岸田国士(きしだ・くにお)/浅間山 記憶のいたづら 五月晴れ <あらすじ 要約>計12冊

岸田国士(きしだ・くにお)/浅間山 記憶のいたづら 五月晴れ <あらすじ 要約>計12冊

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岸田国士 (きしだ・くにお) 
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浅間山 
岸田国士の 短編集です。戯曲。浅間山の麓で土地開発をしている父・丹羽州太と、東京の青年と婚約した娘・二葉でした。温泉を掘り当てた州太は、事業が軌道に乗り始めたかと思われ、二葉も婚約者とうまくいっているかと思われました。「やっと、わかったわ。お父さんは、あたしを・・・・・

「そうだ。お前を一緒に連れて行きたいんだ」。上辺ではうかがい知れない、父娘の心の苦しみを描いた岸田国士の衝撃作品です。
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運を主義にまかす男 
岸田国士の 短編集です。戯曲。郊外の借家で共同生活している貧乏・無職な二人の青年・底野と飛田がいました。底野は「果報は寝て待て」主義(就職難を口実に部屋で寝転んでいる)を、飛田は「犬も歩けば棒に当る」主義(好機を求めて外を駆け廻っている)を・・・・・

「犬は、歩かずに寝ていても棒に当るんだ。万歳」、「果報は歩きながら待てだ。万歳」。訪問者とのやり取りも楽しい とても愉快なコメディー作品です。

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温室の前 
岸田国士の 短編集です。戯曲。温室で草花を作って暮らしている兄・大里貢と妹・牧子がいましhた。 友人・西原敏夫と高尾より江が遊びに来てくれたことで、変化のない兄妹二人っきりの暗い生活に希望の光が射します。「より江さんがおれの細君になり、西原がだよ、お前の旦那さんに・・・・・

そういう二組の新しい生活が始まるとしたら、お互に、よろこんでもいいじゃないか」。なんとも やるせない閉塞感を描いた現代的な作品です。

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髪の毛と花びら 
岸田国士の 短編集です。盲学校での勤務の傍ら、自宅で鍼(はり)とマッサージをしている盲目の青年・佐伯歳男と結婚した美津子がいました。小説の点字化に打ち込んでいる歳男の手伝いをするなど、張りのある生活を送る美津子でしたが、若い警官・藤岡重信が治療を・・・・・

 「一度だけ、ね、一度だけ」、「いけないわ、そんなことほんとに、それだけはゆるして」。見栄 と自惚れ屋の夫婦を描いた悲劇の作品です。
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記憶のいたづら 
岸田国士の 短編集です。妻の順子が急に産気づました。駅前の看板で「産婆大野登志」の名を知っていた鈴村博志は、急いで産婆さんに来てもらい、無事に妻は女児を出産します。鈴村にとって「オオノトシ」という名前は、小学生の頃に近所に住んでいた綺麗なお姉さんと同名であり、とても懐かしい思い出でした。「じゃ、その後、・・・・・

平穏でなく最後がドラマチックな 感じの作品です。

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喧嘩上手 
岸田国士の 短編集です。戯曲。展覧会に出品された漫画で、名誉を傷つけられた映画女優・天城更子がいました。漫画家・三堂微々を相手取り損害賠償の訴えを起こしますが、この事件を機に、三堂には漫画の依頼が殺到し、更子の映画も大ヒットします。「この次ぎ、こんなことをしたら、只ではすましませんぞ」、「へえ、何ができるの、あんたに 」、「また、漫画に描いてやる」、「ふん、もう免疫・・・・・

大変、面白く、素敵な喜劇作品です。

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この握りめし 
岸田国士の 短編集です。群馬県のN村に駐在している青年巡査の増田健次は、職務に忠実で、評判のいいお巡りさんです。旅館の主人から、一ヶ月もの間、無銭宿泊している貧乏画家・岡本弘について相談を受けた彼は、岡本に会って話を聞きます。「あの握り飯 おれはあんな握り飯がこの世の中に・・・・・

同い年である二人の青年の胸襟を開いた交流を描いた素晴らしい作品です。

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五月晴れ 
短編集です。戯曲。大庭悠吉と空子の夫婦喧嘩の仲裁に乗り出した仲人の児玉的外です。庭から大庭夫婦の会話を盗み聞きする児玉でした。「あの爺さんのお蔭で僕は君と仲直りをする気になったんだ」、「仲直りなんかさせてくれって頼みやしないわ」、「児玉のお爺さんもいってたが、君は少し我儘すぎるよ」、「あいつ、そんな・・・・・

“夫婦喧嘩は犬も食わぬ”とはまさにこのことです。とても楽しい喜劇作品です。

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沢氏の二人娘 
岸田国士の 短編集です。戯曲。一見地味な扮りをした姉は、何処となく朗らかで、妹はパッとした服装のわりに、冷たく取澄ましています。独身の二人の娘(悦子と愛子)に対して放任主義を取っている元副領事・沢一寿でしたが、愛子に深刻な問題が持ち上がります。「一に勇気、二にお金、三に時間よ。名誉心や、同情が・・・・・

放任主義の功罪と姉妹の確執を描いて、家族の問題を浮き彫りにした作品となっています。

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驟雨 
岸田国士の 短編集です。戯曲。妹・恒子が新婚旅行を途中で切り上げて帰って来たことに驚く朋子でした。デリカシィのかけらもない結婚相手に愛想を尽かしたのだといいます。離婚して実家に戻るという恒子を説得する朋子と朋子の夫・譲でした。 「こいつは、何かっていうと、僕の処へ来て、ねえ、あなた、・・・・・

恒子を心配する中、皮肉にも朋子と譲の夫婦の問題が浮かび出てくる展開が興味ぶかい作品です。

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それができたら 
岸田国士の 短編集です。養狐場を営む星住省吾でしたが、戦争の影響で毛皮が売れなくなり、廃業を決断します。仕事の能率が悪い雇い人・為木音也に同情してきた星住は、やむなく為木に解雇を告げました。 「わしは、なんと言われても、暇を出されるような、わるいことをした覚えはねえだ」、「わるいことをした、なんて、誰が言った  気に・・・・・

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菜の花は赤い 
短編集です。国文学者の奥山恩は、妻・凜子に新しい日本語の言葉使いを提案し、実行します。 「あなたの代りに、な、あたしの代りに、これは、ちょっと・・・・・
結婚生活十年の間に知らず知らず生じた夫婦のひずみでした。皮肉な最後の場面が興味ぶかい作品です。

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