芥川龍之介/芋粥 蜘蛛の糸 杜子春 他 計47冊 <あらすじ 要約>

芥川龍之介/芋粥 蜘蛛の糸 杜子春 他  計47冊
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芥川龍之介
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秋 
芥川 龍之介の短編集です。   恋人の俊吉を妹・照子に譲り、別の男と結婚して大阪で平凡な生活を送る信子でした。久々に上京した信子は、俊吉と照子の新居を訪れます。「私は照さんさえ幸福なら、何より難有いと思っているの。ほんとうよ。俊さんが照さんを愛して・・・・・

二人が行き違うラストシーンが印象に残る恋愛小説です。
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アグニの神 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   中国人の少女・恵蓮(えれん)の体へ「アグニの神」というインドの神を乗り移らせて、金儲けをしている魔法使の婆さんがいました。実は、恵蓮は、行方不明になっている日本人の少女・妙子で、婆さんの家に監禁されていました。

「アグニの神」に乗り移ったフリ・・・・・

上海を舞台としたホラー・サスペンス作品です。
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あばばばば 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   海軍学校の教師・保吉がよく利用する商店街です。無愛想な若主人に代わって、店の勘定台の後ろに坐るようになった娘じみた「はにかみ屋」の若い妻がいました。しかし何処へどうしたのか、ぱったりと女は・・・・・

「ゼンマイ珈琲 」。すてきな女性の変化にびっくりします。微笑ましい作品です。
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或る敵討の話 
芥川 龍之介の短編集です。   剣術の試合に負けた恨みから、熊本藩士・田岡甚太夫を闇討ちにしようとした剣術指南番・瀬沼兵衛でしたが、人違いで老人・加納平太郎を殺してしまい、逃亡します。

平太郎の子・求馬は、甚太夫や、・・・・・
苛酷なあだ討ちの世界を描いて印象に残る作品です。アクションのある歴史小説‎ です
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或日の大石内蔵助 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   細川家に 預り中の大石内蔵助は、討入を果たして満足に浸っていました。しかし、江戸中で仇討の真似事が流行っていることを知り、また、敵を欺くために京都で放埓の生活をした自身のことを ほめられた内蔵助は、後ろめたさ、寂しさ・・・・・。

討入り後の心境を描いた「忠臣蔵」作品です。
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芋粥 
芥川 龍之介の短編集です。   摂政・藤原基経に仕えている侍の中に、某(なにがし)と云う五位があった。風采が上がらず、皆からばかにされている赤鼻の五位でしたが、彼の人生唯一の望みは、芋粥(いもがゆ)を飽きるほど飲んでみたいということでした。「お望みなら、利仁がお飽かせ申そう」。

同僚の藤原利仁に誘われて、・・・・・。

期せずして欲望を満たしてしまった者が感じる心境を描いた名作です。ユーモア小説 です
ベストセラーで有名です おもしろくて、いい作品です
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馬の脚 
芥川 龍之介の短編集です。   脳溢血で死んだ北京の会社員・忍野(おしの)半三郎が生き返りました。しかも、死んでいる間に脚が腐ってしまったため、代わりに栗毛の馬の脚をつけられてしまいました。「まあ、災難とお諦めなさい。しかし、馬の脚は丈夫ですよ。

時々蹄鉄を打ちかえれば、どんな山道でも・・・・・

不条理な運命による家庭生活の崩壊を描いた悲喜劇の面白い作品です。ユーモア小説 です
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お律と子等と 
芥川 龍之介の短編集です。   病気の母・お律の死期が迫り、地方の高等学校に行っている兄・慎太郎に電報を出す弟・洋一でした。お律は父・賢造と再婚した後妻で、慎太郎はお律の連れ子でした。

「僕はお母さんが・・・・・

連れ子ゆえの母親に対する屈折した愛憎です。「お母さん。お母さん」。ラストシーンが心に残る作品です。
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奇遇 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   編集者に作品を催促され、「奇遇」という題の未発表原稿を読んでいる小説家がいました。それは、夢の中に出てくる美しい少女に恋をした青年・王生(おうせい)を描いた恋愛小説なのでした。「どうです、こんな調子は ・・・・・

「待って下さい。まだ後が少し残っています」。小説家と編集者の会話が漫才のようで面白い作品です。ユーモア小説 です
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煙管 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   金無垢の煙管(きせる)を愛用することによって、百万石を自慢している加賀藩主・前田斉広(なりひろ)は、江戸城の御数寄屋坊主・河内山宗俊に惜しげもなく煙管をあげてしまいます。

これを機に坊主たちが次々と煙管を・・・・・

「うん、煙管か。煙管なら、手前にくれてやらあ」。優越感や虚栄心なんてものは、煙草の煙の如くのようです。
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疑惑 
芥川 龍之介の短編集です。   講演のため大垣に滞在している倫理学者の私は、中村玄道という見知らぬ男の訪問を受け、悲惨な身の上話を聞かされます。濃尾の大地震で梁(はり)の下敷きになってしまった妻・小夜を、生きながら火に焼かれるよりはと思って、やむなく・・・・・

「では何故(なぜ)お前は妻を殺した事を口外する事が出来なかったのだ」。人間の心の底に潜んでいる怪物がいます。人間の精神のこわさを描き、暗然の気持ちになる作品です。
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戯作三昧 
芥川 龍之介の短編集です。   「八犬伝」を執筆している老年の戯作者・曲亭(滝沢)馬琴のある一日でした。画家・渡辺崋山との交流、銭湯で聞いた悪評、作者の名前を呼び捨てにする本屋・和泉屋市兵衛への不快感、弟子入り志望の身勝手な青年・長島政兵衛のエピソードなどを交えて、馬琴の創作の苦しみ・・・・・

どうして戯作者の厳(おごそ)かな魂が理解されよう」。孫の太郎の無邪気さに癒される場面が微笑ましい作品です。
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袈裟と盛遠 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   人妻である袈裟御前と関係を持った遠藤盛遠(文覚)でした。彼女を蔑み、憎みながら、それでも袈裟を愛している盛遠は、罪のない彼女の夫・渡(わたる)左衛門尉を殺すという呪わしい約束を・・・・・

夫の身代わりに立つという名の下に、自分のために愛する男に殺されるという道を選びます。男と女の愛憎をそれぞれの視点で描く作品です。
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好色 
芥川 龍之介の短編集です。   美人の侍従(じじゅう)に惚れた好色の天才・平中(へいちゅう)は、何十通もの恋文を書きます  相手にされず、彼女の部屋を訪ねますが、いいようにあしらわれてしまいます。侍従のことを思い切るためには、「たった一つしか手段はない。

それは何でもあの女のあさましい所を見つける事だ」と考えた平中は、侍従の局の・・・・・

百年の恋も一瞬の間に、煙よりもはかなく消えてしまう」。平中を翻弄し倒す侍従の小悪魔ぶりが面白い作品です。
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黒衣聖母 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   「この麻利耶(マリヤ)観音には、気味の悪い因縁があります」。ある悪意を帯びた嘲笑をたたえている観音像の「妙な伝説」とは  

新潟県のある町の稲見という素封家の八歳の男児・茂作が・・・・・

「せめては私の息のございます限り、茂作の命を御助け下さいまし」。運命に逆らうと大変なことになる作品です
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猿蟹合戦 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   おとぎばなし しか知らない読者は、悲しい蟹の運命に同情の涙を落すかも知れません。しかし蟹の死は当然なのです。それを気の毒に思いなどするのは、しょせんセンティメンタリズムに過ぎません。

怨敵である猿をやっつけた蟹や臼(うす)・・・・・

事件についての識者たちの意見や、蟹の遺族のその後が何とも面白いです。パロディー・ユーモア風刺小説です。
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三右衛門の罪 
芥川 龍之介の短編集です。   闇討ちを仕掛けてきた若侍・衣笠数馬を、逆に斬り殺した加賀藩士・細井三右衛門です。事件の数日前、数馬の剣道の試合で行司役を勤めた三右衛門でした。「すると数馬はそちの行司に依怙(えこ)があると思うたのじゃな 」、「さようでございまする。・・・・・

数馬は依怙のあるように疑ったかとも思いまする」。生真面目すぎる意外な“えこひいき”が面白い作品です。
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邪宗門 
中編。美人で奔放な中御門(なかみかど)の姫との恋がかなった堀川の若殿。邪宗である「摩利の教」を広めている異形の沙門(しゃもん)・摩利信乃法師(まりしのほうし)が、中御門の姫と接触をはかっていると知った私(若殿に仕える老侍)は、摩利信乃法師を闇討ちにしようとします。

「方々(かたがた)にもの申そう。これは天上皇帝の神勅を賜わって、わが日の本に摩利の教を布(し)こうずる摩利信乃法師と申すものじゃ」。 圧倒的な・摩利信乃法師の・・・・・。

摩利信乃法師の正体は実は行方不明の菅原雅平か  これから対決というところで、残念ながら未完です。
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十円札 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   「実はその 貧乏なんです」、「じょうだん でしょう」 。月給の他に原稿の収入もあるのに、毎週、東京へ遊びに行くため、金欠状態に陥っている英語教師・堀川保吉でした。成り行きで先輩教官の粟野さんから十円を借りてしまった保吉は、早く金を返して、・・・・・

一枚の十円札のために思い悩む姿が利己的で面白い作品です。」
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俊寛 
芥川 龍之介の短編集です。   「有王。おれはこの島に渡って以来、何が嬉しかったか知っているか  それはあのやかましい女房のやつに、毎日小言を云われずとも、暮されるようになった事じゃよ」。鬼界が島(きかいがしま)に流された俊寛のもとを訪れた忠僕の有王は、笹葺(ささぶ)きの家で悠々と・・・・・

都の噂では、一人だけ赦免(しゃめん)が許されなかった俊寛が、遠ざかっていく船に何度も手招ぎをしたといいますが、果たしてその真相とはなんでしょう 
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虱(しらみ) 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   長州征伐に加わるため、船を走らせる加賀藩の船でしたが、船の中は虱(しらみ)だらけでした。皆が虱取りに精を出す中、森権之進という侍は、「虱に刺された方が、体が温まって、寝付きも良くなり、風邪も・・・・・。
しかし、井上典蔵という侍は、「森の虱論」に反対し、虱を食べてしまいます。ラストの一文が人間の愚かさを際立たせて効果的な作品です。
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捨児 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   「おお、これは可愛い子だ。泣くな。泣くな。今日からおれが養ってやるわ」。寺の門前に捨てられていました男の子に、勇之助という名前を付けて、わが子のように育てる浅草・信行寺の住職・田村日錚・・・・・

五年後、母親だと名乗る女が子供を引き取りにきます。ラストシーンのせりふに涙します。親子以上の親子の恩愛を描いた名作品です。
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煙草と悪魔 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   フランシスコ・ザビエルに仕える宣教師に化けて日本にやって来た悪魔は、日本人を誘惑するまでの暇つぶしに園芸を始めます。見知らぬ植物に興味を持った牛商人は、植物の名を当てる賭けを・・・・・

「では、あたらなかったら  あなたの体と魂とを、貰いますよ」。煙草が日本に渡来した顛末を描いた喜劇作品です。
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忠義 
芥川 龍之介の短編集です。   板倉家七千石の当主・板倉修理(しゅり)の乱心(神経衰弱)を憂慮した家老・前島林右衛門でした。主人である修理よりも板倉家への忠義の方が大事であると考える林右衛門は、修理を隠居させようとするが失敗に終わります。

林右衛門に代わって家老になった田中宇左衛門は、「家」よりも「主」への忠義が大事・・・・・

「家」への忠義か  それとも「主」への忠義か  二人の家老の忠義のあり方を描いて興味ぶかい作品です。
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偸盗 
芥川 龍之介の中編集です。多情な性格で魔性の女である偸盗(ちゅうとう)の頭目・沙金(しゃきん)の誘惑に溺れ、盗人の仲間入りをした兄弟・太郎と次郎でしたが、沙金を巡って不仲になってしまいます。
「おれは、悪事をつむに従って、ますます沙金に愛着(あいじゃく)を感じて来た。人を殺すのも、盗みをするのも、みんなあの女ゆえである。何に換えても、あの女を失いたくない」。

沙金が仕組んだ罠(わな)とも知らず、藤判官(とうほうがん)の屋敷を・・・・・

侍や狂犬の群れに包囲され襲われる修羅場の臨場感が驚愕します  荒廃した京の町を舞台に、兄弟の葛藤(かっとう)と人間の再生を劇的に描いた好作品です。
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杜子春 
芥川 龍之介の短編集です。   大金持ちになればお世辞を言い、貧乏人になれば口も利かない世間の人たち。人間に愛想が尽きた若者・杜子春(とししゅん)は、仙術の修行をするため、仙人・鉄冠子(てっかんし)に弟子入りします。「たといどんなことが起ろうとも、決して声を・・・・・

閻魔(えんま)大王に容赦なく鞭で打たれる父母の姿を見た杜子春はおもわず声をだします。人間らしく正直に生きていく決意する若者の姿を描いた感動童話です。
ベストセラーで有名です おもしろくて、いい作品です
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トロッコ 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   「おじさん。押してやろうか 」。軽便鉄道の工事現場を見物しに行った少年・良平は、好奇心でトロッコの運搬を手伝います。「何時(いつ)までも押していて好い 」、「好いとも」。

しかし、トロッコはどこまで行っても引き返す気配はなく、遂に日も暮れてしまいます。「われは・・・・・

少年時代の淡い感傷と郷愁を描いた名作品です。ベストセラーで有名です おもしろくて、いい作品です
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南京の基督 
芥川 龍之介の短編集です。   気立ての優しい十五歳の娼婦・金花(きんか)。貧しい家計を助けるため、夜な夜な客を迎える彼女ですが、不幸にも悪性の梅毒にかかってしまいます。客に移せば治ると朋輩から教えられますが、敬虔な基督(キリスト)教徒である彼女は、二度と・・・・・

「ではあの人が基督様だったのか」。奇跡を信じる少女を思うと胸が痛む作品です。
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葱(ねぎ) 
芥川 龍之介の短編集です。   カフェで働く美少女のお君さんは、世知辛い東京の実生活の迫害から逃れるため、「不如帰」を読んだり、造花の百合を眺めながら、芸術的感激に耽り、恋愛に酔っていました。無名の芸術家・田中君と・・・・・

壮大な恋愛の歓喜 対 一そく、四銭の葱という名の生活です  軽快で楽しいユーモア小説です。
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鼠小僧次郎吉 
芥川 龍之介の短編集です。   三年ぶりに江戸へ帰って来た、色の浅黒い、小肥りに肥った男が語る「鼠小僧」にまつわるお話です 。八王子の旅籠屋「山甚」でスリを働いた意気地なしの若い男・越後屋重吉。「如何にも江戸で噂の高え、鼠小僧とはおれの事だ」。

重吉のことを本物の鼠小僧だと・・・・・
「あんな間抜けな野郎でも、鼠小僧と名乗ったばかりに、大きな面が出来たことを思い、鼠小僧もさぞ本望だろう」 。ラストのオチも効果的で面白い作品です。
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母 
芥川 龍之介の短編集です。   病気で幼い子供を亡くした敏子は、同じ上海の旅館に滞在している女(自分と同名)の赤児の泣き声に苦痛を感じます。「なくなったのが嬉しいんです。御気の毒だとは思うけれど、それでも私は嬉しいんです。嬉しくっては・・・・・。

敏子に湧き上がった感情は、酷薄なものに違いありませんが、人間が生きていく上での力でもあることも否定できません。
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春 
芥川 龍之介の短編集です。   妹・辰子の恋愛問題を解決するため、結婚後二年ぶりに上京した姉・広子。辰子の相手・大村篤介は、同じ絵画研究所に通う生徒で、広子も顔馴染みの青年でした。篤介を嫌っていた辰子が、なぜ彼を・・・・・

「いやよ。何をするの 」、「だってほんとうに嬉しいんですもの」。残念ながら未完の作品です。
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雛(ひな) 
芥川 龍之介の短編集です。   明治の世になって没落した商家。横浜のアメリカ人に売り渡すことになった雛人形を、見納めにもう一度飾ってよく見ておきたいと思う十五のお鶴でしたが、厳格な父・伊兵衛に反対され、「開化人」の兄・英吉は「雛祭などは旧弊だ」とけなし、「旧弊人」の母と衝突する始末でした。

「お父さんが見ちゃあいけないと云うのは手付けをとったばかり・・・・・

開化の象徴としてランプが効果的に描かれていて印象に残ります。現代にも通ずる家族小説作品です。
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二人小町 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   小野の小町の前に現れた黄泉(よみ)の使(つかい)。妊娠していると嘘をついて、死を逃れた小野の小町は、玉造(たまつくり)の小町を身代わりにしようとします。一方、色仕掛けで黄泉の使を翻弄し、死を逃れた玉造の小町は、・・・・・

「女の世の中は今の男の世の中ほど、女に甘いはずはありませんから」。運命に逆らうべからず、男を騙(だま)すべからずです。
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文章 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   本多少佐の葬式で、校長の佐佐木中将が読む弔辞(ちょうじ)の代筆を頼まれた海軍学校の英語教師・堀川保吉。「名文」によって、まんまと遺族を泣かせたことに、満足を感じるも、しかしそれよりも遥かに大きい・・・・・

片手間で書いた弔辞が感銘を与え、推敲(すいこう)を重ねて書いた小説がまったく評価されないという皮肉なのです。風刺小説 です
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報恩記 
芥川 龍之介の短編集です。   商人・北条屋弥三右衛門(やそうえもん)の屋敷に、たまたま盗みに入った名代の盗人・阿媽港(あまかわ)甚内でしたが、奇遇にも、弥三右衛門は、二十年前に命を助けてもらった恩人でした。北条屋が経営難に陥っていると知った甚内は、恩返しのため、大金を調達し、北条屋の危急を救ってやるのでした。

「どうかわたしを・・・・・

甚内が召捕られ、晒し首となった事件の意外な真相を、甚内、弥三右衛門、弥三郎(北条屋の息子)の三人の告白を通して描いた時代小説です。いい作品です
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魔術 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   「ただ、欲のある人間には使えません。ハッサン・カンの魔術を習おうと思ったら、まず欲を捨てることです。あなたにはそれが出来ますか」、「出来るつもりです」。インド人のミスラ君から魔術を教わった私は、早速、友人たちの前で、石炭を金貨に・・・・・

その金貨を元手に、友人たちと骨牌(かるた)をやる羽目になった私でした。人間の欲を題材にした楽しいショートストーリーです。サスペンス小説 です
ベストセラーで有名です おもしろくて、いい作品です
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蜜柑(みかん) 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   横須賀発上り二等客車に乗車した私は、如何(いか)にも田舎者らしい十三四の少女と同乗になります。退屈な人生に、云いようのない疲労と倦怠(けんたい)を感じている私は、「三等」の切符で二等車に乗車してきた少女の・・・・・ 
  
主人公の私と同じく、憂鬱(ゆううつ)さを忘れ、朗らかな気持ちにする作品です。
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桃太郎 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   お爺さんやお婆さんのように仕事に出るのが嫌いな桃太郎は、犬、猿、雉を連れて鬼が島へ征伐に行きます。平和を愛する罪のない鬼たちを虐殺・凌辱するなど、悪の限りを尽くす桃太郎たちでした。「進め  進め  鬼という鬼は見つけ次第、一匹も残らず・・・・・

平和を乱し、殺伐とした社会にした元凶は何と桃太郎でした  パロディー・ブラックユーモア風刺小説です。
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藪の中 
芥川 龍之介の短編集です。   侍の武弘と真砂(まさご)の夫婦を藪の中に誘い込んだ盗人・多襄丸(たじょうまる)は、真砂を手込めにした後、武弘を殺害したと白状します。一方、真砂は、多襄丸に手込めにされた無念さから、武弘を殺して自分も死のうとしましたが・・・・・

殺人事件の真相は  「あの人を殺して下さい。わたしはあの人が生きていては、あなたと一しょにはいられません」 。人間の証言のあやふやさを描いて面白い作品です。
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夢 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   すっかり憂鬱に陥っている画家のわたし。胸の立派なモデルを雇って、一向に捗らない絵の制作を続けますが、無表情な彼女の姿に妙な圧迫を感じ出し、夢の中で彼女を絞殺してしまいます。以来、姿を見せなくなった彼女の安否を・・・・・

「この絨氈の裏は何色だったかしら 」。夢と現実の交錯を描き、著者の晩年の苦悩がでます。
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百合 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   「良ちゃん。今ね、二本芽の百合を見つけて来たぜ」。今年七歳の良平は、隣の金三に誘われて、一つの根から芽が二本出た珍しい百合を見に行きますが、些細なことから取っ組み合いの喧嘩に・・・・・

「嘘だい。うちのお母さんに訊いて見ろ。白い着物を着るのは夏だい」。未完の小説です
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妖婆 
芥川 龍之介の短編集です。   行方不明になっていた恋人のお敏が、神降ろしのお島婆さんの家に軟禁されていると知った新蔵でした。お敏の体に神を呼び降ろし、加持祈祷をしている婆さんは、お敏を相場師の男の妾(めかけ)にして、大金を得ようと企んでいました。新蔵の友人・泰(たい)さんは、怪しい呪力を使う婆さんの手からお敏を救い出すため、“ある計画”を・・・・・「失敗したんじゃないかって  君は一体お敏に何をやらせようとしたんだ」。“予想外”の結末が楽しめる娯楽妖異小説作品です。
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世之助の話 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   井原西鶴の浮世草子「好色一代男」の主人公・世之助が、六十歳の今日まで戯れた女の数は何と三千七百四十二人  「いくら何だって君、三千七百四十二人は多すぎるよ」、「唯、私の算盤(そろばん)が、君の・・・・・

艶かしい町家の女房と、同じ船に乗り合わせた世之助は、むっちりした、弾力のある女の体を戯れます。官能小説 です
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竜 
芥川 龍之介の短編集です。   「三月三日この池より竜昇らんずるなり」。ちょっとした悪戯で、こんな立て札を立てた奈良の恵印(えいん)法師でしたが、町中で大評判になってしまいます。そして遂に三月三日の当日、猿沢の池のまわりには、竜の昇天を見に来た見物人たちで一杯になり・・・・・

悪戯の張本人であるはずの恵印の心境が面白いです。ラストシーンが読者の心をよびおこす作品です。
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六の宮の姫君 
芥川 龍之介のショートストーリーです。   父母(ちちはは)を相次いで亡くし、暮らし向きが苦しくなった六の宮の姫君。乳母のすすめで丹波の前司(ぜんじ)なにがしの殿の妻(妾)となった姫君でしたが、男は姫君を残して京を去ってしまいます。九年ぶりに京へ・・・・・

暗い中に風ばかり、冷たい風ばかり吹いて参りまする」。世間知らずの箱入娘である女の悲しみも喜びも知らない生涯を描いた作品です。
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路上 
芥川 龍之介の中編集です。古ぼけた教室の玄関で雨宿りしていた女性(辰子)に、一目惚れした大学生・安田俊介。一人の女(初子)に天国を見ている野村と、多くの女に地獄を見ている大井   二人の友人との交流を通して恋愛について考える青春小説の秀逸作品です。「女が嫌になりたいために女に惚れる。より退屈になりたいために退屈な事をする。その癖 僕は心の底・・・・・

ちっとも退屈でいたくはないんだ。だから君、悲惨じゃないか。悲惨だろう」。屈折した恋愛しかできない大井篤夫でした
恋愛小説‎ です
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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