舞姫/森鴎外 <あらすじ、要約>

舞姫/森鴎外 <あらすじ、要約>

 

森鴎外の本名は 林太郎 と言って、東大医学部を卒業した後、陸軍軍医総監にまで上り詰めた超エリートです。
そんな医学の第一戦で働くかたわら、文学にも積極的に取り組み、 阿部一族や 寒山拾得 をはじめとする 歴史小説□史伝物 も多く書いています。

今回は 森鴎外の最も有名な作品である 舞姫 です
エリート官僚が 恋愛 をとるのか 出世 をとるのか究極の2択を迫られるお話です。

舞姫 は1890年の作品なので文章が小難しく読みづらいかもしれませんが、
中高生の方にはぜひ原文で読んでみたい作品です

 

<舞姫/森鴎外>の主な登場人物は3人です。

1、主人公の   大田豊太郎

2、美しい踊り子の   エリス

3、友人の   相沢謙一

 

<舞姫/森鴎外> あらすじ

豊太郎 と 踊り子 エリス の出会い

主人公の太田豊太郎は小さいころから厳しい教育を受けていたこともあり、
官僚となって3年目の22歳の時、ベルリンに留学することになります。
初めて見るヨーロッパは豊太郎にとって非常に新鮮なものでしたが、
学問に専念するため、それらの誘惑や魅力を一切断ち勉強一筋で大学に通い詰めます。
しかし、豊太郎はヨーロッパの自由な雰囲気に次第に感化されていき、彼が25歳になった頃、
これまで受けてきた 母親の教育や 国の期待 に縛られているだけで、自分の意志で行動してこなかったのではないかと考え始めます。

そんな 自我の目覚め を感じていた頃に、美しい踊り子のエリスと出会います。
エリスは父親が死んだことで、母とともに路頭に迷っている身でした。
豊太郎はエリス母娘への同情心などから彼女らの経済的危機を救ったのですが、それがきっかけで豊太郎とエリスは親密になります。

この頃はまだ恋愛関係にはなく、豊太郎とエリスはいわば 師弟 のような関係でしたが、
このことが仲間の反感を買い故国に伝えられ、ついには豊太郎は免職処分となってしまします。
さらに、同じ時期に豊太郎の母親が亡くなり、豊太郎は 職 と 家族 を同時になくし、深く失望します。
そんな豊太郎を救ったのが友人の 相沢謙一 でした。

 

友人 相沢の忠告とエリスとの別れ

友人 相沢謙一の紹介により豊太郎はドイツの通信員として働くことになります。
相沢の紹介で職を得た豊太郎は、エリス母娘の家に居候することにし、この頃には豊太郎とエリスは互いに愛し合い、恋人関係になっていました。
豊太郎は新たな職を手にし、学問に専念できないという不満はありつつも、満足感を感じる生活を送っていました。

そんな生活が続くと思われた矢先、エリスが豊太郎の子を身ごもります。
豊太郎はエリスの妊娠に気づき、次第に将来への不安を感じ始めます。
友人の相沢は 豊太郎がエリスに感じているのは愛情ではなく、ただの惰性だ と豊太郎に告げ、エリスと別れるよう忠告します。

豊太郎は、これまでお世話になった相沢の忠告を無視することはできず、ついにエリスと別れることを約束します。
しかし、豊太郎はエリスに別れ話を切り出すことができず、しばし惰性の日々を過ごします。
その後、豊太郎は相沢の紹介でロシアの通訳として働きますが、エリスはロシアまで毎日手紙を送ってくれていました。

相沢には エリスと別れる と約束していたため、エリスとの交際が相沢に知られれば彼を裏切ることに繋がります。
相沢を裏切れば再び職を失うかもしれない。
エリスへの愛情 と 出世□将来の安定 どちらを選ぶべきか豊太郎は悩み続けます。

エリスの発狂と豊太郎の決断

そんな矢先に再び相沢のつてで、日本への帰国話が持ち上がります。
帰国すれば、一度は失った 名誉 を取り戻すことができるため、豊太郎はエリスのことを棚上げし帰国話に乗ってしまいます。

しかし、当のエリスにはなかなか別れ話を切り出すことはできず、豊太郎は深く自己嫌悪に陥ります。
悩み続けた豊太郎は街を徘徊し、ついに病で倒れてしましまます。
豊太郎は数週間寝込み、目を覚ましてみたのは エリスの発狂した姿 でした。
豊太郎が寝込んでいる間に、相沢が 豊太郎がエリスと別れる約束をしたこと  豊太郎が日本に帰国すること をエリスに伝えていたのです。

それを知ったエリスは悲しみと絶望で狂ったように泣きわめいていました。
生きる屍のようになったエリスを抱いて豊太郎は涙しますが、最終的にはエリスを見捨て、彼だけが日本へ帰国します。
豊太郎の心には、相沢が職を紹介してくれたことに対する感謝の念があるとともに、
心のどこかに相沢に対する憎しみの気持ちが消えずに残っているのでした。

 

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