄造と二人のおんな 
谷崎潤一郎の長編集です。
魚を口移しで与えたり、おならを嗅ぎ合ったり、愛猫のリリーをむやみに可愛がる夫・庄造に我慢がならなくなった妻・福子は、リリーを庄造の前妻である品子のところへ遣ってしまいます。庄造に未練のある品子は、リリーを利用して庄造の家に戻ろうと目論みます。
「君、まだあの猫のこと忘れられしまへんのんか。」
「何で忘れまっかいな。あれから此方(こっち)、品子の奴(やつ)がいじめてエへんやろか、あんじょう懐(なつ)いてるやろか思うたら、もうその事が心配でなあ、毎晩夢に見るぐらいだすねんけど、福子の前やったら、そんなことちょっとも云われしまへんよってに、・・・・・

人間に対して感じたことのない情愛を、猫に対して感じてしまう可笑しさと哀しさです。一匹の猫を巡って展開される男と女の愛憎をユーモラスに描いたすぐれた作品です。
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卍(まんじ) 
谷崎潤一郎の長編集です。
我儘で奔放な性格の有閑マダム・柿内園子は、絵を習いに技芸学校に通いますが、船場の問屋の娘・徳光光子と同性愛の噂になってしまいます。
すっかり仲良くなった二人は、噂が事実となり、交際するようになります。しかし、光子には、結婚の・・・・・

高慢なる女王様の本性を持つ光子を巡る奇妙な三角関係は、園子の夫・孝太郎をも巻き込んだ四角関係の様相を呈します。
綿貫の身体的秘密と着物盗難事件の真相、光子の妊娠・堕胎騒動と狂言心中の顛末。計略と邪推、嫉妬と崇拝の行き着く先は    変態小説の傑作作品といわれています。
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