日本近代文学全集10 小川 未明他

日本名作速読朗読文庫

詳細はクリックをすれば表示されます —>

名作速読朗読文庫vol.535小川 未明全集9 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.536小川 未明全集10 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.537小川 未明全集11 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.538小川 未明全集12 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.539小川 未明全集13 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.540小川 未明全集14 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.541小川 未明全集15 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.542小川 未明全集16 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.543小川 未明全集17 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.547知里 真志保全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.548古川 緑波全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.549柳田 国男全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.550中谷 宇吉郎全集1 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.551中谷 宇吉郎全集2 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.552中谷 宇吉郎全集3 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.553中谷 宇吉郎全集4 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.554室生 犀星全集1 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.555室生 犀星全集2 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.556槙村 浩全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.557大倉 燁子全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.558竹内 浩三全集1 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.559竹内 浩三全集2 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.560竹内 浩三全集3 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.561山之口 貘全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.562実吉 捷郎全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.563辰野 隆全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.564梅崎 春生全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.565甲賀 三郎全集 読上機能付き
名作速読朗読文庫vol.566小酒井 不木全集 読上機能付き

 

名作速読朗読文庫vol.535小川 未明全集9 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

本文内容見本

5  塩を載せた船          小川未明

赤《あか》ん坊《ぼう》をおぶった、男《おとこ》の乞食《こじき》が町《まち》へはいってきました。その男《おとこ》は、まだそんなに年《とし》をとったというほどではありませんでした。 男《おとこ》の乞食《こじき》は、りっぱな構《かま》えをした家《うち》の前《まえ》へきますと、立《た》ち止《ど》まって、考《かんが》え込《こ》みました。それから、おそるおそる門《もん》の中《なか》へ入《はい》ってゆきました。「どうか、なにかやってくださいまし。」と、声《こえ》をふるわせて頼《たの》みました。 しかし、家《うち》の中《なか》では、その小《ちい》さい声《こえ》が聞《き》こえなかったものか、返事《へんじ》がありませんでした。 乞食《こじき》は、つぎには、もっと大《おお》きな声《こえ》を出《だ》していいました。「なにか、この哀《あわ》れな子供《こども》にやってくださいまし。」といいました。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.535小川 未明全集9 読上機能付き

名作VOL 件数 作家       作品名 文字数 文字量
535 1 小川 未明 さびしいお母さん 2515
535 2 小川 未明 三月の空の下 4858
535 3 小川 未明 三人と 二つの りんご 678
535 4 小川 未明 三匹のあり 2725
535 5 小川 未明 塩を載せた船 9333
535 6 小川 未明 事実と感想 1893
535 7 小川 未明 時代・児童・作品 3890
535 8 小川 未明 児童の解放擁護 1647
535 9 小川 未明 詩の精神は移動す 2001
535 10 小川 未明 渋温泉の秋 2788
535 11 小川 未明 自分で困った百姓 2348
535 12 小川 未明 自分を鞭打つ感激より 2277
535 13 小川 未明 島の暮れ方の話 3446
535 14 小川 未明 しゃしんやさん 832
535 15 小川 未明 自由なる空想 1449
535 16 小川 未明 純情主義を想う 2233
535 17 小川 未明 正ちゃんとおかいこ 3247
535 18 小川 未明 少年と秋の日 4159
535 19 小川 未明 少年の日の悲哀 6319
535 20 小川 未明 初夏の不思議 5464
合計冊数20  合計文字数64102

上へ

名作速読朗読文庫vol.536小川 未明全集10 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

本文内容見本

2  白い影          小川未明

夏《なつ》の日《ひ》のことでありました。汽車《きしゃ》の運転手《うんてんしゅ》は、広《ひろ》い野原《のはら》の中《なか》にさしかかりますと、白《しろ》い着物《きもの》を着《き》た男《おとこ》が、のそりのそりと線路《せんろ》の中《なか》を歩《ある》いているのを認《みと》めました。 このあたりには人家《じんか》もまれであって、右《みぎ》を見《み》ても左《ひだり》を見《み》ても、草《くさ》の葉《は》がきらきらと、さながらぬれてでもいるように、日《ひ》の光《ひかり》に照《て》らされて光《ひか》っていました。また、遠近《おちこち》にこんもりとした林《はやし》や森《もり》などが、緑色《みどりいろ》のまりを転《ころ》がしたようにおちついていて、せみの声《こえ》が聞《き》こえていました。 白《しろ》い男《おとこ》を見《み》ると、運転手《うんてんしゅ》は、ハッと思《おも》って、あわただしく警笛《けいてき》を鳴《な》らしました。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.536小川 未明全集10 読上機能付き

名作VOL 件数 作家      作品名 文字数 文字量
536 1 小川 未明 書を愛して書を持たず 3377
536 2 小川 未明 白い影 10239
536 3 小川 未明 白い門のある家 3808
536 4 小川 未明 しろくまの 子 599
536 5 小川 未明 白すみれとしいの木 3919
536 6 小川 未明 真吉とお母さん 5664
536 7 小川 未明 新童話論 3084
536 8 小川 未明 しんぱくの話 4785
536 9 小川 未明 真坊と和尚さま 3024
536 10 小川 未明 水盤の王さま 3170
536 11 小川 未明 すいれんは咲いたが 3235
536 12 小川 未明 過ぎた春の記憶 5894
536 13 小川 未明 鈴が鳴る 282
536 14 小川 未明 脊の低いとがった男 3450
536 15 小川 未明 絶望より生ずる文芸 2096
536 16 小川 未明 草木の暗示から 2669
536 17 小川 未明 空色の着物をきた子供 3529
536 18 小川 未明 空晴れて 6251
536 19 小川 未明 太陽とかわず 4690
536 20 小川 未明 谷にうたう女 4968
合計冊数20  合計文字数78733

上へ

名作速読朗読文庫vol.537小川 未明全集11 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

文内容見本

1  駄馬と百姓         小川未明

甲《こう》の百 姓《しょう》は、一ぴきの馬《うま》を持《も》っていました。この馬《うま》は脊《せ》が低《ひく》く、足《あし》が太《ふと》くて、まことに見《み》たところは醜《みにく》い馬《うま》でありましたが、よく主人《しゅじん》のいうことを聞《き》いて、その手助《てだす》けもやりますし、どんな重《おも》い荷物《にもつ》をつけた車《くるま》でも引《ひ》き、また、あるときは脊《せ》の上《うえ》に荷物《にもつ》を積《つ》んで歩《ある》いたのであります。 他《た》の馬《うま》は、よく主人《しゅじん》の意《い》にさからったということを聞《き》きますけれど、この馬《うま》にかぎって、けっして、そんなことはなく、汗《あせ》を流《なが》してよく働《はたら》きました。それがために、甲《こう》の百 姓《しょう》は、どれだけ利益《りえき》を得《え》ていたかわかりません。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.537小川 未明全集11 読上機能付き

名作VOL 件数 作家  作品名 文字数 文字量
537 1 小川 未明 駄馬と百姓 3578
537 2 小川 未明 単純化は唯一の武器だ 1291
537 3 小川 未明 単純な詩形を思う 2117
537 4 小川 未明 小さな赤い花 3493
537 5 小川 未明 小さな弟、良ちゃん 4228
537 6 小川 未明 小さな草と太陽 926
537 7 小川 未明 『小さな草と太陽』序 926
537 8 小川 未明 小さな年ちゃん 2433
537 9 小川 未明 近頃感じたこと 3773
537 10 小川 未明 稚子ヶ淵 4703
537 11 小川 未明 父親と自転車 2652
537 12 小川 未明 ちょうせんぶなと美しい小箱 3383
537 13 小川 未明 ちょうと怒濤 7150
537 14 小川 未明 ちょうと三つの石 6833
537 15 小川 未明 千代紙の春 7193
537 16 小川 未明 月が出る 181
537 17 小川 未明 月と海豹 3874
537 18 小川 未明 月夜と眼鏡 5555
537 19 小川 未明 月夜とめがね 5855
537 20 小川 未明 つじうら売りのおばあさん 2987
合計冊数20  合計文字数73131

上へ

名作速読朗読文庫vol.538小川 未明全集12 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

本文内容見本

2  角笛吹く子         小川未明

町《まち》の四《よ》つ角《かど》に立《た》って、一人《ひとり》の男《おとこ》の子《こ》がうろうろしていました。子供《こども》ははだしで、足《あし》の指《ゆび》を赤《あか》くしていましたけれど、それを苦《く》にも感《かん》じないようでありました。短《みじか》い黒《くろ》い着物《きもの》をきて、延《の》びた頭髪《とうはつ》は、はりねずみのように光《ひか》っていました。 子供《こども》は、このあたりのものではないことはよくわかっています。前《まえ》には、こんな子供《こども》がこの付近《ふきん》で遊《あそ》んでいたのを、だれも、見《み》たものがないのでありましょう。きっとどこかからやってきて、帰《かえ》る途《みち》を迷《まよ》ったにちがいありません。けれど、なかなかきかぬ気《き》の子供《こども》は、それがために、けっして泣《な》き出《だ》すようなことがなかったのです。 町《まち》には、もう雪《ゆき》がたいてい消《き》えかかっていましたけれど、なおところどころに残《のこ》っているのが見《み》えました。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.538小川 未明全集12 読上機能付き

名作VOL 件数 作家         作品名 文字数 文字量
538 1 小川 未明 常に自然は語る 1893
538 2 小川 未明 角笛吹く子 5515
538 3 小川 未明 つばきの下のすみれ 小説 3583
538 4 小川 未明 つばめと乞食の子小説 3796
538 5 小川 未明 つばめの話 2806
538 6 小川 未明 つめたい メロン小説 581
538 7 小川 未明 強い大将の話 3198
538 8 小川 未明 てかてか頭の話 3377
538 9 小川 未明 手風琴 4698
538 10 小川 未明 天下一品 10728
538 11 小川 未明 電信柱と妙な男 3502
538 12 小川 未明 天を怖れよ 1473
538 13 小川 未明 童謡 117
538 14 小川 未明 童話の詩的価値 2567
538 15 小川 未明 童話を書く時の心随筆 3130
538 16 小川 未明 遠くで鳴る雷 3859
538 17 小川 未明 時計のない村 5837
538 18 小川 未明 どこで笛吹く 9536
538 19 小川 未明 年ちゃんとハーモニカ 小説 2312
538 20 小川 未明 隣村の子 2922
合計冊数20  合計文字数75430

上へ

名作速読朗読文庫vol.539小川 未明全集13 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

本文内容見本

1  殿さまの茶わん          小川未明

昔《むかし》、ある国《くに》に有名《ゆうめい》な陶器師《とうきし》がありました。代々《だいだい》陶器《とうき》を焼《や》いて、その家《うち》の品《しな》といえば、遠《とお》い他国《たこく》にまで名《な》が響《ひび》いていたのであります。代々《だいだい》の主人《しゅじん》は、山《やま》から出《で》る土《つち》を吟味《ぎんみ》いたしました。また、いい絵《え》かきを雇《やと》いました。また、たくさんの職人《しょくにん》を雇《やと》いました。 花《か》びんや、茶《ちゃ》わんや、さらや、いろいろのものを造《つく》りました。旅人《たびびと》は、その国《くに》に入《はい》りますと、いずれも、この陶器店《とうきてん》をたずねぬほどのものはなかったのです。そして、さっそく、その店《みせ》にまいりました。「ああ、なんというりっぱなさらだろう。また、茶《ちゃ》わんだろう――。」といって、それを見《み》て感嘆《かんたん》いたしました。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.539小川 未明全集13 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
539 1 小川 未明 殿さまの茶わん 6029
539 2 小川 未明 囚われたる現文壇随筆 2933
539 3 小川 未明 長ぐつの話 3458
539 4 小川 未明 泣きんぼうの話 3261
539 5 小川 未明 なくなった人形 4849
539 6 小川 未明 夏の晩方あった話 小説 1722
539 7 小川 未明 何を作品に求むべきか 1532
539 8 小川 未明 波の如く去来す 879
539 9 小川 未明 名もなき草 1642
539 10 小川 未明 にじの歌 242
539 11 小川 未明 二少年の話 4546
539 12 小川 未明 人間性の深奥に立って 随筆 2336
539 13 小川 未明 人間否定か社会肯定か 随筆 2895
539 14 小川 未明 抜髪 2046
539 15 小川 未明 ねこ 2792
539 16 小川 未明 ねことおしるこ 2382
539 17 小川 未明 眠い町 5639
539 18 小川 未明 残された日 7478
539 19 小川 未明 野ばら 3824
539 20 小川 未明 灰色の姉と桃色の妹 6265
合計冊数20  合計文字数66750

上へ

名作速読朗読文庫vol.540小川 未明全集14 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。娘の岡上鈴江も児童文学者。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された。

本文内容見本

10  春さきの古物店          小川未明

広《ひろ》やかな通《とお》りには、日《ひ》の光《ひかり》が暖《あたた》かそうにあたっていました。この道《みち》に面《めん》して、両側《りょうがわ》には、いろいろの店《みせ》が並《なら》んでいました。ちょうどその四《よ》つ辻《つじ》のところに、一 軒《けん》の古道具《ふるどうぐ》をあきなっている店《みせ》がありました。そこに、各種《かくしゅ》の道具類《どうぐるい》が置《お》かれてある有《あ》り様《さま》は、さながら、みんなは、いままで働《はたら》いていたけれど、不用《ふよう》になったので、しばらく骨休《ほねやす》みをしているというようなようすでありました。 どんなものが、そこにあったかというのに、まず壁《かべ》ぎわには、張《は》り板《いた》が立《た》てかけられてあり、その下《した》のところに、乳母車《うばぐるま》が置《お》いてあり、その横《よこ》に机《つくえ》があり、その他《た》、火《ひ》ばち・針箱《はりばこ》・瓶《びん》というように、いろいろな道具類《どうぐるい》が並《なら》べられてありました。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.540小川 未明全集14 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
540 1 小川 未明 はちの巣 5516
540 2 小川 未明 はつゆめ 2331
540 3 小川 未明 はてしなき世界 6803
540 4 小川 未明 葉と幹 2464
540 5 小川 未明 花とあかり 1222
540 6 小川 未明 花と人の話 5549
540 7 小川 未明 母犬 2533
540 8 小川 未明 春がくる前 3574
540 9 小川 未明 春風遍し 1708
540 10 小川 未明 春さきの古物店 5860
540 11 小川 未明 春になる前夜 6173
540 12 小川 未明 春の日 2962
540 13 小川 未明 反キリスト教運動 随筆 2108
540 14 小川 未明 日がさとちょう 5728
540 15 小川 未明 ぴかぴかする夜 3419
540 16 小川 未明 左ぎっちょの正ちゃん 小説 3954
540 17 小川 未明 びっこのお馬 5779
540 18 小川 未明 百姓の夢 11633
540 19 小川 未明 火を点ず 6842
540 20 小川 未明 貧乏線に終始して随筆 2422
合計冊数20  合計文字数88580

上へ

名作速読朗読文庫vol.541小川 未明全集15 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

本文内容見本

1   不死の薬          小川未明

一            ある夏《なつ》の夜《よる》でありました。三 人《にん》の子供《こども》らが村《むら》の中《うち》にあった大《おお》きなかしの木《き》の下《した》に集《あつ》まって話《はなし》をしました。昼間《ひるま》の暑《あつ》さにひきかえて、夜《よる》は涼《すず》しくありました。ことにこの木《き》の下《した》は風《かぜ》があって涼《すず》しゅうございました。 赤《あか》く西《にし》の山《やま》に日《ひ》が沈《しず》んでしまって、ほんのりと紅《あか》い雲《くも》がいつまでも消《き》えずに、林《はやし》の間《あいだ》に残《のこ》っていましたが、それすらまったく消《き》えてしまいました。夜《よる》の空《そら》は深《ふか》い沼《ぬま》の中《なか》をのぞくように青黒《あおぐろ》く見《み》えました。そのうちに、だんだん星《ほし》の光《ひかり》がたくさんになって見《み》えてきました。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.541小川 未明全集15 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
541 1 小川 未明 不死の薬 5965
541 2 小川 未明 婦人の過去と将来の予期 1812
541 3 小川 未明 二つの運命 3428
541 4 小川 未明 冬の木立 129
541 5 小川 未明 冬のちょう 4605
541 6 小川 未明 古いてさげかご 3095
541 7 小川 未明 古いはさみ 2995
541 8 小川 未明 ふるさとの林の歌小説 6802
541 9 小川 未明 古巣 203
541 10 小川 未明 文化線の低下 1806
541 11 小川 未明 文章を作る人々の根本用意 随筆 3466
541 12 小川 未明 ペスをさがしに 5788
541 13 小川 未明 紅すずめ 6267
541 14 小川 未明 宝石商 8608
541 15 小川 未明 ボールの行方 5101
541 16 小川 未明 僕がかわいがるから 小説 2844
541 17 小川 未明 僕たちは愛するけれど 小説 4168
541 18 小川 未明 僕は兄さんだ 2419
541 19 小川 未明 星と柱を数えたら小説 2749
541 20 小川 未明 星の子 8373
合計冊数20  合計文字数80623

上へ

名作速読朗読文庫vol.542小川 未明全集16 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

本文内容見本

1   星の世界から          小川未明

一            良吉《りょうきち》は貧《まず》しい家《いえ》に生《う》まれました。その村《むら》は寂《さび》しい、森《もり》のたくさんある村《むら》でありました。小鳥《ことり》がきてさえずります。また春《はる》になると、白《しろ》い花《はな》や、香《かお》りの高《たか》い、いろいろの花《はな》が咲《さ》きました。 良吉《りょうきち》には仲《なか》のいい文雄《ふみお》という同《おな》じ年《とし》ごろの友《とも》だちがありました。二人《ふたり》はいつもいっしょに棒《ぼう》を持《も》ったり、駆《か》けっこをしたり、また、さおを持《も》って河《かわ》にいったりして、仲《なか》よく遊《あそ》びました。 村《むら》はずれには河《かわ》が流《なが》れていました。その水《みず》はたくさんできれいでありました。河《かわ》のほとりには草《くさ》が茂《しげ》っていました。二人《ふたり》はその草《くさ》の上《うえ》に腰《こし》を下《お》ろして、水《みず》を見《み》つめながら釣《つ》りをいたしました。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.542小川 未明全集16 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
542 1 小川 未明 星の世界から 5341
542 2 小川 未明 北海の白鳥 5116
542 3 小川 未明 舞子より須磨へ 1906
542 4 小川 未明 政ちゃんと赤いりんご 小説 5667
542 5 小川 未明 正に芸術の試煉期小説 1809
542 6 小川 未明 町のお姫さま 2910
542 7 小川 未明 街を行くまゝに感ず 小説 2997
542 8 小川 未明 マルは しあわせ小説 794
542 9 小川 未明 三か月 95
542 10 小川 未明 みけの ごうがいやさん 639
542 11 小川 未明 みつばちのきた日小説 5746
542 12 小川 未明 港に着いた黒んぼ小説 11467
542 13 小川 未明 民衆芸術の精神 3158
542 14 小川 未明 村のかじやさん 1047
542 15 小川 未明 村の兄弟 4363
542 16 小川 未明 めくら星 6878
542 17 小川 未明 ものぐさじじいの来世 2492
542 18 小川 未明 ものぐさなきつね小説 3695
542 19 小川 未明 もののいえないもの 小説 5693
542 20 小川 未明 森の中の犬ころ 3158
合計冊数20  合計文字数74971

上へ

名作速読朗読文庫vol.543小川 未明全集17 読上機能付き

小川 未明

小川 未明 (おがわ みめい、1882年(明治15年)4月7日 – 1961年(昭和36年)5月11日)は、小説家・児童文学作家。本名は小川 健作(おがわ けんさく)。「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介と坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された。1946年(昭和21年)に創立された日本児童文学者協会の初代会長を務め、1951年(昭和26年)に日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選定され、1953年(昭和28年)には日本芸術院会員に推挙された

本文内容見本

1   山の上の木と雲の話            小川未明

山《やま》の上《うえ》に、一 本《ぽん》の木《き》が立《た》っていました。木《き》はまだこの世《よ》の中《なか》に生《う》まれてきてから、なにも見《み》たことがありません。そんなに高《たか》い山《やま》ですから、人間《にんげん》も登《のぼ》ってくることもなければ、めったに獣物《けもの》も上《のぼ》ってくるようなこともなかったのです。 ただ、毎日《まいにち》聞《き》くものは、風《かぜ》の音《おと》ばかりでありました。木《き》はべつに話《はなし》をするものもなければ、また心《こころ》をなぐさめてくれるものもなく、朝《あさ》から夜《よる》まで、さびしくその山《やま》の上《うえ》に立《た》っていました。同《おな》じ木《き》でも、にぎやかな都会《とかい》の中《なか》にある公園《こうえん》にあったならば、毎日《まいにち》、いろいろなものを見《み》、またいろいろな音《おと》を聞《き》いたでありましょう。しかし、この木《き》はそんなことがなかったのであります。

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.543小川 未明全集17 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
543 1 小川 未明 山の上の木と雲の話 4105
543 2 小川 未明 146
543 3 小川 未明 やんま 2419
543 4 小川 未明 夕暮の窓より 2000
543 5 小川 未明 夕焼け物語 5365
543 6 小川 未明 幽霊船 5907
543 7 小川 未明 雪だるま 3450
543 8 小川 未明 雪の上のおじいさん 9589
543 9 小川 未明 雪の国と太郎 5761
543 10 小川 未明 百合の花 4378
543 11 小川 未明 善いことをした喜び 3986
543 12 小川 未明 酔っぱらい星 6350
543 13 小川 未明 世の中のこと 2820
543 14 小川 未明 読むうちに思ったこと 2298
543 15 小川 未明 夜の喜び 1945
543 16 小川 未明 読んできかせる場合 1968
543 17 小川 未明 ラスキンの言葉 1074
543 18 小川 未明 猟師と薬屋の話 5414
543 19 小川 未明 ろうそくと貝がら 3878
543 20 小川 未明 老婆 6134
543 21 小川 未明 若き姿の文芸 1522
543 22 小川 未明 忘れられたる感情 1487
543 23 小川 未明 私は姉さん思い出す 267
543 24 小川 未明 笑わない娘 6161
543 25 小川 未明 笑わなかった少年 4268
合計冊数25  合計文字数92692

上へ

名作速読朗読文庫vol.547知里 真志保全集 読上機能付き

知里 真志保(ちり ましほ、1909年2月24日 – 1961年6月9日)は、 アイヌの言語学者。文学博士。専攻はアイヌ語学。姉は、『アイヌ神謡集』の著者・知里幸恵。大学での指導教授は、金田一京助。北海道幌別町字登別町(現在の登別市)出身。言語学者・服部四郎との共同で北海道・樺太各地のアイヌ語諸方言の研究を行いアイヌ語の方言学の基礎を築いた。その業績はもはや「アイヌ学」という一つの学問を築き上げている。

本文内容見本

7   えぞおばけ列伝             知里真志保編訳

えぞおばけ列伝

1.へっぴりおばけ          屋内に独りいると突然炉の中でポアと音を発する.するとあちらでもポア,こちらでもポアとさいげんがない.臭くてかなわない.そういう際には,こっちでも負けずにポアと放してやれば,恐れ入って退散する.あいにくと臭いのが間に合わぬときは,ポアと口真似するだけでも退散するというから,このおばけ案外に気はやさしいのかもしれぬ.名は「オッケオヤシ(1)」(屁っぴりおばけ),または「オッケルイペ(2)」(屁っこき野郎)という.

2.へっぴりおやじの話          前記の「屁っぴりおばけ」というのは樺太アイヌの日常生活や説話の中に出てくるおばけである.おばけなどというよりは,おやじと呼びたいくらい邪気のないおばけだ.このおやじの放屁の偉力を示す説話をひとつ,次に紹介しておく.

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.547知里 真志保全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家            作品名
547 1 知里 真志保 『愛国心』私はこう思う 219
547 2 知里 真志保 アイヌ語学 3480
547 3 知里 真志保 アイヌ語のおもしろさ 1959
547 4 知里 真志保 アイヌ宗教成立の史的背景 随筆 17927
547 5 知里 真志保 あの世の入口 ――いわゆる地獄穴について―― 随筆 23494
547 6 知里 真志保 生きているコタンの銅像  随筆 5740
547 7 知里 真志保 えぞおばけ列伝 32308
547 8 知里 真志保 えぞおばけ列伝 4666
547 9 知里 真志保 おば金成マツのこと 1955
547 10 知里 真志保 学問ある蛙の話 2776
547 11 知里 真志保 金成マツとユーカラ 1102
547 12 知里 真志保 言語と文化史 ――       随筆 4743
547 13 知里 真志保 性に関するアイヌの習俗 5737
547 14 知里 真志保 洞爺湖の伝説 705
547 15 知里 真志保 図書館通い ――私の中学時代―― 1012
547 16 知里 真志保 日本語とアイヌ語の関係  随筆 2005
547 17 知里 真志保 ホッキ巻 764
547 18 知里 真志保 和人わ舟お食う 6226
合計冊数18  合計文字数116818

上へ

名作速読朗読文庫vol.548古川 緑波全集 読上機能付き

古川 緑波

古川 ロッパ(ふるかわ ろっぱ 、古川 緑波とも、1903年(明治36年)8月13日[1] – 1961年(昭和36年) 1月16日)は、1930年代の日本の代表的コメディアン。編集者、エッセイストとしても活動した。「エノケン」のニックネームで同時期に活躍した喜劇役者榎本健一とはしばしば比較され、「エノケン・ロッパ」と並び称されて人気を争った[15]。恰幅の良い体格にロイド眼鏡の丸顔がトレードマークのロッパは、華族出身のインテリらしい、品のある知的な芸風が持ち味で、小柄で庶民的かつ軽業芸も得意なエノケンとは違い、激しい動きは得意でなかったが、軽妙洒脱な語り口に加えて、生来の鷹揚さと朗々たる美声から来るいかにもお殿様らしい貫禄が大衆に好まれた。

本文内容見本

4   うどんのお化け               古川緑波

目下、僕は毎日、R撮影所へ通って、仕事をしている。そして、毎昼、うどんを食っている。 此の撮影所は、かなり辺鄙《へんぴ》な土地にあるので、食いもの屋も、碌に無い。だから、一番安心して食えるのは、うどんだと思って、昼食には、必ず、うどん。そのせいか、大変、腹具合はいい。 そばも食いそうなものだが、僕は、そばってものは嫌い。嫌いと言うよりも、そばを食うとたちまち下痢する。子供の頃は、そんなことは、なかったんだが二十代から、そうなった。だから、江戸っ子の癖に、そばが食えない。従って、僕の食談には、そばに関することは、殆んど出て来ないのである。 ヘンなもので、同業エノケン、榎本健一君が、大変な、そば嫌いである。彼は、先天的の、そば嫌悪症らしく、初恋の女性が、そばを好んだために、彼は、彼女を、あきらめてしまったという話がある位だ。

代表作品

浅草を食べる    色町洋食     うどんのお化け    想い出     甘話休題     下司味礼賛    神戸     氷屋ぞめき    このたび大阪    八の字づくし    富士屋ホテル

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.548古川 緑波全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
548 1 古川 緑波 ああ東京は食い倒れ 随筆 2261
548 2 古川 緑波 浅草を食べる 1771
548 3 古川 緑波 色町洋食 2275
548 4 古川 緑波 うどんのお化け 2514
548 5 古川 緑波 想い出 2038
548 6 古川 緑波 甘話休題 7274
548 7 古川 緑波 牛鍋からすき焼へ随筆 5265
548 8 古川 緑波 下司味礼賛 2101
548 9 古川 緑波 神戸 7183
548 10 古川 緑波 氷屋ぞめき 1984
548 11 古川 緑波 このたび大阪 2736
548 12 古川 緑波 清涼飲料 271
548 13 古川 緑波 駄パンその他 2645
548 14 古川 緑波 食べたり君よ 2116
548 15 古川 緑波 八の字づくし 1247
548 16 古川 緑波 富士屋ホテル 7863
合計冊数16  合計文字数51544

上へ

名作速読朗読文庫vol.549柳田 国男全集 読上機能付き

柳田 国男

柳田 國男(やなぎた くにお、1875年(明治8年)7月31日 – 1962年(昭和37年)8月8日)は、日本の民俗学者・官僚。現在の兵庫県神崎郡福崎町生まれで、最晩年に名誉町民第1号となった。没後に正三位勲一等。当時の池田勇人首相が「民間人とはいえ、これだけの人物に瑞宝章では軽い」と発言し旭日大綬章が供えられた。帝国憲法下の農務官僚で貴族院書記官長、終戦後から廃止になるまで最後の枢密顧問官に就いた。「日本人とは何か」その答えを求め、日本列島各地や当時の日本領の外地を調査旅行し、初期は山の生活に着目し、『遠野物語』で「願わくは之を語りて平地人を戦慄せしめよ」と述べた。日本民俗学の開拓者で、多数の著作は今日まで重版され続けている。

本文内容見本

1   海上の道             柳田国男

私は三十年ほど前に、日本人は如何《いか》にして渡って来たかという題目について所感を発表したことがあるが、それからこの方《かた》、船と航海の問題が常に念頭から離れなかった。その中の一つで是非ともここに述べておきたいのは、日本と沖縄とを連ねる交通路のことである。今では沖縄へ行くのには概《おおむ》ね西海岸の航路を取っているが、古くは東海岸を主としていたのではないかということを説いてみたいのである。 日本の南北の交通は、後《のち》に使わなくなった東海岸を余計に使っていたのではないか。古い航海には東海岸の方が便利であった。遠浅《とおあさ》の砂浜が多く、短距離を航海しながら船を陸に上げて宿をとり、話がつけば暫《しば》らくの間、あがった処《ところ》に滞在することもできた。むかしは一年に一回航海すればよかったので、年内に再びやってこようなどということは考えなかったのである。 日本では首里《しゅり》と那覇《なは》を中心点と見ることに決めてしまったので、東海岸の文化や言葉は後になって変化したのだと考えている。けれども私は最初からの違いが証明できると思う。

代表作品

海上の道     こども風土記    書物を愛する道    峠に関する二、三の考察   遠野物語     歳棚に祭る神    どら猫観察記    日本の伝説    年中行事覚書    母の手毬歌    野草雑記・野鳥雑記    山の人生     雪国の春

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.549柳田 国男全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家 作品名 文字数 文字量
549 1 柳田 国男 海上の道 7863
549 2 柳田 国男 こども風土記 49941
549 3 柳田 国男 書物を愛する道 5769
549 4 柳田 国男 峠に関する二、三の考察 5522
549 5 柳田 国男 遠野物語 45628
549 6 柳田 国男 歳棚に祭る神 2868
549 7 柳田 国男 どら猫観察記 5673
549 8 柳田 国男 日本の伝説 83529
549 9 柳田 国男 日本の伝説 28661
549 10 柳田 国男 年中行事覚書 91937
549 11 柳田 国男 年中行事覚書 52752
549 12 柳田 国男 母の手毬歌 109994
549 13 柳田 国男 木綿以前の事 52752
549 14 柳田 国男 木綿以前の事 82663
549 15 柳田 国男 野草雑記・野鳥雑記 01 野草雑記 64725
549 16 柳田 国男 野草雑記・野鳥雑記 02 野鳥雑記 89035
549 17 柳田 国男 山の人生 46377
549 18 柳田 国男 山の人生 83590
549 19 柳田 国男 雪国の春 73847
549 20 柳田 国男 雪国の春 65753
549 21 柳田 国男 夢と文芸 6912
549 22 柳田 国男 予が出版事業 4918
                  合計冊数22  合計文字数1002905

上へ

名作速読朗読文庫vol.550中谷 宇吉郎全集1 読上機能付き

中谷 宇吉郎

中谷 宇吉郎(なかや うきちろう、1900年(明治33年)7月4日 – 1962年(昭和37年)4月11日)は、日本の物理学者、随筆家。位階は正三位。勲等は勲一等。学位は理学博士(京都帝国大学・1931年)。北海道帝国大学理学部教授、北海道大学理学部教授などを歴任した。自身の研究を含め、科学を一般の人々に分りやすく伝える方法としても随筆をよくした。著書には『冬の華』『立春の卵』など。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した事も知られる

本文内容見本

5   イグアノドンの唄          ――大人のための童話――   中谷宇吉郎

カインの末裔《まつえい》の土地          終戦の年の北海道は、十何年ぶりの冷害に見舞われ、米は五分作か六分作という惨めさであった。豊作でさえ米の足りない北海道のことであるから、この年の冬は、誰《だれ》も彼も皆深刻な食糧危機におびやかされた。 それにこの冬は、例年にない珍しい大雪であった。毎日のように、暗い空からは、とめどもなく粉雪が降りつづき、それが人々の生活の上に重苦しくおおいかぶさっていた。この雪に埋《うずも》れた不安な生活の上に、陰鬱《いんうつ》な日々がただ明け暮れて行くのを、じっと我慢して春を待つより仕方がなかった。 私たち一家は、この冬を、羊蹄山麓《ようていさんろく》の疎開先で送った。此処《ここ》は有島《ありしま》さんの『カインの末裔』の土地であって、北海道の中でも、とくに吹雪の恐ろしいところである。「吹きつける雪のためにへし折られる枯枝がややともすると投槍《なげやり》のように襲って来た。

代表作品

I駅の一夜     アラスカ通信    アラスカの氷河    イグアノドンの唄    ウィネッカの冬    おにぎりの味    科学と文化    桂浜     かぶらずし     硝子を破る者    九谷焼     黒い月の世界    ケリイさんのこと

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.550中谷 宇吉郎全集1 読上機能付き

名作VOL 件数 作家            作品名 文字数 文字量
550 1 中谷 宇吉郎 I駅の一夜 4791
550 2 中谷 宇吉郎 アラスカ通信 16485
550 3 中谷 宇吉郎 アラスカの氷河 2985
550 4 中谷 宇吉郎 アラスカの氷河 10824
550 5 中谷 宇吉郎 イグアノドンの唄小説 11361
550 6 中谷 宇吉郎 ウィネッカの秋 4517
550 7 中谷 宇吉郎 ウィネッカの冬 3920
550 8 中谷 宇吉郎 おにぎりの味 1329
550 9 中谷 宇吉郎 面白味 1088
550 10 中谷 宇吉郎 貝鍋の歌 1841
550 11 中谷 宇吉郎 科学映画の一考察 随筆 1577
550 12 中谷 宇吉郎 科学と文化 4041
550 13 中谷 宇吉郎 桂浜 968
550 14 中谷 宇吉郎 かぶらずし 726
550 15 中谷 宇吉郎 硝子を破る者 7125
550 16 中谷 宇吉郎 簪を挿した蛇 10424
550 17 中谷 宇吉郎 九谷焼 7251
550 18 中谷 宇吉郎 黒い月の世界 31957
550 19 中谷 宇吉郎 『ケプロン・黒田の構想』について 随筆 3651
550 20 中谷 宇吉郎 ケリイさんのこと随筆 2333
合計冊数20  合計文字数129194

上へ

名作速読朗読文庫vol.551中谷 宇吉郎全集2 読上機能付き

中谷 宇吉郎

中谷 宇吉郎(なかや うきちろう、1900年(明治33年)7月4日 – 1962年(昭和37年)4月11日)は、日本の物理学者、随筆家。位階は正三位。勲等は勲一等。学位は理学博士(京都帝国大学・1931年)。北海道帝国大学理学部教授、北海道大学理学部教授などを歴任した。自身の研究を含め、科学を一般の人々に分りやすく伝える方法としても随筆をよくした。著書には『冬の華』『立春の卵』など。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した事も知られる

本文内容見本

5   『西遊記』の夢               中谷宇吉郎

子供の頃読んだ本の中で、一番印象に残っているのは、『西遊記』である。 もう三十年も前の話であり、特に私たちの育った北陸の片田舎には、その頃は子供のための本などというものはなかった。 子供たちは、大人の読み古した講談本などを、親に叱《しか》られながら、こっそり読んでいた。その頃 盛《さかん》に出ていた小波《さざなみ》氏の「世界お伽噺《とぎばなし》」のようなものも滅多に手に入らなかった。 あの一冊十 銭《せん》かの本は、たしか全部で百冊あったはずである。もう何回となく読みかえしたそのうちの一冊の末尾には、百冊の題目がずらりと並んでいた。その題目の一つ一つが少年の心には、あらゆる空想の種であった。これらの百冊の題目は、見開き二 頁《ページ》にぎっしり詰《つま》っていた。

代表作品

原子爆弾雑話    高度八十マイル    粉雪     語呂の論理    『西遊記』の夢    サラダの謎    実験室の記憶    島津斉彬公    写真と暮らした三十年    白い月の世界    線香花火     千里眼その他    淡窓先生の教育    寺田先生と銀座

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.551中谷 宇吉郎全集2 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
551 1 中谷 宇吉郎 原子爆弾雑話 7426
551 2 中谷 宇吉郎 高度八十マイル 3198
551 3 中谷 宇吉郎 粉雪 3830
551 4 中谷 宇吉郎 語呂の論理 7042
551 5 中谷 宇吉郎 『西遊記』の夢 10270
551 6 中谷 宇吉郎 サラダの謎 2826
551 7 中谷 宇吉郎 実験室の記憶 6971
551 8 中谷 宇吉郎 指導者としての寺田先生 4573
551 9 中谷 宇吉郎 島津斉彬公 1196
551 10 中谷 宇吉郎 「霜柱の研究」について 4895
551 11 中谷 宇吉郎 写真と暮らした三十年 3855
551 12 中谷 宇吉郎 白い月の世界 16931
551 13 中谷 宇吉郎 線香の火 1145
551 14 中谷 宇吉郎 線香花火 4732
551 15 中谷 宇吉郎 千里眼その他 13263
551 16 中谷 宇吉郎 淡窓先生の教育 1210
551 17 中谷 宇吉郎 地球の円い話 5898
551 18 中谷 宇吉郎 茶碗の曲線 ――茶道精進の或る友人に―― 4942
551 19 中谷 宇吉郎 「茶碗の湯」のことなど 5473
551 20 中谷 宇吉郎 寺田先生と銀座 1116
合計冊数20  合計文字数110792

上へ

名作速読朗読文庫vol.552中谷 宇吉郎全集3 読上機能付き

中谷 宇吉郎

中谷 宇吉郎(なかや うきちろう、1900年(明治33年)7月4日 – 1962年(昭和37年)4月11日)は、日本の物理学者、随筆家。位階は正三位。勲等は勲一等。学位は理学博士(京都帝国大学・1931年)。北海道帝国大学理学部教授、北海道大学理学部教授などを歴任した。自身の研究を含め、科学を一般の人々に分りやすく伝える方法としても随筆をよくした。著書には『冬の華』『立春の卵』など。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した事も知られる

本文内容見本

4   天地創造の話               中谷宇吉郎

天地創造の話というと、たいへん大袈裟なことになるが、一昨年即ち昭和十九年の夏から、北海道の片隅で、そういう異変が現実に起きているのである。 今まで鉄道が通り畑が耕されていたただの平地であった所が、毎日二十センチくらいの速さで隆起して来て、人家や道路が、何時の間にか丘の上に持ち上げられてしまった。そのうちに噴火が起きて、そこに突如として、四〇五メートルもの高さの火山が現出したのである。その火山は今もなお盛んに鳴動しながら、噴煙を吐いている。 そういう大異変、恐らく世界的に言っても非常に珍しい天地の変動が、現に我が国の一地点で、実際に起きつつあったのである。しかし人々は目前の戦況に心を奪われ、一日何合の米に気をとられていて、そういうことには注意を払う暇がなかったようである。

代表作品

天災は忘れた頃来る    天地創造の話    寅彦の遺跡    長岡と寺田    南画を描く話    南極・北極・熱帯の雪    日本のこころ    楡の花     比較科学論    一人の無名作家    母性愛の蟹    「もく星」号の謎    雪雑記     雪の化石

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.552中谷 宇吉郎全集3 読上機能付き

名作VOL 件数 作家             作品名 文字数 文字量
552 1 中谷 宇吉郎 寺田先生の追憶  随筆 14094
552 2 中谷 宇吉郎 テレビの科学番組随筆 3078
552 3 中谷 宇吉郎 天災は忘れた頃来る随筆 1101
552 4 中谷 宇吉郎 天地創造の話 8045
552 5 中谷 宇吉郎 寅彦の遺跡 1086
552 6 中谷 宇吉郎 長岡と寺田 3716
552 7 中谷 宇吉郎 南画を描く話 12956
552 8 中谷 宇吉郎 南極・北極・熱帯の雪 3589
552 9 中谷 宇吉郎 『日本石器時代提要』のこと 1162
552 10 中谷 宇吉郎 日本のこころ 8611
552 11 中谷 宇吉郎 楡の花 1548
552 12 中谷 宇吉郎 比較科学論 9697
552 13 中谷 宇吉郎 一人の無名作家 1240
552 14 中谷 宇吉郎 母性愛の蟹 2585
552 15 中谷 宇吉郎 「もく星」号の謎随筆 7253
552 16 中谷 宇吉郎 湯川秀樹さんのこと 随筆 1347
552 17 中谷 宇吉郎 78492
552 18 中谷 宇吉郎 雪雑記 10772
552 19 中谷 宇吉郎 雪の化石2 4565
552 20 中谷 宇吉郎 雪の十勝 ――雪の研究の生活―― 4004
合計冊数20  合計文字数178941

上へ

名作速読朗読文庫vol.553中谷 宇吉郎全集4 読上機能付き

中谷 宇吉郎

中谷 宇吉郎(なかや うきちろう、1900年(明治33年)7月4日 – 1962年(昭和37年)4月11日)は、日本の物理学者、随筆家。位階は正三位。勲等は勲一等。学位は理学博士(京都帝国大学・1931年)。北海道帝国大学理学部教授、北海道大学理学部教授などを歴任した。自身の研究を含め、科学を一般の人々に分りやすく伝える方法としても随筆をよくした。著書には『冬の華』『立春の卵』など。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した事も知られる

本文内容見本

1   雪は資源である               中谷宇吉郎

昭和二十三年の冬、北海道の大雪山で雪の調査をしたことがある。  雪の調査というのは、雪の深さを測るのではなく、雪の目方を測る調査なのである。雪は春になれば、解けて川へ流れ出るわけであるが、その時どれだけの水量が出るかは、冬の終りに山に積っている雪の量できまる。目方は雪がとけて水になっても変らないから、雪の目方を測っておけば、雪解け水の量も分ることになる。 目的が川へ流れ出る水の量を予知するところにあるので、この調査は、一つの川の集水区域全体について行なう必要がある。或る川の集水区域というのは、前にも説明したように、この区域の周囲をめぐっている分水嶺でかこまれた地域のことである。ちょっとした川でもこの地域は非常に広いので、調査はなかなか困難である。

代表作品

雪は資源である    雪を作る話    由布院行     立春の卵     流言蜚語     若き日の思い出    私の生まれた家    私のふるさと    私の履歴書

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.553中谷 宇吉郎全集4 読上機能付き

名作VOL 件数 作家            作品名 文字数 文字量
553 1 中谷 宇吉郎 雪は資源である 5630
553 2 中谷 宇吉郎 雪を作る話 3119
553 3 中谷 宇吉郎 由布院行 7652
553 4 中谷 宇吉郎 立春の卵 8777
553 5 中谷 宇吉郎 流言蜚語 2139
553 6 中谷 宇吉郎 若き日の思い出 4032
553 7 中谷 宇吉郎 私の生まれた家 1487
553 8 中谷 宇吉郎 私のふるさと 755
553 9 中谷 宇吉郎 私の履歴書 5651
合計冊数9  合計文字数39242

名作速読朗読文庫vol.554室生 犀星全集1 読上機能付き

室生 犀星

室生 犀星(むろう さいせい、本名: 室生 照道(てるみち)、1889年(明治22年)8月1日 – 1962年(昭和37年)3月26日)は、石川県金沢市生まれの詩人・小説家。別号に「魚眠洞」。戦後は小説家としてその地位を確立、多くの作品を生んだ。娘朝子をモデルとした1958年(昭和33年)の半自叙伝的な長編『杏っ子』は読売文学賞を、同年の評論『わが愛する詩人の伝記』で毎日出版文化賞を受賞。古典を基にした『かげろふの日記遺文』(1959年(昭和34年))で野間文芸賞を受賞した。この賞金から翌年、室生犀星詩人賞を創設

本文内容見本

2   あじゃり             室生犀星

下野《しもつけ》富田の村の菊世という女は、快庵禅師《かいあんぜんじ》にその時の容子《ようす》を話して聞かした。「わたくしが峯のお寺へ詣《まい》るのは、ひと年に二度ばかりでございます。春早く雪が消えるころと、秋の終りころとでございます。これはわたくしの家の掟でございまして、その折には四季に食べるお斎糧《とき》を小者にかつがせ、腐らぬ漬物などを用意してまいります。峯の阿闍利《あじゃり》さまはそのたびにわたくし一家のために護摩壇《ごまだん》に坐りながら、一年の災厄を除いてくださるのでございます。峯の御坊寺はごぞんじでしょうが、雨風に荒れてはいますが、一度お詣りをしたあとは爽《さっ》ぱりとしたよい心持でございます。わたくし一家はごらんのように十二人で暮しておりますが、先祖から御坊を信じているのでございます。

代表作品

あじゃり     荻吹く歌     お小姓児太郎    蛾     懸巣     幻影の都市    香爐を盗む    三階の家     玉章     津の国人     天狗     童子

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.554室生 犀星全集1 読上機能付き

名作VOL 件数 作家            作品名 文字数 文字量
554 1 室生 犀星 芥川の原稿 2170
554 2 室生 犀星 あじゃり 11423
554 3 室生 犀星 或る少女の死まで随筆 48764
554 4 室生 犀星 荻吹く歌 11838
554 5 室生 犀星 お小姓児太郎 7626
554 6 室生 犀星 9203
554 7 室生 犀星 懸巣 1456
554 8 室生 犀星 螽?の記 3679
554 9 室生 犀星 幻影の都市 28202
554 10 室生 犀星 香爐を盗む 20855
554 11 室生 犀星 三階の家 11665
554 12 室生 犀星 舌を噛み切った女 またはすて姫 12585
554 13 室生 犀星 しゃりこうべ 4129
554 14 室生 犀星 性に眼覚める頃 40338
554 15 室生 犀星 玉章 8738
554 16 室生 犀星 津の国人 35349
554 17 室生 犀星 天狗 3724
554 18 室生 犀星 童子 32828
554 19 室生 犀星 童話 11952
554 20 室生 犀星 とかげ 3011
合計冊数20  合計文字数309535

上へ

名作速読朗読文庫vol.555室生 犀星全集2 読上機能付き

室生 犀星

室生 犀星(むろう さいせい、本名: 室生 照道(てるみち)、1889年(明治22年)8月1日 – 1962年(昭和37年)3月26日)は、石川県金沢市生まれの詩人・小説家。別号に「魚眠洞」。戦後は小説家としてその地位を確立、多くの作品を生んだ。娘朝子をモデルとした1958年(昭和33年)の半自叙伝的な長編『杏っ子』は読売文学賞を、同年の評論『わが愛する詩人の伝記』で毎日出版文化賞を受賞。古典を基にした『かげろふの日記遺文』(1959年(昭和34年))で野間文芸賞を受賞した。この賞金から翌年、室生犀星詩人賞を創設

本文内容見本

8   不思議な国の話                  室生犀星

そのころ私は不思議なこころもちで、毎朝ぼんやりその山を眺めていたのです。それは私の市街《まち》から五里ばかり隔った医王山《いおうぜん》という山です。春は、いつの間にか紫ぐんだ優しい色でつつまれ、斑《まだ》ら牛のように、残雪をところどころに染め、そしていつまでも静かに聳《そび》えているのです。その山の前に、戸室《とむろ》というのが一つ聳えていましたが、それよりも一層《いっそう》紫いろをして、一層静かになって見えました。「あの山は何て山じゃ。あの山の奥は何処《どこ》にあるのじゃ。」  そう私は私の姉にたずね、山という不思議な、まだ私たちの見たことのない国に、何かしら私たちに近いものが住んでいるような気がしました。

代表作品

日本の庭     庭をつくる人    後の日の童子    野に臥す者    花桐     人真似鳥     姫たちばな    不思議な国の話    不思議な魚    みずうみ     ゆめの話

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.555室生 犀星全集2 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
555 1 室生 犀星 日本の庭 2406
555 2 室生 犀星 庭をつくる人 9431
555 3 室生 犀星 後の日の童子 16106
555 4 室生 犀星 野に臥す者 13415
555 5 室生 犀星 花桐 11483
555 6 室生 犀星 人真似鳥 1374
555 7 室生 犀星 姫たちばな 21077
555 8 室生 犀星 不思議な国の話 6835
555 9 室生 犀星 不思議な魚 4957
555 10 室生 犀星 みずうみ 18289
555 11 室生 犀星 ゆめの話 3239
555 12 室生 犀星 幼年時代 31630
555 13 室生 犀星 洋灯はくらいか明るいか 3094
合計冊数13  合計文字数143336

上へ

名作速読朗読文庫vol.556槙村 浩全集 読上機能付き

槇村 浩(まきむら こう、1912年6月1日 – 1938年9月3日)、は、日本のプロレタリア詩人。本名:吉田 豊道(よしだ とよみち)高知県高知市生まれ。1931年、日本プロレタリア作家同盟高知支部を作り、その後、「槇村 浩(まきむら こう)」のペンネームで作家活動をした。反戦運動・労働運動にも参加し、反戦詩『間島パルチザンの歌』は代表作とされている。槇村の作品は朝鮮人民との連帯、植民地解放を訴え、日本兵士に中国軍兵士と共同して日本軍への反乱を呼びかけるなど、当時のプロレタリア文学においても例のない国際連帯の視点に貫かれていた

本文内容見本

1   明日はメーデー               槇村浩

古ぼけたぜんまいがぜいぜいと音を立てて軋《きし》る  もう十二時になるのに    あなたはまだ帰ってこない   くすぶった電球の下で    私はもう一度紙きれを拡げてみる   ―――八時までにはかならず帰る      待っていてください  T   前の道路を行くヘッドライトが   急に大きく     ぽっかりと障子にうつる   私はぎっくりして    寒い下着の襟をかき合わす

代表作品

明日はメーデー    誤って健康を伝えられた同志たちに  異郷なる中国の詩人たちに   大江満雄に    小熊秀雄と藤原運   京都帝国大学(十四行詩)   獄中のコンミューンの戦士の詩を憶って  詩諷 大江鉄麿諷射宣言   シュレジェンの織工によせて   青春 献じる詩    世相の一面    ダッタン海峡    長靴     野兎の歌     ポスト    森山啓に

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.556槙村 浩全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家    作品名 文字数 文字量
556 1 槙村 浩 明日はメーデー 1357
556 2 槙村 浩 誤って健康を伝えられた同志たちに 随筆 383
556 3 槙村 浩 異郷なる中国の詩人たちに 随筆 503
556 4 槙村 浩 大江満雄に 304
556 5 槙村 浩 小熊秀雄と藤原運        随筆 376
556 6 槙村 浩 京都帝国大学(十四行詩)随筆 655
556 7 槙村 浩 獄中のコンミューンの戦士の詩を憶って 315
556 8 槙村 浩 獄内にてドイツの同志を思う歌 ―随筆 1977
556 9 槙村 浩 詩諷 大江鉄麿諷射宣言 441
556 10 槙村 浩 シュレジェンの織工によせて 随筆 240
556 11 槙村 浩 人民詩人への戯詩        随筆 1665
556 12 槙村 浩 青春 献じる詩(牢獄にて) 随筆 3985
556 13 槙村 浩 世相の一面 177
556 14 槙村 浩 田木繁に 249
556 15 槙村 浩 ダッタン海峡 ――ダッタン海峡  随筆 1091
556 16 槙村 浩 同志下司順吉 841
556 17 槙村 浩 同志古味峯次郎 ――現在高知牢獄紙折工なる同氏に――随筆 3312
556 18 槙村 浩 長靴 50
556 19 槙村 浩 野兎の歌 972
556 20 槙村 浩 ポスト 115
556 21 槙村 浩 毛利孟夫に 127
556 22 槙村 浩 餅の歌 ―― 1791
556 23 槙村 浩 森山啓に 446
556 24 槙村 浩 我々は牢獄で何をなすべきか 随筆 1804
合計冊数24  合計文字数23176

上へ

名作速読朗読文庫vol.557大倉 燁子全集 読上機能付き

大倉 燁子(おおくら てるこ、1886年4月12日 – 1960年7月18日)は東京府出身の小説家。本名は物集芳子。国学者物集高見の三女。二葉亭四迷や夏目漱石に師事して、本名や岩田由美や岩田百合子の名義で「兄」「生家」「母」などの小説を発表(1909年 – 1912年)。澤柳政太郎夫妻の世話で外交官と結婚後、夫とともに滞欧し、アーサー・コナン・ドイルの作品に触れる。のち離婚し、長唄の師匠となったが、探偵小説に転じ、中村吉蔵(春雨)、森下雨村、大下宇陀児らに師事する。1935年、短篇集『踊る影絵』を出版し、日本初の単行本を出版した女流探偵小説家となった。

本文内容見本

1   青い風呂敷包み                大倉 てるこ

江川初子がカフェー・ドラゴンからアパートへ帰ったのはかれこれ朝の五時頃であった。 彼女はハンド・バッグから室《へや》の合鍵を出し、扉《ドア》を開けると、冷めたい朝風がサッと顔を撫でた、オヤと思って見ると往来に面した窓が開放《あけはな》しになっている。 たしかに閉めて出た積りだったのに――、と思いながら、室内を見廻したが別に変ったこともない。 初子は窓を閉め、ついでにブラインドを降し、これからぐっすりひと寝入りしようと、戸棚に手をかけたがなかなか開かない、何か支《つか》えてでもいるのだろう? と、ぐッと力を入れて引いた拍子に、どしん! 重そうな音がして、大きな荷物が、赤い夜具と一緒に転がり出た。

代表作品

青い風呂敷包    消えた霊媒女    機密の魅惑    恐怖の幻兵団員    鷺娘     情鬼     深夜の客     心霊の抱く金塊    素晴しい記念品    魂の喘ぎ     美人鷹匠     梟の眼     魔性の女     耳香水     妖影

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.557大倉 燁子全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
557 1 大倉 燁子 青い風呂敷包 13845
557 2 大倉 燁子 あの顔 11002
557 3 大倉 燁子 アンケート 521
557 4 大倉 燁子 消えた霊媒女 15939
557 5 大倉 燁子 機密の魅惑 18663
557 6 大倉 燁子 恐怖の幻兵団員 13800
557 7 大倉 燁子 黒猫十三 14715
557 8 大倉 燁子 今年の抱負 1219
557 9 大倉 燁子 最初の印象 1469
557 10 大倉 燁子 鷺娘 10311
557 11 大倉 燁子 蛇性の執念 19186
557 12 大倉 燁子 情鬼 17742
557 13 大倉 燁子 深夜の客 14070
557 14 大倉 燁子 心霊の抱く金塊 2347
557 15 大倉 燁子 素晴しい記念品 1608
557 16 大倉 燁子 魂の喘ぎ 10024
557 17 大倉 燁子 鉄の処女 21075
557 18 大倉 燁子 鳩つかひ 14779
557 19 大倉 燁子 美人鷹匠 13029
557 20 大倉 燁子 梟の眼 11489
557 21 大倉 燁子 魔性の女 9874
557 22 大倉 燁子 耳香水 4813
557 23 大倉 燁子 むかでの跫音 11894
557 24 大倉 燁子 妖影 10715
557 25 大倉 燁子 蘭郁二郎氏の処女作 ――「夢鬼」を読みて―― 457
557 26 大倉 燁子 和製椿姫 9169
合計冊数26  合計文字数273755

上へ

名作速読朗読文庫vol.558竹内 浩三全集1 読上機能付き

竹内 浩三

竹内 浩三(たけうち こうぞう、1921年(大正10年)5月12日 – 1945年(昭和20年)4月9日)は、日本の詩人。三重県宇治山田市(現在の伊勢市)生まれ。宇治山田市吹上町に生まれた。宇治山田中学校在学中より友人と回覧雑誌を製作。1940年(昭和15年)日本大学専門部映画科入学。1942年、宇治山田中学校時代の友人中井利亮・野村一雄・土屋陽一と同人誌『伊勢文学』を創刊。同年、日本大学を卒業、入営。1945年4月、フィリピンにて戦死(厳密には生死不明[1])。入営中に記された日記(筑波日記)などに書き残された詩は、青年のみずみずしい感情を歌っている。

本文内容見本

2   雨             竹内浩三

さいげんなく    ざんござんごと    雨がふる     まっくらな空から    ざんござんごと    おしよせてくる          ぼくは     傘もないし     お金もない    雨にまけまいとして    がちんがちんと    あるいた           お金をつかうことは    にぎやかだからすきだ   ものをたべることは    にぎやかだからすきだ   ぼくは にぎやかなことがすきだ

代表作品

雨     ある夜     色のない旗    うたうたいは    海     演習     おもちゃの汽車    金がきたら    帰還     愚の旗     雲     口業

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.558竹内 浩三全集1 読上機能付き

名作VOL 件数 作家            作品名 文字数 文字量
558 1 竹内 浩三 あきらめろと云うが 515
558 2 竹内 浩三 204
558 3 竹内 浩三 ある夜 117
558 4 竹内 浩三 色のない旗 128
558 5 竹内 浩三 うたうたいは 87
558 6 竹内 浩三 200
558 7 竹内 浩三 演習一 264
558 8 竹内 浩三 演習二 149
558 9 竹内 浩三 おもちゃの汽車 89
558 10 竹内 浩三 金がきたら 257
558 11 竹内 浩三 帰還 184
558 12 竹内 浩三 愚の旗 996
558 13 竹内 浩三 121
558 14 竹内 浩三 117
558 15 竹内 浩三 行軍一 389
558 16 竹内 浩三 行軍二 219
558 17 竹内 浩三 口業 201
558 18 竹内 浩三 五月のように 416
558 19 竹内 浩三 こん畜生 181
558 20 竹内 浩三 しかられて 122
合計冊数20  合計文字数4956

上へ

名作速読朗読文庫vol.559竹内 浩三全集2 読上機能付き

竹内 浩三

本文内容見本

18   望郷              竹内浩三

東京がむしょうに恋しい。カスバのペペル・モコみたいに、東京を望郷しておる。      あの街 あの道 あの角で   おれや おまえや あいつらと   あんなことして ああいうて   あんな風して あんなこと   あんなにあんなに くらしたに         あの部屋 あの丘 あの雲を   おれや おまえや あいつらと   あんな絵をかき あんな詩を   あんなに歌って あんなにも   あんなにあんなに くらしたに

代表作品

十二ヶ月     白い雲     人生     空をかける    大正文化概論    チャイコフスキイのトリオ   手紙     東京     トスカニニのエロイカ    鈍走記     日本が見えない    兵営の桜     望郷     北海に

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.559竹内 浩三全集2 読上機能付き

名作VOL 件数 作家 作品名 文字数 文字量
559 1 竹内 浩三 射撃について 127
559 2 竹内 浩三 十二ヶ月 567
559 3 竹内 浩三 白い雲 225
559 4 竹内 浩三 人生 289
559 5 竹内 浩三 空をかける 89
559 6 竹内 浩三 大正文化概論 300
559 7 竹内 浩三 チャイコフスキイのトリオ 105
559 8 竹内 浩三 泥葬 647
559 9 竹内 浩三 手紙 217
559 10 竹内 浩三 東京 126
559 11 竹内 浩三 トスカニニのエロイカ 小説 117
559 12 竹内 浩三 鈍走記 802
559 13 竹内 浩三 鈍走記(草稿) 1035
559 14 竹内 浩三 日本が見えない 212
559 15 竹内 浩三 入営のことば 256
559 16 竹内 浩三 冬に死す 158
559 17 竹内 浩三 兵営の桜 73
559 18 竹内 浩三 望郷 220
559 19 竹内 浩三 ぼくもいくさに征くのだけれど 随筆 220
559 20 竹内 浩三 北海に 119
合計冊数20  合計文字数5904

上へ

名作速読朗読文庫vol.560竹内 浩三全集3 読上機能付き

竹内 浩三

本文内容見本

4   南からの種子                竹内浩三

南から帰った兵隊が    おれたちの班に入ってきた   マラリヤがなおるまでいるのだそうな  大切にもってきたのであろう   小さい木綿袋に    見たこともない色んな木の種子   おれたちは暖炉に集って   その種子を手にして説明をまった         これがマンゴウの種子   樟《くすのき》のような大木に   まっ赤な大きな実がなるという

代表作品

街角の飯屋で    三ツ星さん    南からの種子    麦     メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト  モオツアルトのシンホニイ四〇番   夕焼け     夜汽車の中で    よく生きてきたと思う    横町の食堂で    夜通し風がふいていた   YAMA

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.560竹内 浩三全集3 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
560 1 竹内 浩三 骨のうたう(原型) 小説 397
560 2 竹内 浩三 街角の飯屋で 151
560 3 竹内 浩三 三ツ星さん 132
560 4 竹内 浩三 南からの種子 244
560 5 竹内 浩三 114
560 6 竹内 浩三 メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト 小説 148
560 7 竹内 浩三 モオツアルトのシンホニイ四〇番 61
560 8 竹内 浩三 夕焼け 152
560 9 竹内 浩三 夜汽車の中で 251
560 10 竹内 浩三 よく生きてきたと思う 随筆 577
560 11 竹内 浩三 横町の食堂で 709
560 12 竹内 浩三 夜通し風がふいていた 小説 234
560 13 竹内 浩三 YAMA 110
合計冊数13  合計文字数3280

上へ

名作速読朗読文庫vol.561山之口 貘全集 読上機能付き

山之口 貘

山之口 貘(やまのくち ばく、1903年(明治36年)9月11日 – 1963年(昭和38年)7月19日)は、沖縄県那覇区(那覇市)東町大門前出身の詩人である。本名は、山口 重三郎(やまぐち じゅうさぶろう)。薩摩国(移住当時、後大隅国)口之島から、琉球王国へ移住した帰化人の子孫。197編の詩を書き4冊の詩集を出した。蹴られた猫が宇宙まで飛翔する『猫』、自分が地球に立つのではなく地球が自分に付着する『夜景』等、壮大で愉快な幻想を描いた楽しい詩も書いた。『僕の詩』では、自己の詩の世界は実際の世界よりも大きいと主張している。『思弁』や『雲の上』では戦争や衝突を繰り返す大国の理不尽さを、『鮪に鰯』ではビキニ核実験を描き、『貘』では獏に核兵器廃絶の願いを託した。あくまで静かに崇高な思いを込めた詩である。

本文内容見本

1   雨あがり              山之口貘

その日、朝は、どしゃ降りなのであったが、午後になると、からりと晴れて、縁側に陽がさした。硝子戸を開け放って、ぼくは机を前にしていた。女房は、ぼくの傍で繕いものをしていた。木戸の風鈴が、鳴りそこないみたいに鳴って、ミミコが帰って来たのである。「ただいまあ」    「おや、おかえんなさい」    女房は、そういいながら、針をおいて、縁側に出たのであるが、 「あら、この子、合羽どうしたの? 学校において来ちゃったの?」といった。 ミミコは、いわれてはじめて気がついたらしく、「あっ、そうだ」といいながら、小さな手を振りあげて、小さな頭をおさえてみせたのである。「おばかさんね、合羽を忘れてくるなんて、なくなったらどうするの」  母親は、そのように叱ったり、明日は忘れずに合羽を持って帰るよう念をおしたりしていたのだが、ぼくの眼にはいかにも、雨あがりの午後とでも名づけたいような、母子の風景なのであった。

代表作品

雨あがり     池袋の店     沖縄帰郷始末記    おきなわやまとぐち    詩とはなにか    酒友列伝     ダルマ船     チャンプルー    梯梧の花     夏向きの一夜    野宿     初恋のやり直し    暴風への郷愁

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.561山之口 貘全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
561 1 山之口 貘 雨あがり 1498
561 2 山之口 貘 池袋の店 1608
561 3 山之口 貘 沖縄帰郷始末記 19025
561 4 山之口 貘 おきなわやまとぐち 小説 1548
561 5 山之口 貘 声をあげて泣く  小説 401
561 6 山之口 貘 詩とはなにか 5349
561 7 山之口 貘 酒友列伝 6062
561 8 山之口 貘 装幀の悩み 1580
561 9 山之口 貘 宝くじ・その後 始めてから十三年 2290
561 10 山之口 貘 ダルマ船日記 7840
561 11 山之口 貘 チャンプルー 2846
561 12 山之口 貘 つまり詩は亡びる 随筆 2151
561 13 山之口 貘 梯梧の花 2401
561 14 山之口 貘 夏向きの一夜 1966
561 15 山之口 貘 野宿 7867
561 16 山之口 貘 初恋のやり直し 1513
561 17 山之口 貘 貧乏を売る 5686
561 18 山之口 貘 暴風への郷愁 1733
561 19 山之口 貘 楽になったという話 随筆 2217
561 20 山之口 貘 私の青年時代 7602
合計冊数20  合計文字数83183

上へ

名作速読朗読文庫vol.562実吉 捷郎全集 読上機能付き

実吉 捷郎

実吉 捷郎(さねよし はやお、1895年(明治28年)1月20日 – 1962年(昭和37年)2月15日)は日本の独文学者。1895年(明治28年)東京に生まれる。東京帝国大学卒業後、府立高等学校などで教師生活を経て、1949年(昭和24年)東京都立大学教授となる。後に桐朋学園大学教授、立正大学教授。トーマス・マンなどの日本への紹介で貢献的な役割を果たした一人である

本文内容見本

5   ヴェニスに死す  DER TOD IN VENEDIG

トオマス・マン Thomas Mann  実吉捷郎訳

第一章           グスタアフ・アッシェンバッハ――または、かれの五十回目の誕生日以来、かれの名が公式に呼ばれていたとおりに言うと、フォン・アッシェンバッハは、一九××年――これはわれわれの大陸に対して、幾月ものあいだ、じつに脅威的な様子を見せた年だったが――その年の春のある午後、ミュンヘンのプリンツレゲンテン街にある自宅から、ひとりで、かなり遠くまで散歩に出かけた。午前中の、めんどうな危険な、今まさに最大の慎重と周到と、意志の透徹と細密とを要する労作で興奮しすぎて、この作家は、自分の内部にある生産的な機関の不断の振動を――ツィツェロによれば、雄弁の本体にほかならぬ、あの「精神のたえざる動き(motus animi continus)」を、昼食後にもやはり制止することができなかった。そして気持を軽くしてくれるまどろみを見いださなかった。これは精力がますます消耗されやすくなっているこのさい、かれにとって、途中で一度はぜひ必要だったのだが。そこでかれは、茶をのみ終るとまもなく、空気と運動が元気を回復させ、有効な一夕をえさせてくれるだろうという望みをいだいて、戸外を求めた。

翻訳代表作品

ある幸福     衣裳戸棚     餓えた人々    ヴェニスに死す    神の剣     幻滅     幸福への意志    神童     鉄道事故     道化者     トニオ・クレエゲル    トビアス・ミンデルニッケル   トリスタン     予言者の家で    ルイスヒェン

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.562実吉 捷郎全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家            作品名 文字数 文字量
562 1 実吉 捷郎 「ヴェニスに死す」解説 1783
562 2 実吉 捷郎 ある幸福 12139
562 3 実吉 捷郎 衣裳戸棚 8885
562 4 実吉 捷郎 餓えた人々 7475
562 5 実吉 捷郎 ヴェニスに死す 85255
562 6 実吉 捷郎 神の剣 16145
562 7 実吉 捷郎 幻滅 6723
562 8 実吉 捷郎 幸福への意志 15587
562 9 実吉 捷郎 小フリイデマン氏 小説 24425
562 10 実吉 捷郎 神童 9360
562 11 実吉 捷郎 鉄道事故 10320
562 12 実吉 捷郎 道化者 29321
562 13 実吉 捷郎 トニオ・クレエゲル 小説 65922
562 14 実吉 捷郎 トビアス・ミンデルニッケル 小説 8705
562 15 実吉 捷郎 トリスタン 43715
562 16 実吉 捷郎 なぐり合い 16466
562 17 実吉 捷郎 悩みのひととき 8927
562 18 実吉 捷郎 墓地へゆく道 9337
562 19 実吉 捷郎 予言者の家で 7979
562 20 実吉 捷郎 ルイスヒェン 16571
合計冊数20  合計文字数405040

上へ

名作速読朗読文庫vol.563辰野 隆全集 読上機能付き

辰野 隆(たつの ゆたか、1888年3月1日 – 1964年2月28日)は、フランス文学者、随筆家。東京帝国大学教授として多くの後進を育てた。1921年に、東京帝大の助教授となり(東大仏文科初の日本人助教授)、2年間フランスに留学。1923年の帰国後教授に昇任し、1948年に定年退官するまでフランス文学の主任教授を務めた。この間、1932年より新設された明治大学文藝科でも講師(非常勤)で教えた。東大退官後は中央大学で、仏文学専攻を創設し教授を務めた。1948年に日本芸術院会員、1962年に文化功労者となった。

本文内容見本

2   雨の日              辰野隆

三年前に亡くなった母は、いたく雨を好んだ。僕の雨を愛《め》づる癖は恐らく母から承《う》けたのであろう。いまそかりし昔、僕はしばしば母と閑話を交えながら、庭に降る雨を眺め暮したことを今もなお思い出す。 雨の日なら、春夏秋冬、いつも僕は気分が快いのだ。降りだすと、僕は、雨を眺めながら、聴きながら、愛読の蕪村句集を取り出して徐ろに読み耽る癖がある。この稀有な視覚型の詩人の視野においては、「簑《みの》と傘とがもの語り行く」道のほとりに、或は「人住みて煙壁を漏る」陋屋《ろうおく》の内に、「春雨や暮れなんとしてけふもあり」という情景も床しく、「五月雨や仏の花を捨てに出る」その花の褪《あ》せた色も香も、「秋雨や水底の草蹈《ふ》みわたる」散策子の蹠《あしうら》の感覚も、「楠の根を静かにぬらす時雨」の沈静な風趣も、悉く好もしい。

代表作品

愛書癖     雨の日     感傷主義 X君とX夫人   記憶ちがい    芸術統制是非    銷夏漫筆    汝自身を知れ ベルンにて   パリの散策    二人のセルヴィヤ人

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.563辰野 隆全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家 作品名 文字数 文字量
563 1 辰野 隆 愛書癖 12092
563 2 辰野 隆 雨の日 2484
563 3 辰野 隆 感傷主義 X君とX夫人 小説 3945
563 4 辰野 隆 記憶ちがい    小説 1627
563 5 辰野 隆 芸術統制是非  小説 3978
563 6 辰野 隆 銷夏漫筆      小説 1884
563 7 辰野 隆 汝自身を知れ ベルンにて 1634
563 8 辰野 隆 パリの散策    小説 2251
563 9 辰野 隆 二人のセルヴィヤ人 小説 7085
合計冊数9  合計文字数36980

上へ

名作速読朗読文庫vol.564梅崎 春生全集 読上機能付き

梅崎 春生(うめざき はるお、1915年(大正4年)2月15日 – 1965年(昭和40年)7月19日)は、日本の小説家。「ボロ家の春秋」(『新潮』1954年(昭和29年)8月号)で第32回直木賞(1954年・下半期)を受賞。同年「砂時計」(『群像』1954年8月-1955年7月)で第2回新潮社文学賞受賞。1964年「狂ひ凧」で芸術選奨文部大臣賞受賞。「幻化」で毎日出版文化賞受賞。文学史上では第一次戦後派作家のうちの一人とされている

本文内容見本

1   Sの背中             梅崎春生    一

『猿沢佐介の背中には、きっと一つの痣《あざ》がある。しかもそいつのまんなかに、縮《ちぢ》れて黒い毛が三つ、生えているのに相違ない』 いつからか、蟹江四郎は、そう思うようになっていました。思うというより、信じるといった方がいいかも知れません。思ったり信じたりするだけではなく、時には口に出して言ってみたりさえするのです。もちろん人前でではなく、こっそりとです。七五調の新体詩みたいな調子のいい文句ですから、つい口の端に出て来やすいのでした。 ひとりで部屋でお茶を飲んでいる時とか、道を歩いている時などに、だから彼はふと呟《つぶや》いています。ちょいと呪文《じゅもん》のような具合なのです。『猿沢佐介の背中には、節穴みたいな痣がある。そしてそいつのまんなかに――』 それを呟くとき、蟹江四郎の顔はいつもやや歪《ゆが》み、表情もいくらか苦渋《くじゅう》の色をたたえてくるようです。ふだんから突き出たような眼玉が、そんな時はなおのこと、ぎょろりと飛び出してくるように見えました。 しかしこの七五調仕立ての文句は、その発想において、間違っていました。それは蟹江自身もよく知っていました。本来ならば、これは次のように言うべきなのです。『三本の黒い縮れ毛の生えた、直径一 糎《センチ》ほどの痣が、この世のどこかに存在する。誰かの背中にきっと貼《は》りついているのだ。その誰かというのは、あの猿沢佐介に違いない』

代表作品

Sの背中     黄色い日日    記憶     狂い凧     幻化     魚の餌     桜島     蜆     庭の眺め     日の果て     風宴     ボロ家の春秋    凡人凡語

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.564梅崎 春生全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家 作品名 文字数 文字量
564 1 梅崎 春生 Sの背中 22985
564 2 梅崎 春生 黄色い日日 25494
564 3 梅崎 春生 記憶 10274
564 4 梅崎 春生 狂い凧 57795
564 5 梅崎 春生 狂い凧 53136
564 6 梅崎 春生 幻化 72543
564 7 梅崎 春生 魚の餌 4945
564 8 梅崎 春生 桜島 35172
564 9 梅崎 春生 12210
564 10 梅崎 春生 庭の眺め 7356
564 11 梅崎 春生 日の果て 42258
564 12 梅崎 春生 風宴 23197
564 13 梅崎 春生 ボロ家の春秋 38299
564 14 梅崎 春生 凡人凡語 15500
上へ

名作速読朗読文庫vol.565甲賀 三郎全集 読上機能付き

甲賀 三郎

甲賀 三郎(こうが さぶろう、1893年(明治26年)10月5日 – 1945年(昭和20年)2月14日)は、小説家・作家・推理作家、戯曲作家。本名は春田 能為(はるた よしため)。作風に関しては「甲賀は本格派の第一人者として自他共に許し、常に探偵小説の正道を行くものとして、その作風は大上段に振りかぶって爽快だった」、「大体が真っ向ひた押し型の堂々たる作風だった」と評し、キメの細かい大下の作風と対照して、「同じような経歴を持ち、同じ勤め先から相前後して作家として世に出ながら、その作風がまるで違っているということは、真に興味深いことだったが、二人とも探偵文壇の巨頭であったことは言うまでもない」と結んでいる。

本文内容見本

9   琥珀のパイプ               甲賀三郎

私は今でもあの夜の光景《ありさま》を思い出すとゾットする。それは東京に大地震があって間もない頃であった。 その日の午後十時過ぎになると、果して空模様が怪しくなって来て、颱風《たいふう》の音と共にポツリポツリと大粒の雨が落ちて来た。其の朝私は新聞に「今夜半颱風帝都に襲来せん」とあるのを見たので役所にいても終日気に病んでいたのだが、不幸にも気象台の観測は見事に適中したのであった。気に病んでいたと云うのは其の夜十二時から二時まで夜警を勤めねばならなかったからで、暴風雨中の夜警と云うものは、どうも有難いものではない。一体この夜警という奴は、つい一月 許《ばか》り前の東都の大震災から始まったもので、あの当時あらゆる交通機関が杜絶《とぜつ》して、いろいろの風説が起った時に、焼け残った山ノ手の人々が手に手に獲物を持って、所謂《いわゆる》自警団なるものを組織したのが始まりである。 白状するが、私はこの渋谷町の高台から遙《はるか》に下町の空に、炎々と漲《みな》ぎる白煙を見、足許には道玄坂を上へ上へと逃れて来る足袋はだしに、泥々の衣物を着た避難者の群を見た時には、実際この世はどうなる事かと思った。

代表作品

愛の為めに    青服の男     キビキビした青年紳士    蜘蛛     計略二重戦 少年密偵   血液型殺人事件    黄鳥の嘆き    琥珀のパイプ    殺人迷路     真珠塔の秘密    徹底的な浜尾君    ドイルを宗とす    贋紙幣事件    ニッケルの文鎮    支倉事件     罠に掛った人

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.565甲賀 三郎全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家 作品名 文字数 文字量
565 1 こうが さぶろう 愛の為めに 11942
565 2 こうが さぶろう 青服の男 14536
565 3 こうが さぶろう キビキビした青年紳士 1427
565 4 こうが さぶろう 蜘蛛 11307
565 5 こうが さぶろう 計略二重戦 少年密偵 小説 10613
565 6 こうが さぶろう 血液型殺人事件 35849
565 7 こうが さぶろう 黄鳥の嘆き 41972
565 8 こうが さぶろう 「黒死館殺人事件」序 936
565 9 こうが さぶろう 琥珀のパイプ 18980
565 10 こうが さぶろう 殺人迷路 10     小説 6970
565 11 こうが さぶろう 真珠塔の秘密 8258
565 12 こうが さぶろう 徹底的な浜尾君 1584
565 13 こうが さぶろう ドイルを宗とす 838
565 14 こうが さぶろう 贋紙幣事件 9066
565 15 こうが さぶろう ニッケルの文鎮 19232
565 16.1 こうが さぶろう 支倉事件 53515
565 16.2 こうが さぶろう 支倉事件 73147
565 16.3 こうが さぶろう 支倉事件 78767
565 17 こうが さぶろう 罠に掛った人 10461
上へ

名作速読朗読文庫vol.566小酒井 不木全集 読上機能付き

小酒井 不木

小酒井 不木(こさかい ふぼく、本名:小酒井 光次(こさかい みつじ)、1890年(明治23年)10月8日 – 1929年(昭和4年)4月1日)は、日本の医学者、随筆家、翻訳家、推理作家。別名「鳥井零水」。 SFの先駆者とも言われる。東北帝国大学教授であり、医学博士でもある。当時、生理学の世界的な権威だった。

本文内容見本

6   暗夜の格闘                小酒井不木

白金塊《はっきんかい》の紛失          紅色ダイヤ事件の犯人は、意外にも塚原俊夫君の叔父さんでしたから、悪漢の捕縛を希望しておられた読者諸君は、あるいは失望されたかもしれませんが、これから私のお話しするのは、先年来、東京市内の各所を荒らしまわった貴金属盗賊団を俊夫君の探偵力によって見事に一網打尽にした事件です。 十月のある真夜中のことです。正確に言えば午前二時頃ですから、むしろ早い朝といった方がよいかもしれません。一寝入りした私は、はげしく私たちの事務室兼実験室の扉《ドア》を叩く音に眼をさましました。「俊夫さん、俊夫さん」     と女の声で、しきりに俊夫君を呼んでいます。私が、  「俊夫君」      と言って、隣の寝台《ベッド》に寝ている俊夫君を起こすと、 「知っているよ、ありゃ木村のおばさんの声だ」   と言って俊夫君は大急ぎで洋服を着て、扉を開けにゆきました。

代表作品

誤った鑑定    暴風雨の夜    按摩     暗夜の格闘    遺伝     犬神     印象     江戸川氏と私    恐ろしき贈物    怪談綺談     外務大臣の死    科学的研究と探偵    稀有の犯罪    現場の写真

こちらをクリックすると商品がご利用できます–>

名作速読朗読文庫vol.566小酒井 不木全集 読上機能付き

名作VOL 件数 作家           作品名 文字数 文字量
566 1 小酒井 不木 誤った鑑定 7530
566 2 小酒井 不木 暴風雨の夜 9909
566 3 小酒井 不木 ある自殺者の手記 随筆 5729
566 4 小酒井 不木 安死術 7012
566 5 小酒井 不木 按摩 3963
566 6 小酒井 不木 暗夜の格闘 11193
566 7 小酒井 不木 遺伝 3534
566 8 小酒井 不木 犬神 7815
566 9 小酒井 不木 印象 8320
566 10 小酒井 不木 江戸川氏と私 1399
566 11 小酒井 不木 恐ろしき贈物 8559
566 12 小酒井 不木 怪談綺談 5331
566 13 小酒井 不木 外務大臣の死 9840
566 14 小酒井 不木 科学的研究と探偵 随筆 6454
566 15 小酒井 不木 狂女と犬 10991
566 16 小酒井 不木 愚人の毒 15875
566 17 小酒井 不木 国枝史郎氏の人物と作品 2548
566 18 小酒井 不木 稀有の犯罪 11423
566 19 小酒井 不木 血友病 3529
566 20 小酒井 不木 現場の写真 7911
合計冊数 20 合計文字数 148865

上へ