カインの未裔(まつえい)/有島武郎 <あらすじ 要約>

カインの未裔(まつえい)/有島武郎

或る冬の暮れ、北海道の松川農場に大柄な男が 妻と乳飲み子を連れて流れ着きました。

どこから来たのかわかりません

この地で小作人として働く事になる広岡 仁右衛門一家でした。

しかし、仁右衛門は畑仕事はもちろん、冬になると漁師や木こりとして働くほど、

仕事に精を出しました。

3年後には農場一の小作人となり、5年後には独立した農民になる希望をもっていました、

そして10年後には広い農場を手に入れるという夢を持っていました。

実際、仁右衛門の働きで生活はどんどん 楽になっていきました。

ところが或る時、彼が居酒屋で気持ちよく酒を飲んで帰ると、赤ん坊が赤痢を発症し 熱を出し、まもなく死んでしまいました。

さらに不運は続き、 裸のりの名手だった仁右衛門の馬が、町の競馬に出場中に前足を骨折してしまいました。

もともと粗暴だった彼は 赤ん坊を亡くして 以来ますます粗暴になっていきました。

農場の誰からも援助の手は差しのべられません。それどころか、小作人たちからは、農場を去ることを求められていました。

秋の収穫も、見込めず、全くだめな状態でした。小作料の払えなくなった仁右衛門は、農場主に

直談判に赴いきました。しかし結果は、ひどい言葉で追い返される始末でした。

大地から恵を得られないように神から呪いをかけられた、カインのように もはや、いる場所を失った仁右衛門夫婦は 人知れず農場を去ってゆくのでした。

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