
日本名作速読朗読文庫
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豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
秋の気魄 豊島与志雄
秋と云えば、人は直ちに紅葉を連想する。然しながら、紅葉そのものは秋の本質とは可なりに縁遠いことを、私は思わずにはいられない。楓の赤色から銀杏の黄色に至るまでのさまざまな紅葉の色彩は、その色彩からじかに来る感じは、しみじみとした専念の秋の感じとは、よほど距っている。都会にいてはそうでもないけれど、一歩田舎に踏み出してみると、山裾の木立の紅葉や、田畑の熟しきった黄色い農作物や、赤々とさす日脚などは、それをそのまま抽出して観ずる時には、寧ろ残暑に属すべきもので、真の秋の領域ではない。試みに、吾々の住宅や居室を、それらの色彩の何れかで塗りつぶすとしたならば、吾々の生活気分は、可なりに落付のないものとなることであろう。そしてこの落付のなさは、秋の頼りない気分とは、全く別種のものである。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
242 |
1 |
秋の気魄 |
豊島 与志雄 |
2401 |
小 |
242 |
2 |
秋の幻 |
豊島 与志雄 |
4218 |
中 |
242 |
3 |
悪夢 |
豊島 与志雄 |
16003 |
大 |
242 |
4 |
浅間噴火口 |
豊島 与志雄 |
11851 |
大 |
242 |
5 |
朝やけ |
豊島 与志雄 |
11711 |
大 |
242 |
6 |
足 |
豊島 与志雄 |
7911 |
大 |
242 |
7 |
明日 |
豊島 与志雄 |
3750 |
中 |
242 |
8 |
新たな世界主義 |
豊島 与志雄 |
11876 |
大 |
242 |
9 |
或る男の手記 |
豊島 与志雄 |
43236 |
大 |
242 |
10 |
或る女の手記 |
豊島 与志雄 |
18344 |
大 |
242 |
11 |
或る作家の厄日 |
豊島 与志雄 |
10190 |
大 |
242 |
12 |
或る素描 |
豊島 与志雄 |
11746 |
大 |
242 |
13 |
或る日の対話 |
豊島 与志雄 |
6258 |
大 |
242 |
14 |
或る夜の武田麟太郎 |
豊島 与志雄 |
3487 |
中 |
242 |
15 |
怒りの虫 |
豊島 与志雄 |
11368 |
大 |
242 |
16 |
活人形 |
豊島 与志雄 |
4998 |
中 |
242 |
17 |
公孫樹 |
豊島 与志雄 |
9728 |
大 |
242 |
18 |
市郎の店 |
豊島 与志雄 |
4130 |
中 |
合計冊数 18 |
|
文字数合計 |
193206 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
意欲の窒息 豊島与志雄
文化が新らしい方向を辿らんとする時、その派生的現象として、社会の或る部分に停滞腐爛を起す。大河の流れの中に、小さな淀みが処々に生ずるようなものである。流れと共に動こうとしても、河床や河岸の一寸した影響のために、一つの岩石のために、そこに淀んでしまう。そしてその中で、動く意志さえも無くなってしまう。文化の進展を欲する者が必然に起す種々の意欲は、何等かの理由による停滞のために、そこで窒息してしまうのである。そういう意欲の窒息を、少し古いが、ゴンチャロフはオブローモフに於いて描出した。オブローモフは、数多の農奴を所有する富裕なロシアの貴族である。そして始終彼は、毛布のなかにもぐりこんで、微温と微睡とのうちに時を過している。何かの行動に当面すると、「何のために?」という考えが最初に出てくる。「何もかも面倒くさい。」というのがその結論である。彼は立派な教育を受けて、いろんなことを考えてはいる。然しやがて、何もかも面倒くさくなってしまう。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
243 |
1 |
田舎者 |
豊島 与志雄 |
13131 |
大 |
243 |
2 |
異邦人の意欲 |
豊島 与志雄 |
5165 |
中 |
243 |
3 |
意欲の窒息 |
豊島 与志雄 |
3714 |
中 |
243 |
4 |
失われた半身 |
豊島 与志雄 |
10486 |
大 |
243 |
5 |
運命のままに |
豊島 与志雄 |
28271 |
大 |
243 |
6 |
エスキス |
豊島 与志雄 |
1095 |
小 |
243 |
7 |
逢魔の刻 |
豊島 与志雄 |
1894 |
小 |
243 |
8 |
丘の上 |
豊島 与志雄 |
11030 |
大 |
243 |
9 |
阿亀 |
豊島 与志雄 |
6857 |
大 |
243 |
10 |
叔父 |
豊島 与志雄 |
11492 |
大 |
243 |
11 |
お月様の唄 |
豊島 与志雄 |
7732 |
大 |
243 |
12 |
男ぎらい |
豊島 与志雄 |
8815 |
大 |
243 |
13 |
溺るるもの |
豊島 与志雄 |
17813 |
大 |
243 |
14 |
お山の爺さん |
豊島 与志雄 |
4835 |
中 |
243 |
15 |
オランウータン |
豊島 与志雄 |
6898 |
大 |
243 |
16 |
愚かな一日 |
豊島 与志雄 |
14102 |
大 |
243 |
17 |
恩人 |
豊島 与志雄 |
13547 |
大 |
243 |
18 |
女心の強ければ |
豊島 与志雄 |
46489 |
大 |
243 |
19 |
女と帽子 ― 「小悪魔の記録」― |
豊島 与志雄 |
23653 |
大 |
243 |
20 |
怪異に嫌わる |
豊島 与志雄 |
6763 |
大 |
243 |
21 |
書かれざる作品 |
豊島 与志雄 |
2030 |
小 |
243 |
22 |
影 |
豊島 与志雄 |
4426 |
中 |
合計冊数 |
|
|
文字数合計 |
250238 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
影法師 豊島与志雄
一 うしろに山をひかえ前に広々とした平野をひかえてる、低いなだらかな丘の上に、小さな村がありました。村の東の端《はし》に、村一番の長者《ちょうじゃ》の屋敷《やしき》がありまして、その塀《へい》の外の広場は、子供たちの遊び場所でした。白く塗った土塀《どべい》、左手はゆるやかな山すそで、いろんな灌木《かんぼく》や草がはえています。前には小さな川が流れていて、魚が泳いでいます。川の向こうと右手の方には、たんぼが続いています。子供たちはその広場でおもしろく遊ぶことが出来ました。晴れた日の朝早く、長者の子供を交《まじ》えて三四人の子供が、いつものように、そこで遊んでいました。東の地平線から出たばかりの太陽の光りが、皆の影を白い壁にくっきりとうつしていました。その影があまりはっきりしておもしろいので、皆は影うつしの遊びを始めました。
「ああ、いいことを考えた」と長者の子供がふいに叫びました。「待っといでよ、じきに来るから」
そして長者《ちょうじゃ》の子供はいきなり駆け出して、うちの中にはいって行きました。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
244 |
1 |
崖下の池 |
豊島 与志雄 |
12056 |
大 |
244 |
2 |
影法師 |
豊島 与志雄 |
4308 |
中 |
244 |
3 |
風ばか |
豊島 与志雄 |
10626 |
大 |
244 |
4 |
過渡人 |
豊島 与志雄 |
20256 |
大 |
244 |
5 |
悲しい誤解 |
豊島 与志雄 |
11037 |
大 |
244 |
6 |
画舫 ― 近代伝説 ― |
豊島 与志雄 |
10741 |
大 |
244 |
7 |
蝦蟇 |
豊島 与志雄 |
21452 |
大 |
244 |
8 |
神棚 |
豊島 与志雄 |
21625 |
大 |
244 |
9 |
鴨猟 |
豊島 与志雄 |
1456 |
小 |
244 |
10 |
川端柳 |
豊島 与志雄 |
4033 |
中 |
244 |
11 |
変る |
豊島 与志雄 |
68197 |
大 |
244 |
12 |
乾杯 ―近代説話 ― |
豊島 与志雄 |
8677 |
大 |
244 |
13 |
奇怪な話 |
豊島 与志雄 |
7051 |
大 |
244 |
14 |
帰京記 |
豊島 与志雄 |
2007 |
小 |
244 |
15 |
戯曲を書く私の心持 |
豊島 与志雄 |
3525 |
中 |
244 |
16 |
擬体 |
豊島 与志雄 |
11836 |
大 |
244 |
17 |
狐火 |
豊島 与志雄 |
5479 |
中 |
244 |
18 |
球体派 |
豊島 与志雄 |
2241 |
小 |
244 |
19 |
牛乳と馬 |
豊島 与志雄 |
12153 |
大 |
244 |
20 |
傷痕の背景 |
豊島 与志雄 |
18803 |
大 |
245 |
1 |
今日の条件 |
豊島 与志雄 |
3705 |
中 |
合計冊数 |
|
|
文字数合計 |
261264 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
今日の条件 豊島与志雄
ごく大雑把にそして極めて素朴に、人間の生活の理想的な在り方を考えてみる。――週に六日、毎日六時間ばかり、何等かの社会的な生産的な勤労に徒事し、それで生計を立て、その他の時間を、随意に自由に使用する。そして勤労によるこの生計は、僅かに生存を維持するだけのような低級なものではなく、必要にして充分な余裕を持つ程度のものであらねばならぬ。随って、其他の時間の任意な使用は、原則的に、報酬を目差すものではなく、各人各種の技能の花を咲かせるものとなる
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
245 |
2 |
霧の中 ― 「正夫の世界」 ― |
豊島 与志雄 |
19951 |
大 |
245 |
3 |
樹を愛する心 |
豊島 与志雄 |
5153 |
中 |
245 |
4 |
金魚 |
豊島 与志雄 |
3738 |
中 |
245 |
5 |
キンショキショキ |
豊島 与志雄 |
4843 |
中 |
245 |
6 |
銀の笛と金の毛皮 |
豊島 与志雄 |
14654 |
大 |
245 |
7 |
金の目銀の目 |
豊島 与志雄 |
35092 |
大 |
245 |
8 |
偶像に就ての雑感 |
豊島 与志雄 |
4360 |
中 |
245 |
9 |
「草野心平詩集」解説 |
豊島 与志雄 |
5221 |
中 |
245 |
10 |
楠の話 |
豊島 与志雄 |
10770 |
大 |
245 |
11 |
蜘蛛 |
豊島 与志雄 |
3633 |
中 |
245 |
12 |
蔵の二階 |
豊島 与志雄 |
13261 |
大 |
245 |
13 |
群集 |
豊島 与志雄 |
4698 |
中 |
245 |
14 |
形態について |
豊島 与志雄 |
2706 |
小 |
245 |
15 |
化生のもの |
豊島 与志雄 |
13010 |
大 |
245 |
16 |
月評をして |
豊島 与志雄 |
3312 |
中 |
245 |
17 |
幻覚記 |
豊島 与志雄 |
3312 |
中 |
245 |
18 |
現代小説展望 |
豊島 与志雄 |
35047 |
大 |
245 |
19 |
鯉 |
豊島 与志雄 |
2189 |
小 |
245 |
20 |
月明 |
豊島 与志雄 |
16782 |
大 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
201732 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
コーカサスの禿鷹 豊島与志雄
一 コーカサスに、一匹の大きな禿鷹《はげたか》がいました。仲間の者達と一緒に、高い山の頂《いただき》に住んで、小鳥を取って食べたり、麓《ふもと》の方へ下りてきて、死んだ獣《けもの》の肉をあさったりしていましたが、ある時ふと、ひょんな考えを起こしました。
「自分は仲間の誰よりも、体が大きく、力が強く、知恵もあるので、みんなから尊敬されている。そこで一つ奮発《ふんぱつ》して、みんなよりも立派な住居《すまい》をこしらえて、王様 然《ぜん》と構《かま》えこんでいなくちゃなるまい」そして彼はいろいろ考えた末、国中の一番高い山の頂に、立派な岩屋を探して、そこに住居を定めようとしました。ところがいよいよとなると、どれが国中で一番高い山か、さらに見当がつきませんでした。一番高そうな山の上に立って、四方を見渡しますと、向こうの山の方がもっと高そうに思われますし、その山の上へ飛んでゆくと、また向こうにもっと高そうな山が見えます。そしてあちらこちらと、山から山へ飛び移ってるうちに、体が疲れてくるし、気持ちはいらいらしてくるし、どれが一番高い山だかさっぱりわからなくなりました。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
246 |
1 |
好意 |
豊島 与志雄 |
19811 |
大 |
246 |
2 |
好人物 |
豊島 与志雄 |
10480 |
大 |
246 |
3 |
香奠 |
豊島 与志雄 |
22853 |
大 |
246 |
4 |
交遊断片 |
豊島 与志雄 |
2910 |
小 |
246 |
5 |
蠱惑 |
豊島 与志雄 |
13646 |
大 |
246 |
6 |
コーカサスの禿鷹 |
豊島 与志雄 |
4269 |
中 |
246 |
7 |
故郷 |
豊島 与志雄 |
1982 |
小 |
246 |
8 |
故郷 |
豊島 与志雄 |
3718 |
中 |
246 |
9 |
黒点 |
豊島 与志雄 |
30425 |
大 |
246 |
10 |
湖水と彼等 |
豊島 与志雄 |
12670 |
大 |
246 |
11 |
孤独者の愛 |
豊島 与志雄 |
8652 |
大 |
246 |
12 |
古木 ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
11568 |
大 |
246 |
13 |
子を奪う |
豊島 与志雄 |
39118 |
大 |
246 |
14 |
在学理由 |
豊島 与志雄 |
10085 |
大 |
246 |
15 |
最近の菊池寛氏 |
豊島 与志雄 |
1330 |
小 |
246 |
16 |
坂田の場合 |
豊島 与志雄 |
14313 |
大 |
246 |
17 |
作者の住む世界 |
豊島 与志雄 |
1219 |
小 |
246 |
18 |
作品の倫理的批評 |
豊島 与志雄 |
2215 |
小 |
246 |
19 |
作家的思想 |
豊島 与志雄 |
6678 |
大 |
246 |
20 |
砂漠の情熱 |
豊島 与志雄 |
3123 |
中 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
221065 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
椎の木01 豊島与志雄
一 牧野良一は、奥日光の旅から帰ると、ゆっくり四五日かかって、書信の整理をしたり、勉強のプランをたてたりして、それから、まっさきに、川村さんを訪れてみた。
川村さんはもう五十近い年頃で、妻も子もなく、独りで老婢をやとって暮していた。学者だが、何が専門で何が本職だか分らなかった。書斎にはいろんな書物がぎっしり並んでおり、雑誌や新聞に詩や批評や随筆などいろいろなものを書き、私立大学に少しばかり勤めていた。ひどく真面目なところと出たらめなところとがあった。その川村さんを、良一は尊敬もし好きであった。自分の遠縁にあたるのが自慢だった。風のない薄曇りの日で、雪にでもなりそうな底冷があった。良一はマントの襟を立てて、川村さんの家へ急いだ。老婢が出て来た。暫く考えてから答えた。「いま、お留守ですよ。あとで電話をかけてごらんなさい。」この婆や、いつもとぼけた奴だが、留守なのにあとで電話をしろとはおかしかった。だが、良一はそのまま、暫く外を歩き、それから見当り次第の喫茶店にはいり、時間をつぶして、電話をかけて見た。すぐに来てよろしいとの返事だった。行ってみると、川村さんは熱をだして寝ていた。痩せた頬に髭がもじゃもじゃはえていた。「おうちだったんですね。留守だというんで、時間をつぶすのに困りました。」良一が不平そうに云うのを、川村さんはほほえんできいていた。
「うむ、誰にでも、留守だから電話をしろと、そういうことになってるんだ。面倒くさい者には会わないことにしてるものだから――。」
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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名作速読朗読文庫vol. 247豊島 与志雄全集6読上機能付きProfessional版
VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
247 |
1 |
山上湖 |
豊島 与志雄 |
10823 |
大 |
247 |
2 |
椎の木 |
豊島 与志雄 |
25535 |
大 |
247 |
3 |
椎の木 |
豊島 与志雄 |
5941 |
中 |
247 |
4 |
死因の疑問 |
豊島 与志雄 |
13184 |
大 |
247 |
5 |
潮風 |
豊島 与志雄 |
11937 |
大 |
247 |
6 |
塩花 |
豊島 与志雄 |
12276 |
大 |
247 |
7 |
死刑囚最後の日 →ユゴー ヴィクトル(著者) |
豊島 与志雄 |
81105 |
大 |
247 |
8 |
死刑囚最後の日解説 |
豊島 与志雄 |
1533 |
小 |
247 |
9 |
「自然」 |
豊島 与志雄 |
2422 |
小 |
247 |
10 |
失策記 |
豊島 与志雄 |
6819 |
大 |
247 |
11 |
死ね! |
豊島 与志雄 |
8939 |
大 |
247 |
12 |
死の前後 |
豊島 与志雄 |
17276 |
大 |
247 |
13 |
ジャングル頭 |
豊島 与志雄 |
3456 |
中 |
247 |
14 |
上海の渋面 |
豊島 与志雄 |
7897 |
大 |
247 |
15 |
十一谷義三郎を語る |
豊島 与志雄 |
4961 |
中 |
247 |
16 |
自由主義私見 |
豊島 与志雄 |
3020 |
中 |
247 |
17 |
自由人 |
豊島 与志雄 |
68537 |
大 |
247 |
18 |
春盲 |
豊島 与志雄 |
8197 |
大 |
247 |
19 |
情意の干満 |
豊島 与志雄 |
2581 |
小 |
247 |
20 |
正覚坊 |
豊島 与志雄 |
6250 |
大 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
302689 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
条件反射 豊島与志雄
煙草 煙草の好きな某大学教授が、軽い肺尖カタルにかかった。煙草は何よりも病気にさわるというので、医者は禁煙か然らずんば節煙を命じ、家人たちもそれを懇望し、本人もその決心をした。ところが彼は、多年の習慣で、煙草の煙が濛々と立罩めた中でなければ勉強が出来ない。節煙の決心で書斎に坐っていると、うまいまずいの問題ではなく、殆ど無意識的に、いつしかやたらに煙草をふかしては、苦しい咳をしている。――然るに彼は、学校で、二時間の講義の間、煙草を吸いたいなどという気は毫も起ったことがない。教室では全然煙草を忘れてしまうのである。彼は嘆じて云う。「煙草を節するには、朝から晩まで立続けに講義をするか、或は書斎を教室に改造するかより、他に方法はない。」
彼にとっては、教室で煙草を吸わないことと、書斎で煙草を吸うこととは、全く同一の条件らしい。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
248 |
1 |
条件反射 |
豊島 与志雄 |
2686 |
小 |
248 |
2 |
常識 |
豊島 与志雄 |
16156 |
大 |
248 |
3 |
小説集「白い朝」後記 |
豊島 与志雄 |
235 |
小 |
248 |
4 |
小説集「秦の憂愁」後記 |
豊島 与志雄 |
698 |
小 |
248 |
5 |
小説集「聖女人像」後記 |
豊島 与志雄 |
1679 |
小 |
248 |
6 |
小説集「白蛾」後記 |
豊島 与志雄 |
966 |
小 |
248 |
7 |
小説集「白塔の歌」後記 |
豊島 与志雄 |
877 |
小 |
248 |
8 |
小説集「山吹の花」後記 |
豊島 与志雄 |
477 |
小 |
248 |
9 |
小説中の女 |
豊島 与志雄 |
7854 |
大 |
248 |
10 |
小説の内容論 |
豊島 与志雄 |
4088 |
中 |
248 |
11 |
小説・評論集「文学母胎」後記 |
豊島 与志雄 |
725 |
小 |
248 |
12 |
少年の死 |
豊島 与志雄 |
13918 |
大 |
248 |
13 |
少年文学私見 |
豊島 与志雄 |
3871 |
中 |
248 |
14 |
食慾 |
豊島 与志雄 |
9655 |
大 |
248 |
15 |
初秋海浜記 |
豊島 与志雄 |
3625 |
中 |
248 |
16 |
庶民生活 |
豊島 与志雄 |
10246 |
大 |
248 |
17 |
白藤 ―近代説話― |
豊島 与志雄 |
10635 |
大 |
248 |
18 |
白い朝 ― 「正夫の童話」― |
豊島 与志雄 |
7780 |
大 |
248 |
19 |
白蛾 ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
16840 |
大 |
248 |
20 |
新時代の「童話」 |
豊島 与志雄 |
2925 |
小 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
115936 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
秦の出発 豊島与志雄
喧騒の都市上海の目貫の場所にも、思わぬところに閑静な一隅がある。円明園路の松崎の事務所もその一つだ。街路には通行人の姿さえ見えないことがあり、煙草の屋台店がぽつねんとして――私はいつもここで煙草を買うことにしていた。その屋台店の近くの大楼の六階に松崎の事務所はある。南の窓一面に陽を受け、東の窓からは、煉瓦塀越しに、英国領事館内の木立が見下され、茂みの中から小鳥の声が聞えてくる。この事務所に、松崎はりっぱな碁盤を一つ備えていた。商会の看板は出ているが、人の出入は稀で、とっつきの広間に体躯逞ましい二三の事務員が居るきり、めったに開かれないらしい大きな帳簿を前にして、雑誌を読んだり小声で話しあったりして、広すぎる応接室といった感じだ。その片隅を横ぎって、木の扉を開くと、松崎の室になる。書棚、贅沢な椅子類、窓際に碁盤――。私は松崎とよく碁を打った。彼の棋力は私とほぼ同程度だか、棋風は捉えどころがなく、こちらが強く出れば力戦を辞しないし、ふうわりと押せばさらりと受ける。秦啓源も時折やって来て、私達の碁を楽しげに眺めた。盤に向うのは、その他の日華人少数だった
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
249 |
1 |
秦の出発 |
豊島 与志雄 |
14359 |
大 |
249 |
2 |
秦の憂愁 |
豊島 与志雄 |
9353 |
大 |
249 |
3 |
神話と青春との復活 |
豊島 与志雄 |
3535 |
中 |
249 |
4 |
随筆評論集「書かれざる作品」後記 |
豊島 与志雄 |
235 |
小 |
249 |
5 |
随筆評論集「情意の干満」後記 |
豊島 与志雄 |
689 |
小 |
249 |
6 |
随筆評論集「文学以前」後記 |
豊島 与志雄 |
568 |
小 |
249 |
7 |
生あらば |
豊島 与志雄 |
23473 |
大 |
249 |
8 |
性格批判の問題 |
豊島 与志雄 |
7763 |
大 |
249 |
9 |
性格を求む |
豊島 与志雄 |
3579 |
中 |
249 |
10 |
生活について |
豊島 与志雄 |
4786 |
中 |
249 |
11 |
生と死との記録 |
豊島 与志雄 |
18848 |
大 |
249 |
12 |
聖女人像 |
豊島 与志雄 |
13543 |
大 |
249 |
13 |
絶縁体 |
豊島 与志雄 |
18563 |
大 |
249 |
14 |
操守 |
豊島 与志雄 |
9477 |
大 |
249 |
15 |
早春 |
豊島 与志雄 |
9360 |
大 |
249 |
16 |
蘇生 |
豊島 与志雄 |
14899 |
大 |
249 |
17 |
大自然を讃う |
豊島 与志雄 |
1576 |
小 |
249 |
18 |
台湾の姿態 |
豊島 与志雄 |
6871 |
大 |
249 |
19 |
高尾ざんげ ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
10191 |
大 |
249 |
20 |
高千穂に思う |
豊島 与志雄 |
5254 |
中 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
176922 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
立枯れ 豊島与志雄
穏かな低気圧の時、怪しい鋭い見渡しがきいて、遠くのものまで鮮かに近々と見え、もしこれが真空のなかだったら――と、そんなことを思わせるのであるが、そうした低気圧的現象が吾々の精神のなかにも起って、或る瞬間、人事の特殊な面がいやになまなましく見えてくることがある。そういうことが、小泉の診察室の控室で、中江桂一郎に起った。小泉がキミ子を診察してる間、中江はその控室で、窓外の青葉にぼんやり眼をやりながら、しきりに煙草をふかしていた。てれくさい気恥しさなどは、もう少しも感じなかった。気の置けない友だちの間柄だから、紹介状を持って行ってごらんと、中江がいくら云っても、キミ子は駄々っ児のように顔を振るだけなので、中江はとうとう、自分で連れてくることにしたのだが、暫く躊躇していたキミ子は、俄に承知して、そうなると、知人のうちにでも遊びに行くといった調子になった。身体のことなんか自然に任せておけばよいので、ただ生きていて――そして働いてさえおれば――というのが彼女の平素の主張で、医者にかかることなどは贅沢となる、その贅沢が、今となっては、小泉のところへ――診察は第二として――中江と二人で行くという、或る物珍らしさのために、解消された形だった。だが、中江にしてみれば、彼女が時々胃部や腹部に鈍痛を感じ而もその鈍痛があちこち移動することや、また胸部に圧痛を覚えたりすることなどが、彼女の健康の全般的の衰微を暗示するように思われ、どこか一定の箇処の病兆よりも、一層気にかかるのであった
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
250 |
1 |
蛸の如きもの |
豊島 与志雄 |
9978 |
大 |
250 |
2 |
太宰治との一日 |
豊島 与志雄 |
3578 |
中 |
250 |
3 |
立枯れ |
豊島 与志雄 |
20541 |
大 |
250 |
4 |
立札 ― 近代伝説― |
豊島 与志雄 |
10186 |
大 |
250 |
5 |
狸石 |
豊島 与志雄 |
3456 |
中 |
250 |
6 |
狸のお祭り |
豊島 与志雄 |
5219 |
中 |
250 |
7 |
田原氏の犯罪 |
豊島 与志雄 |
27851 |
大 |
250 |
8 |
旅だち ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
11966 |
大 |
250 |
9 |
旅人の言 |
豊島 与志雄 |
1479 |
小 |
250 |
10 |
球突場の一隅 |
豊島 与志雄 |
14161 |
大 |
250 |
11 |
小さき花にも |
豊島 与志雄 |
10044 |
大 |
250 |
12 |
地水火風空 |
豊島 与志雄 |
1820 |
小 |
250 |
13 |
父と子供たち |
豊島 与志雄 |
1518 |
小 |
250 |
14 |
父の形見 |
豊島 与志雄 |
6838 |
大 |
250 |
15 |
中支生活者 |
豊島 与志雄 |
4115 |
中 |
250 |
16 |
長篇小説私見 |
豊島 与志雄 |
4059 |
中 |
250 |
17 |
千代次の驚き |
豊島 与志雄 |
9411 |
大 |
250 |
18 |
「沈黙」の話 |
豊島 与志雄 |
6123 |
大 |
250 |
19 |
月かげ |
豊島 与志雄 |
6869 |
大 |
250 |
20 |
憑きもの |
豊島 与志雄 |
10890 |
大 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
170102 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
天下一の馬 豊島与志雄
一 ある田舎《いなか》の山里に、甚兵衛《じんべえ》という馬方《うまかた》がいました。至《いた》ってのんき者で、お金がある間はぶらぶら遊んでいまして、お金がなくなると働きます。仕事というのは、山から出る材木を、五里ばかり先の町へ運ぶのです。ぷーんと新しい木の香《かお》りがする丸や四角の材木を、丈夫《じょうぶ》な荷馬車《にばしゃ》に積み上げ、首のまわりに鈴をつけた黒馬にひかして、しゃんしゃんぱっかぱっか――と、朝早くから五里の街道《かいどう》を出かけて、夕方までには家へ帰って来ます。その馬がまた甚兵衛の自慢《じまん》でした。何しろ馬方にとっては、馬が一番大切なものです。甚兵衛は親 譲《ゆず》りの田畑を売り払って、その馬を買い取ったのでした。世に珍しいつやつやとした黒毛の若駒《わかこま》で、背も高く骨組みもたくましく、ひひんといなないて太い尾《お》を打ち振りながら、ぱっかぱっかと街道を進む姿は、見るも勇ましいものでした。多くの馬方の馬のうちでも、一番立派なこの自分の黒馬を、甚兵衛は大層《たいそう》可愛《かわい》がって大事にしていました。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
251 |
1 |
椿の花の赤 |
豊島 与志雄 |
10717 |
大 |
251 |
2 |
強い賢い王様の話 |
豊島 与志雄 |
5742 |
中 |
251 |
3 |
手品師 |
豊島 与志雄 |
5809 |
中 |
251 |
4 |
田園の幻 |
豊島 与志雄 |
7994 |
大 |
251 |
5 |
天下一の馬 |
豊島 与志雄 |
6323 |
大 |
251 |
6 |
天狗の鼻 |
豊島 与志雄 |
7244 |
大 |
251 |
7 |
天狗笑 |
豊島 与志雄 |
4232 |
中 |
251 |
8 |
電車停留場 |
豊島 与志雄 |
15055 |
大 |
251 |
9 |
同感 |
豊島 与志雄 |
1803 |
小 |
251 |
10 |
道化役 |
豊島 与志雄 |
21050 |
大 |
251 |
11 |
童貞 |
豊島 与志雄 |
6234 |
大 |
251 |
12 |
道標 ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
9357 |
大 |
251 |
13 |
同胞 |
豊島 与志雄 |
15608 |
大 |
251 |
14 |
都会に於ける中流婦人の生活 |
豊島 与志雄 |
3762 |
中 |
251 |
15 |
都会の幽気 |
豊島 与志雄 |
10546 |
大 |
251 |
16 |
特殊部落の犯罪 |
豊島 与志雄 |
7493 |
大 |
251 |
17 |
渡舟場 ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
11448 |
大 |
251 |
18 |
土地 |
豊島 与志雄 |
10762 |
大 |
251 |
19 |
土地に還る ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
10477 |
大 |
251 |
20 |
鳶と柿と鶏 |
豊島 与志雄 |
10395 |
大 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
182051 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
長彦と丸彦
豊島与志雄
一
むかし、近江《おうみ》の国、琵琶湖《びわこ》の西のほとりの堅田《かただ》に、ものもちの家がありまして、そこに、ふたりの兄弟がいました。兄はたいへん顔が長いので、堅田の顔長《かおなが》の長彦《ながひこ》といわれていましたし、弟はたいへん顔が丸いので、堅田の顔丸《かおまる》の丸彦《まるひこ》といわれていました。顔長の長彦は、体がやせて細く、少しも力がありませんでしたが、たいそう知恵がありました。そして、京の都からやって来て、そこに隠れ住んでいる、年とったえらい先生について、いろいろなことを学んでいました。顔丸の丸彦は、知恵はあまりありませんでしたが、体がまるまるとふとって、たいそう力があり、むじゃきな乱暴《らんぼう》者で、野原や山を駆け廻ったり、剣や弓のけいこをしたりしていました。このふたりの兄弟は、いたって仲がよく、互いに敬《うやま》いあっていました。ある年の夏、ひどいひでりがして、琵琶湖の水が一メートル半程もへりました。そのひでりのため、米や芋《いも》がほとんどとれませんでしたから、そのあたりの人々は、たいへん困りました。食ものにもだんだん不自由するようになりました。堅田《かただ》の顔長の長彦は、一日一晩、考えつづけました。そしてそのあたりのおもだった人たちに相談しました。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
252 |
1 |
どぶろく幻想 |
豊島 与志雄 |
10347 |
大 |
252 |
2 |
囚われ |
豊島 与志雄 |
20810 |
大 |
252 |
3 |
囚われ人 |
豊島 与志雄 |
16970 |
大 |
252 |
4 |
泥坊 |
豊島 与志雄 |
3688 |
中 |
252 |
5 |
長彦と丸彦 |
豊島 与志雄 |
10892 |
大 |
252 |
6 |
ナポレオンの遺書 |
豊島 与志雄 |
774 |
小 |
252 |
7 |
新妻の手記 |
豊島 与志雄 |
10746 |
大 |
252 |
8 |
肉体 |
豊島 与志雄 |
13175 |
大 |
252 |
9 |
二等車に乗る男 |
豊島 与志雄 |
6336 |
大 |
252 |
10 |
女客一週間 |
豊島 与志雄 |
12569 |
大 |
252 |
11 |
女人禁制 |
豊島 与志雄 |
2680 |
小 |
252 |
12 |
人形使い |
豊島 与志雄 |
10199 |
大 |
252 |
13 |
人間繁栄 |
豊島 与志雄 |
18992 |
大 |
252 |
14 |
沼のほとり ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
7706 |
大 |
252 |
15 |
猫 |
豊島 与志雄 |
2714 |
小 |
252 |
16 |
猫捨坂 |
豊島 与志雄 |
9859 |
大 |
252 |
17 |
猫先生の弁 |
豊島 与志雄 |
3883 |
中 |
252 |
18 |
野ざらし |
豊島 与志雄 |
85541 |
大 |
252 |
19 |
野に声なし |
豊島 与志雄 |
4409 |
中 |
252 |
20 |
梅花の気品 |
豊島 与志雄 |
2395 |
小 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
254685 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
白日夢 豊島与志雄
晩春の頃だった。 私達――私と妻と男の児と女中との四人――は新らしい住居へ移転した。まだ道具もそう多くはなかったので、五六日で家の中は一通り片付いて、私はほっとした気持で、縁側に腰掛けて煙草を吹かしながら、庭の面《おもて》をぼんやり眺めてみた。庭と云っても僅かに六七坪のものだったが、二三本の植込の木下に、鮮かな緑の雑草が、ぽつりぽつりと萠え出していた。それを見ていると、私の心は晴れやかになった。新らしい住居と共に新らしい幸福がやってくる、といったような思いが湧いてきた。そして向うの室にいた妻を呼びかけて、実際そう口に出してまで云った。
「ええ、」と妻は答えた、「今月からあなたの月給がふえるかも知れませんわ。」「馬鹿!」
心持ち高い声で私は叱りつけたが、眼付で笑ってるのをどうすることも出来なかった。暫くすると、此度は妻の方から云い出した。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
253 |
1 |
ばかな汽車 |
豊島 与志雄 |
2802 |
小 |
253 |
2 |
白日夢 |
豊島 与志雄 |
11663 |
大 |
253 |
3 |
白塔の歌 ― 近代伝説― |
豊島 与志雄 |
21239 |
大 |
253 |
4 |
白木蓮 |
豊島 与志雄 |
11967 |
大 |
253 |
5 |
蓮 |
豊島 与志雄 |
3958 |
中 |
253 |
6 |
裸木 |
豊島 与志雄 |
15950 |
大 |
253 |
7 |
波多野邸 |
豊島 与志雄 |
22029 |
大 |
253 |
8 |
白血球 |
豊島 与志雄 |
11475 |
大 |
253 |
9 |
花子の陳述 |
豊島 与志雄 |
10629 |
大 |
253 |
10 |
話の屑籠 |
豊島 与志雄 |
5176 |
中 |
253 |
11 |
花ふぶき |
豊島 与志雄 |
9347 |
大 |
253 |
12 |
母親 |
豊島 与志雄 |
5027 |
中 |
253 |
13 |
バラック居住者への言葉 |
豊島 与志雄 |
4012 |
中 |
253 |
14 |
春 |
豊島 与志雄 |
10402 |
大 |
253 |
15 |
春の幻 |
豊島 与志雄 |
2883 |
小 |
253 |
16 |
反抗 |
豊島 与志雄 |
140297 |
大 |
253 |
17 |
美醜 |
豊島 与志雄 |
1365 |
小 |
253 |
18 |
微笑 |
豊島 与志雄 |
20938 |
大 |
253 |
19 |
非情の愛 |
豊島 与志雄 |
11727 |
大 |
253 |
20 |
必要以上のもの |
豊島 与志雄 |
5402 |
中 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
328288 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
ヒューメーンということに就て 豊島与志雄
芸術上の作品は、一方に於ては作者に即したものであり、他方に於てはそれ自身独立したものである。この二つの見解は作品を眺むる眼の据え場所の相違から自然に出て来る。そして前者の見地よりすれば、「作品凡庸可なりの論」をも私は認むるが、後者の見地よりすれば、「作品凡庸主義の論」に私は賛成しない。作品をそれ自身独立したものとして眺むる時、作品は偉大なればなるほど、深刻なればなるほど、非凡なればなるほど、益々いいのである。芸術創作家は、一方に於ては自己を育ててゆくものであり、他方に於ては他人に働きかけるものである。この二つの見解も眼の据場所の相違から起ってくる。そして前者の見地よりすれば、「作家凡庸可なりの論」をも私は認むるが、後者の見地よりすれば、「作家[凡庸主義の論」に私は賛成しない。作家を他人に働きかけるものとして見る時、作家は、豪ければ豪いほど、非凡なればなるほど、益々いいのである。
以上のことは、云わないでも分りきったことであるが、以下「ヒューメーンということ」に就ての感想を誤解せられないために、一言断って置くのである。立論の根拠を明にして置かないと、とんだ誤解をせられ易い。論を見て其の論の拠点までも省察してくれるほどの親切は、今の忙しい文壇に少なそうだから。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
254 |
1 |
ひでり狐 |
豊島 与志雄 |
4747 |
中 |
254 |
2 |
一つの愛情 |
豊島 与志雄 |
10587 |
大 |
254 |
3 |
人の国 |
豊島 与志雄 |
7744 |
大 |
254 |
4 |
碑文 ― 近代伝説― |
豊島 与志雄 |
13187 |
大 |
254 |
5 |
ヒューメーンということに就て |
豊島 与志雄 |
3995 |
中 |
254 |
6 |
表現論随筆 |
豊島 与志雄 |
2247 |
小 |
254 |
7 |
病室の幻影 |
豊島 与志雄 |
5357 |
中 |
254 |
8 |
猫性 |
豊島 与志雄 |
1379 |
小 |
254 |
9 |
ヒロシマの声 |
豊島 与志雄 |
3847 |
中 |
254 |
10 |
広場のベンチ |
豊島 与志雄 |
6979 |
大 |
254 |
11 |
ピンカンウーリの阿媽 |
豊島 与志雄 |
3479 |
中 |
254 |
12 |
風景 |
豊島 与志雄 |
5490 |
中 |
254 |
13 |
風俗時評 |
豊島 与志雄 |
11109 |
大 |
254 |
14 |
復讐 |
豊島 与志雄 |
9702 |
大 |
254 |
15 |
ふざけた読書 |
豊島 与志雄 |
1813 |
小 |
254 |
16 |
不思議な帽子 |
豊島 与志雄 |
4436 |
中 |
254 |
17 |
不肖の兄 |
豊島 与志雄 |
18774 |
大 |
254 |
18 |
舞台のイメージ |
豊島 与志雄 |
1661 |
小 |
254 |
19 |
二つの途 |
豊島 与志雄 |
51160 |
大 |
254 |
20 |
舞踏病 |
豊島 与志雄 |
3447 |
中 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
171140 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
文学以前 豊島与志雄
作品の活力は、中に盛られてる作者の生活的翹望から来る、ということが説かれる。また、「身を以て書く」、「血を以て書く」ということが、理想的に説かれる。そして、キリストに対して、羨望或は感嘆の意が述べられる。 これは、余りに文学的なる文学に対して、より少く文学的なる文学を要望することであり、更に云えば、文学を「文学以後」より、「文学以前」に引戻さんとする方向を指示するものである。
〇「文学の貧困」ということは、文学の中に於ける「文学的なるもの」の貧困の謂ではない。否却って、「文学的ならざるもの」の貧困の謂であろう。ジャーナリズムに於て、或は一般読書界に於いて、文学の気息が細ってきた原因は、「文学的なるもの」の欠乏にあるのではなくて、「文学的ならざるもの」の欠乏にある。文学作品から、或は中間物へ、或は実話物へ、或は論説へ転向してゆくことによって、読者の求めようとするのは、一体何であるか。これを一言で云えば、情緒や感動や思想――而も直截簡明なそれらである
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
255 |
1 |
彗星の話 |
豊島 与志雄 |
3925 |
中 |
255 |
2 |
父母に対する私情 |
豊島 与志雄 |
4320 |
中 |
255 |
3 |
古井戸 |
豊島 与志雄 |
21175 |
大 |
255 |
4 |
文学以前 |
豊島 与志雄 |
5874 |
中 |
255 |
5 |
文学以前 |
豊島 与志雄 |
18990 |
大 |
255 |
6 |
文学精神は言う |
豊島 与志雄 |
4428 |
中 |
255 |
7 |
文学に於ける構想力 |
豊島 与志雄 |
5249 |
中 |
255 |
8 |
文学の曇天 |
豊島 与志雄 |
9398 |
大 |
255 |
9 |
文学への実感について |
豊島 与志雄 |
2843 |
小 |
255 |
10 |
北京・青島・村落 |
豊島 与志雄 |
5549 |
中 |
255 |
11 |
ヘヤーピン一本 |
豊島 与志雄 |
8160 |
大 |
255 |
12 |
変な男 |
豊島 与志雄 |
40538 |
大 |
255 |
13 |
傍人の言 |
豊島 与志雄 |
3705 |
中 |
255 |
14 |
北支点描 |
豊島 与志雄 |
5072 |
中 |
255 |
15 |
程よい人 |
豊島 与志雄 |
10263 |
大 |
255 |
16 |
街の少年 |
豊島 与志雄 |
9835 |
大 |
255 |
17 |
待つ者 |
豊島 与志雄 |
3142 |
中 |
255 |
18 |
祭りの夜 |
豊島 与志雄 |
9724 |
大 |
255 |
19 |
窓にさす影 |
豊島 与志雄 |
12967 |
大 |
255 |
20 |
真夏の幻影 |
豊島 与志雄 |
2552 |
小 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
187709 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
魔法探し 豊島与志雄
一 むかし、ペルシャに大変えらい学者がいました。天地の間に何一つ知らないことはないというほど、あらゆる学問をきわめつくした人で、国王や人民達から非常に尊敬されていました。
ところがある日、高い塔の上から濠《ほり》の中に落ちて死んだ人を見て、彼はこう考えました。
「鳥は空を飛ぶことができるし、魚《うお》は水の中を泳ぎ廻《まわ》ることができる。それなのに人間だけは、空を飛ぶこともできず水にもぐることもできない。なぜだろう。もしそういうことができたなら、人間は塔から落ちても死なないですむし、水の中に落ちても溺れずにすむのだが――」
そしていろいろ考えたすえ、彼はふと魔法使いの話を思い出しました。子供の時お祖母様《ばあさま》から聞いた話で、自由自在に空を飛んだり水にもぐったりするというのです。けれどもそれはただ話に聞いただけで、いくら彼が学者でも、まだ魔法だけは知らないのでした。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
256 |
1 |
魔法探し |
豊島 与志雄 |
3648 |
中 |
256 |
2 |
幻の彼方 |
豊島 与志雄 |
41607 |
大 |
256 |
3 |
幻の園 |
豊島 与志雄 |
6758 |
大 |
256 |
4 |
真夜中から黎明まで |
豊島 与志雄 |
2001 |
小 |
256 |
5 |
三木清を憶う |
豊島 与志雄 |
7118 |
大 |
256 |
6 |
水甕 ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
13024 |
大 |
256 |
7 |
道連 |
豊島 与志雄 |
18263 |
大 |
256 |
8 |
三つの嘘 ― 近代伝説― |
豊島 与志雄 |
4715 |
中 |
256 |
9 |
三つの悲憤 ― 近代伝説― |
豊島 与志雄 |
8695 |
大 |
256 |
10 |
南さんの恋人 ― 「小悪魔の記録」― |
豊島 与志雄 |
17575 |
大 |
256 |
11 |
未亡人 |
豊島 与志雄 |
10410 |
大 |
256 |
12 |
未来の天才 |
豊島 与志雄 |
18599 |
大 |
256 |
13 |
無法者 |
豊島 与志雄 |
11753 |
大 |
256 |
14 |
紫の壜 |
豊島 与志雄 |
11697 |
大 |
256 |
15 |
ものの影 |
豊島 与志雄 |
8667 |
大 |
256 |
16 |
「紋章」の「私」 |
豊島 与志雄 |
4201 |
中 |
256 |
17 |
山の別荘の少年 |
豊島 与志雄 |
10801 |
大 |
256 |
18 |
山吹の花 |
豊島 与志雄 |
10658 |
大 |
256 |
19 |
守宮 |
豊島 与志雄 |
2182 |
小 |
256 |
20 |
愉快な話 |
豊島 与志雄 |
2936 |
小 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
215308 |
|
豊島 与志雄
豊島 与志雄(とよしま よしお、1890年(明治23年)11月27日 – 1955年(昭和30年)6月18日)は、日本の小説家、翻訳家、仏文学者、児童文学者である。法政大学名誉教授。明治大学文学部教授もつとめた。日本芸術院会員でもあった。
本文内容見本
夢の卵 豊島与志雄
一 遠い昔のことですが、インドの奥に小さな王国がありました。その国の王様の城は、高い山のふもとに堅い岩で造られていました。前にはきれいな谷川が流れており、後ろには広い森が茂っていました。谷川の水はいつも冷たく澄《す》みきって、苔《こけ》むした岩の間にさらさらと音を立てていますし、森の奥には何百年となき古い木が立ち並んで、魔物が住んでると言われていて、ほとんど誰も足を踏み入れる者がありませんでした。 その城に、美しい若い王子が一人ありました。朝のうちは、えらい学者達についていろんなことを学び、午後になると、城の中の庭を駆け廻ったり、城の前の谷川で遊んだり、また時には、谷川の向こうの町やその近くの野原を、象の背に乗って散歩しました。晩には、国王に仕えている年とった侍女達《じじょたち》から、おもしろい話をききました。そして夜眠ってからは、さまざまな夢をみました。鳥や獣《けだもの》や虫や花や化《ば》け物や、そのほか見たことも聞いたこともない不思議なものが、夢の中に出てきました。
代表作品
小説「生あらば」「蘇生」「野ざらし」,翻訳「レ-ミゼラブル」「ジャン=クリストフ」など
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VOL |
件数 |
タイトル |
作家名 |
文字数 |
文字量 |
257 |
1 |
夢 |
豊島 与志雄 |
1402 |
小 |
257 |
2 |
夢の図 |
豊島 与志雄 |
7085 |
大 |
257 |
3 |
夢の卵 |
豊島 与志雄 |
9750 |
大 |
257 |
4 |
湯元の秋 |
豊島 与志雄 |
2520 |
小 |
257 |
5 |
楊先生 |
豊島 与志雄 |
4737 |
中 |
257 |
6 |
慾 |
豊島 与志雄 |
16317 |
大 |
257 |
7 |
雷神の珠 |
豊島 与志雄 |
3101 |
中 |
257 |
8 |
落雷のあと ― 近代説話― |
豊島 与志雄 |
7037 |
大 |
257 |
9 |
理想の女 |
豊島 与志雄 |
38093 |
大 |
257 |
10 |
掠奪せられたる男 |
豊島 与志雄 |
23553 |
大 |
257 |
11 |
竜宮 |
豊島 与志雄 |
3495 |
中 |
257 |
12 |
林檎 |
豊島 与志雄 |
11789 |
大 |
257 |
13 |
霊感 |
豊島 与志雄 |
15090 |
大 |
257 |
14 |
霊気 |
豊島 与志雄 |
1438 |
小 |
257 |
15 |
轢死人 |
豊島 与志雄 |
3871 |
中 |
257 |
16 |
録音集 |
豊島 与志雄 |
3205 |
中 |
257 |
17 |
別れの辞 |
豊島 与志雄 |
18273 |
大 |
257 |
18 |
私の信条 |
豊島 与志雄 |
3487 |
中 |
合計冊数 20 |
|
文字数合計 |
174243 |
|
|