国枝史郎(くにえだ・しろう)/怪しの館 大鵬のゆくえ 弓道中祖伝<あらすじ 要約>計31冊

国枝史郎(くにえだ・しろう)/怪しの館 大鵬のゆくえ 弓道中祖伝<あらすじ 要約>計31冊
 

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国枝史郎(くにえだ・しろう) 
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赤格子九郎右衛門の娘 
国枝史郎の短編集です。父・九郎右衛門(海賊・赤格子)を獄門に掛けた志摩卜翁(元・大阪町奉行)に復讐するため、敢えて卜翁の愛妾となったお菊(盗賊の頭領)でした。お菊の正体を知った小間使い・お袖の殺害を命じられた手下の忠蔵でした。「変心しないその証拠に今夜お袖を・・・・・

忠蔵とお袖の因果な身の上と悲しすぎる運命です。長編で読みたいと思わせる内容。エンディングが楽しめる一級の時代小説作品です。

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怪しの者 
国枝史郎の短編集です。乞食に身をやつし、隠密活動をしている尾張藩士・旗頼母(はた・たのも)と、職人風の男に身をやつし、江戸からやって来た隠密・鶴吉との対決でした  「汝(おのれ)この場で消えてなくなれ」、「ナ、なんだと」、「汝(おのれ)に生きて・・・・・

。江戸幕府(八代将軍・吉宗)に対して反感を抱いている尾張家・徳川宗春の秘密とはなんでしょう 

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怪しの館 
国枝史郎の短編集です。何やら誘拐を企てている謎の浪人・花垣志津馬、何やら妻の呪縛にもがき苦しんでいる財産家・三蔵琢磨。琢磨の娘・葉末を助けた剣客・結城旗二郎は、すっかり琢磨に気に入られ、屋敷に泊まることになります。「どっちみち怪しい屋敷らしい。思い切って様子を探ってみよう。一室に籠もって酒を飲んで、事件の起こって来るやつを、待っているのは消極的だ。こっちからあべこべに出かけて・・・・・

事件の原因となった「四ヵ条」の内容とは  謎のある展開が楽しい作品です。

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犬神娘 
国枝史郎の短編集です。幕府の捕吏から逃れるため、薩摩の西郷隆盛らと共に京都を脱出した勤王討幕の志士・月照(清水寺成就院の住職)。何とか無事に福岡までやって来た月照だが、犬神(いぬがみ)の娘・お綱の法力によって、犬神の屋敷に監禁されてしまいます。「でも犬神もこんなご時勢には、ご祈祷ばかりしていたんでは食えないのさ。犬の字通り隠密(いぬ)にだってなるのさ。取っ付きとさえ云われている犬神、こいつが隠密(いぬ)に・・・・・

 西郷と入水する月照の運命を描いた幕末時代小説です。

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鸚鵡蔵代首伝説 
国枝史郎の短編集です。旧家・納谷家に嫁した姉・お篠に会いに来た少年・菊弥だが、「代首(かえくび)」と呼ばれる生首の人形を洗っている妖怪じみたお篠の姿を見て、肝を潰します。病気養生のため長旅に出たという納谷家の主人・雄之進。返辞を返してくる怪体(けったい)な土蔵「鸚鵡(おうむ)蔵」の不思議、お供えが消えてなくなる「飯食い地蔵」の謎の正体とは  「首がない  妾(わたし)の首がない  男ばかりの首の中に、たった一つだけある女の代首  それが妾に・・・・・

旦那様が、お篠、これはお前の首じゃと云われ、日頃いっそう大切にお扱い下された首  その首がないのじゃ 」。古い伝統を持った旧家の秘密を描いたホラー・ミステリー作家です

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大鵬のゆくえ 
「吉備彦の素敵もない財宝は六歌仙の絵巻に隠されている。絵巻の謎を解いた者こそ巨富を得ることが出来るだろう」。鷹狩の最中、大御所・徳川家斉を激怒させた一羽の化鳥・大鵬を、見事、吹矢で射た貧乏旗本・藪紋太郎。画家・谷文晁(ぶんちょう)の邸から出立した怪しい駕籠を、好奇心から尾行する紋太郎だが。果たして重そうな荷物の・・・・・

  六歌仙の絵巻を盗み集める「貧乏神」と名乗る奇怪な老人と、美しい小間使い・お菊の意外なる正体とは  貧乏神のお蔭で出世していく紋太郎の姿や、谷文晁の邸に集結した「百鬼夜行」の秘密、欲心をあざ笑うようなラストなど、ストーリーが興味ぶかい展開です。六歌仙の絵巻にまつわる伝説の顛末と、奇怪な巨大な鳥・大鵬(おおとり)の行方を巡る騒動を軽快なタッチで描いたエンターテイメント時代小説です。

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大捕物仙人壺 
若旦那に見初められ、日本橋の酒屋「伊丹屋」の養女となった女軽業師のお錦(きん)。
「これをお前に遣ることにします。大事にしまっておくがいい。そうして俺が死んだ後で、窃(こっそ)りひらいて見るがいい。お前を幸福(しあわせ)にしようからな」。
見知らぬ老人「爺つあん」から謎の手箱をもらったお錦だが、香具師(やし)の親方「釜無(かまなし)の文(ぶん)」に捕まってしまい、お錦から手箱を預かった・・・・・

「この壺には世にも怪しい、一つの伝説がまつわって居ります。よろしければお話し致しましょう」。「仙人壺」を巡る騒動を幕末の騒乱の中に描いた時代小説です。お錦の出生の秘密や勝海舟の活躍など盛り沢山の内容で楽しい作品です。

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十二神貝十郎手柄話 
国枝史郎の長編集です。
与力・十二神(オチフルイ)貝十郎の活躍を描いた捕物帳です。「館林様」こと遊侠・松平冬次郎や、六人の盗賊たちを絡ませながら描いています。

「第1話・ままごと狂女」恋人・お品が松本伊豆守の妾にされたと知った旗本の次男・新八郎。果たしてお品は、賄賂政治で悪名高い老中・田沼主殿頭(とのものかみ)の・・・・・

「第2話・現妖鏡」真夜中になると急に胸の痛みに襲われる奇病に取りつかれた柏屋の娘・お島。叔父・勘三の企みと、小間使い・お菊、祈祷師・大日坊の正体とは・・・・・ 

「第3話・海外の歌」妖艶な女・お蝶と出会った塩屋の倅・京一郎。海の歌を途中まで歌うお蝶。歌の続きが分かれば大金が得られるといいます。京一郎の父・嘉右衛門が・・・・・

「第4話・木曽の旧家」誘拐されそうになった旧家の娘・お三保を助けた与力・貝十郎は、征矢野(そやの)家の秘密を知ります。お三保の恋人 鏡太郎と謎の女・お豊の・・・・・

「第5話・妖説八人芸」名古屋にやって来た「館林様」こと遊侠・松平冬次郎が、浪人たちを集めて何やら大事を起こそうとしていると知った与力・貝十郎でした。「館林様」に計画を諦めさせる意表の方法とは 

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仇討姉妹笠 
国枝史郎の長編集です。
廻すと隠語(かくしことば)が現われる不思議な独楽(こま)を手に入れた美貌の青年武士・山岸主税(ちから)だが、そのために怪しの浪人・飛田林覚兵衛の一味に命を狙われてしまいます。

主家(田安家)で起った盗難事件の内通者が、恋人・お八重だったことにショックを受ける主税でした。腰元・お八重の素性と、二人の恋の行方とは 
曲独楽使い・浪速あやめと女猿廻し・お葉双子の姉妹(きょうだい)が抱く怨恨(うらみ)  豪商・淀屋が遺した巨財の隠し場所を探る悪家老・松浦頼母  悪漢毒婦である主馬之進(頼母の弟)と松女(姉妹の母)の意外な事の真相 
「淀屋の独楽を巡って、幾十人の者が長の年月、悲劇や喜劇を起こしたことか。でも、いよいよ淀屋の独楽が、一所に・・・・・

三個(みっつ)の独楽を巡る因果応報に巻き込まれた青年武士の活躍を描いた時代小説です。多彩な登場人物たち、何度も生き返る三下悪党・勘兵衛や、主税を助けるお葉の飼猿・藤八の活躍など、興味ぶかい作品です。

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弓道中祖伝 
国枝史郎の短編集です。「宿をお求めではござらぬかな、もし宿をお求めなら、よい宿をお世話いたしましょう」。応仁の乱で 荒廃した京都にやって来た遊歴の若武士・日置正次(へき・まさつぐ)。老人にすすめられるままに、荒れ果てた館を訪れます。「これはどうやら無住の館らしい。あの老人は、こんな所を・・・・・

弓術「日置流」の創始者・日置弾正正次を描いた作品です。

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戯作者 
国枝史郎の短編集です「こいつアどうも驚いたな。いや実に甘(うま)いものだ。この力強い文章はどうだ。まず一流という所だろう。三十年五十年経った後には山東京伝という俺の名なんか口にする者さえなくなるだろう。これこそ本当に天成(うまれながら)の戯作者とでもいうのであろう」。戯作者・山東京伝に弟子入りした曲亭(滝沢)馬琴は、京伝の代作がヒットし、第一人者となります。
いよいよ「八犬伝」を書き始める馬琴だが・・・・・

十返舎一九も登場します  名作「南総里見八犬伝」の誕生秘話を描いた作品です。 

甲州鎮撫隊 
国枝史郎の短編集です。病気(肺病)のため、甲州鎮撫隊(新選組)に参加できず、江戸で静養している隊士・沖田総司。浪人の斬り合いに巻き込まれた女・お力を匿(かくま)ってやった総司は、彼女の介抱を受けます。近藤勇の命でやむなく別れた・・・・・

。本能そのもののような女・お力の意外なる正体とは  幕府の崩壊を背景に、沖田総司の最期を、彼を巡る二人の女性の姿を通して 描いた時代小説の秀逸作品です。

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郷介法師 
国枝史郎の短編集です。秀吉や五右衛門も一目を置くほどの盗賊・磔(はりつけ)柱の郷介。気味の悪い磔柱を使って、相手を不安と恐怖に陥れ、金品をせしめる郷介の手口でした。なぜ彼は、磔柱を威嚇の道具として使うのか  「案じた通りだ。俺は・・・・・

山本勘助を彷彿とさせる郷介の知謀ぶりが見事に興味ぶかいです。「世間で何が恐ろしいかと云って、我無洒羅(がむしゃら)な奴ほど恐ろしいものはない」。

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紅白縮緬組 
国枝史郎の短編集です。白縮緬(しろちりめん)で覆面をした怪しい十人の武士。深夜に町家へ押し入り、押し借りする白縮緬組の御殿女中の正体と、そんな白縮緬組を懲らしめる紅縮緬組の杜鵑之介(ほととぎすのすけ)の正体とは  
「お犬様を畜生とは吠(ほざ)いたりな 」、「畜生で・・・・・

元禄時代の江戸を舞台に、吉原の遊女・浦里を身請けする豪商・奈良屋茂左衛門の話を絡めながら描いています。

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猿ヶ京片耳伝説 
国枝史郎の短編集です。耳の痛みに耐え切れなくなった松乃は、猿ヶ京の温泉宿・桔梗屋で一泊することになります。
「こんな気の毒な男があるのですよ」。女の身勝手な過失が原因で、片耳を切り取られてしまい、その後、大泥棒「三国峠の権」になってしまった男の話を、湯治客から聞いた桔梗屋の娘・お蘭。明るく心の綺麗な美少女・お蘭が入る湯殿に、突如現われた男の正体は  「あたし客商売の温泉宿(ゆやど)の娘でしょう。ですから、悪い人かいい人か、贋物か本物かってこと一眼見ればわかるわ」、「なるほどなア、それで俺(おい)らを」、「いい人だと睨んだのよ。だってそうでしょう、女と一緒にお風呂にはいるの恥ずかしがったり、顔見られるの恥ずかしがって、頬冠り取らなかったりするあなたですものね。恥ずかしがり屋に・・・・・

救いを描いた感動作品です。

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神州纐纈城 
国枝史郎の長編集です。
無数の人間が捕えられている。彼等は天井へ釣るされて締木で生血を絞られる。その血で布が染められる。その城の名は纐纈城(こうけつじょう)。
布売りの老人から、類い稀れなる美しい紅巾「纐纈布(こうけつぬの)」を買った武田信玄の家臣・土屋庄三郎。
「兎に角(とにかく)一度でも俺の眼に父上の御名の現れた布(きぬ)だ。多少の縁が無いとは云えまい」。

信玄の命で、従兄である庄三郎の行方を捜す無邪気な少年武士・高坂甚太郎だが、本栖湖の水城(みずき)「纐纈城」に捕えられ、賓客(捕虜)となってしまいます。
旅人を竈へ入れて蒸す殺人鬼・三合目陶物師(剣客・北条内記)、「極重悪人の新面(にいおもて)」を刻むことが心願の美人の面作師・月子、人間の五臓を取って「五臓丸」という薬を製造している上杉家の・・・・・

触れる者の命を瞬時に奪ってしまう纐纈城の仮面の城主の正体と、懺悔を説く富士教団神秘境の教主・光明優婆塞(うばそく)の正体とは 
戦国時代の甲府と富士山麓を舞台に、宿命を背負った人々の苦悩を、仏教的見地によって重厚に描いた伝奇小説。未完の大作です。

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生死卍巴 
国枝史郎の長編集です。
「山岳へおいでなさいませ。何か得られるでございましょう」。謎の巫女・千賀子が占った運命に導かれるように、叔父・覚明(かくめい)と従妹・浪江が暮らす飛騨の山中に足を踏み入れた若侍・宮川茅野雄(ちのお)。
飛騨の地に回教を密修している二つの郷丹生川平(にゅうがわだいら)と白河戸郷(しらかわどごう)の対立・争いに巻き込まれてしまった茅野雄は、生死の境を卍巴(まんじどもえ)と・・・・・

神殿の中にある“高価な品物”を狙って、一所に打ち揃う登場人物たち茅野雄に斬り掛かる浪人・醍醐弦四郎、兇悪の蒐集家・松平碩寿翁(せきじゅおう)、富豪商人・松倉屋勘右衛門と贅沢三昧の妻・お菊。
巫女・千賀子が云った「何か」を、果たして茅野雄は得ることができるのでしょうか  そして、その「何か」とは一体どんなものなのか  ご神体を巡る人間の慾と超人の神性を描いた伝奇小説です。

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善悪両面鼠小僧 
国枝史郎の短編集です。熊本藩の江戸下邸に忍び込んだ盗賊・鼠小僧だが、大名・細川越中守の娘・乃信(のぶ)姫にすっかり見惚れてしまいます。「ええどうでえ美人じゃねえか。どうもこいつア耐(たま)らねえな。クッキリと白い頸からかけて半分お乳が見えるまで寝巻から抜いだ玉のような肌。まずブルッと身顫いしたね」。賊の正体が魚屋の主人・和泉屋次郎吉だと見抜いた市中見廻りの・・・・・

色黒の醜男と色白の美男、鼠小僧は二人いる 善と悪、人間の持つ二面性を鼠小僧の苦悩を通して描いた時代小説です。

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前記天満焼 
国枝史郎の長編集です。
窮民救済のため富豪の金品を奪うという大塩平八郎(中斎)の不法な企てを、何とか食い止めたい中斎の門弟・宇津木矩之丞(のりのじょう)。
天保の大飢饉という社会情勢を背景に、・・・・・

「ぶちこわし」を引き起こす吉利支丹信者のお久美、豪商・加賀屋の主人の失踪事件を追う岡引・松吉(丁寧松)などの面々が絡み合い繰り広げる娯楽時代小説です。

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染吉の朱盆 
国枝史郎の短編集です。「ああもう一度あそこへ行きたい」。若い者が無暗とさらわれ、帰って来ると衰弱死してしまうという難事件に頭を悩ましている岡引(おかっぴき)の岡八でした。同じ岡引の半九郎から、十年前の事件(不可解な連続辻斬りと、名工・染吉の衰死)の謎解きを挑まれた岡八は、「染吉の朱盆」ばかりを・・・・・

 「やい、手前達、途法もねえ馬鹿だ  俺を誰だと思っている  皆川町の岡八だぞ 」。十年前の事件以来空き家になっている「お縫様屋敷」の秘密など、事件の意外な真相を描いた作品です
傑作捕物帳です。

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高島異誌 
国枝史郎の短編集です。「一刻も早く追い出しめされ」という老医師・千斎の忠告にもかかわらず、奇怪な老僧を一泊させた諏訪高島の郷士・本条純八。思いがけず老僧から巨財を贈わった純八は、一朝にして王侯の生活に達するのだが。「御身の上に恐ろしい災難が振りかかっても宜しゅうござるか 」、「他人に好意を尽くすことが、何んの災難になりましょうぞ 」、「その好意もよりきりじゃ。悪虫妖狐魑魅魍魎(ちみもうりょう)に、何んの・・・・・

。妖怪に魅入られた男の数奇な運命を、敵討ちの要素も加味して描いた怪異ばなしです。

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血ぬられた懐刀 
国枝史郎の短編集です。恋人・萩野にフラれてしまった若侍・北畠秋安は、北国の名家の娘・お紅(べに)と出会いますが、関白・豊臣秀次の寵臣・不破小四郎にお紅を浚われてしまいます。お紅を救い出すため、聚楽第(じゅらくだい)に潜入した秋安でした。「九燿の紋の付いた懐刀だ  血にぬれている、血にぬれている  ああお紅殿は自害なされた 」。昔の恋を思い断ち、新しい恋に生きようとします、悲しみと喜びの恋物語。太閤・秀吉との不和で窮地に陥り、狂乱する秀次(殺生関白)の姿・・・・・

「おいで下され  おいで下され  そうして妾(わたし)を愛撫して下され 」。石川五右衛門も登場します。

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血曼陀羅紙帳武士 
国枝史郎の長編集です。
「父の敵、自分の怨み、汝(おのれ)左門、討たいで置こうか 」。敵(かたき)である剣客・五味左門と対決する若侍・伊東頼母(たのも)だが、蜘蛛の巣のように紙帳(しちょう)を操る左門に圧倒されてしまいます。かつて浪人組の頭目だった義兄弟・有賀又兵衛と来栖勘兵衛。今は薪左衛門と松戸の五郎蔵と名乗る二人が、二十年前、府中の道了塚で決闘した動機とは  
幻の名刀・天国(あまくに)を巡り、血の争いを演じる登場人物たち。光明(ひかり)と暗黒・・・・・

  タイプの異なる二人の女性(栞(しおり)とお浦)の純情に触れ、彼の心が「悪」から「善」に変化する様子が感動的で素晴らしいです。人生の宿命と曼陀羅の啓示を描いた迫力ある剣豪小説です。

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天主閣の音 
将軍継嗣問題のしこりから、江戸幕府(八代将軍・吉宗)に対して反感を抱いている尾張藩主・徳川宗春。活達豪放な宗春は、妖艶な女役者・半太夫を愛妾として囲い、不可思議な機械を作る香具師(やし)・多兵衛を気に入り、名古屋城内を・・・・・

温室で毒草を栽培している謎の老人や、隠密として名古屋入りした江戸町奉行・大岡越前も登場して繰り広げられる密計の数々。 登場人物たちの意外な正体(素性)が明らかになるドンデン返しのエンディングが楽しい作品です。

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銅銭会事変 
国枝史郎の短編集です。恋人である茶屋娘・お色が、余儀なく老中・田沼意次に身請けされると知り、気落ちする旗本の次男・白旗弓之助。「田沼の所業に相違ない。悪い奴だ、不忠者め  その上俺の情婦(おんな)を取り、うまいことをしやがった」。秘密結社「銅銭会」によって将軍・徳川家治が誘拐されたと知った弓之助でしたが、女勘助ら名盗賊たちに・・・・・

弓之助とお色の恋の行方と将軍誘拐の真相を軽妙な筆致で描いた楽しい作品です。

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南蛮秘話森右近丸 
国枝史郎の長編集です。
「南蛮寺の謎、手に入れんとする者、信長公一人(いちにん)にては候(そうろう)まじ、我等といえども虎視耽々、尚その他にも数多く候」。
織田信長の命を受け、「唐寺の謎」を追跡している信長の家臣・右近丸(あの森蘭丸の従兄弟)。果たして彼は、猪右衛門(ししえもん)から人形を奪い返して、「唐寺の謎」を・・・・・

  そして、そもそも「唐寺の謎」とは一体どういう性質のものなのか 

信長を憎む不思議な巫女・唐姫(からひめ)や、民弥をかどわかす人買いの頭目・桐兵衛なども絡み、「唐寺(南蛮寺)の謎」を巡って乱闘を繰り広げる多彩な登場人物たちです  とてもいい時代小説です。

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二人町奴 
国枝史郎の短編集です。。兄弟分である二人の町奴(緋鯉の藤兵衛と釣鐘弥左衛門)の男だてを、二本立てのような構成で描いた作品です。旗本奴(はたもとやっこ)の十郎左衛門に、親分・藩隨院長兵衛を殺された町奴(まちやっこ)・緋鯉の藤兵衛。「強きを挫き弱きを・・・・・

将軍・徳川綱吉と老中・松平伊豆守に面会した藤兵衛が披露した「放れ業」とは  短い作品ですが、強く印象に残る作品です。
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日置流系図 
国枝史郎の短編集です。夜な夜な弓弦(ゆづる)を買いに来る老武士の幽霊がでます。「どうも不思議だ。たしかここは柏屋という染め物店が・・・・・

旗本の次男・恩地主馬は、幽霊の正体を突き止めるため屋敷に潜入しますが、「日置流」の弓矢の凄まじさに、怖気をふるって逃げ帰ってしまいます。幽霊を怖がっていては勇者になれません。
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北斎と幽霊 
国枝史郎の短編集です。老中・阿部豊後守に絵をけなされた挙句、手直しするよう指図までされた幕府の御用絵師・狩野融川(かのう・ゆうせん)は、昔気質な性格から切腹してしまいます。融川の弟子だったこともある葛飾北斎は、豊後守から何でも好きな絵を描いてほしいと依頼されます。「いかにも・・・・・
貧乏時代の北斎の様子が興味深く描かれています。
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名人地獄 
国枝史郎の長編集です。
「うむ、とうとう見つけたぞ  今度こそは逃がしはせぬ  小梅で聞いた鼓(つづみ)の音  おのれ鼓賊(こぞく)  こっちのものだ 」。
鼓の音色によって金持ちの屋敷を探し当て、押し入るという一風変わった盗賊「鼓賊」を追跡する元の名与力「玻璃窓(はりまど)」の郡上平八だが、「鼓賊」にすっかり翻弄され、まいってしまいます。そんな中、将軍・徳川家斉(いえなり)から、海賊・赤格子九郎右衛門の探索を命じられる。
物事が退屈で仕方がなく、すっかり憂鬱になっている江戸の能役者・観世銀之丞。剣術の師匠・千葉周作に破門を言い渡されてしまった銀之丞は、銚子で禁制の巨船を建造している九郎右衛門の屋敷に、偶然の成り行きから・・・・・

追分節の名人だった兄・甚三を、浪人・富士甚内と遊女・お北に殺された馬子・浅間甚内の敵討ちの話も交えながら展開していく時代小説です。国定 忠次もいます

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八ヶ嶽の魔神 
国枝史郎の長編集です。
平安朝時代に起きた三角関係の悲劇。その悲劇から始まった「窩人(かじん)」と「水狐族(すいこぞく)」の種族と種族、宗教と宗教の争いに否応なしに巻き込まれていく主人公・鏡葉之助の宿命を描いた伝奇小説の秀作品です。
駿河守の参勤交代で、江戸へやって来た鏡葉之助は、内藤家の乗っ取りを企む森帯刀(内藤家の親類)、大槻玄卿(蘭医)、大鳥井紋兵衛(富豪)の三悪人を偵察するが、あっさり罠に掛かってしまい、毒草の肥料として薬草園に・・・・・

剣術の天才・葉之助の運命や如何に 
毒蛇を使った殺人トリック も盛り込みながら描かれる因果応報の世界感があります。 いい作品です

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