注文の多い料理店/宮沢賢治 <あらすじ、要約>

注文の多い料理店/宮沢賢治 <あらすじ、要約>

 

宮沢賢治といえば、誰もが 銀河鉄道の夜 と 注文の多い料理店 を思い浮かべる名作です。

注文の多い料理店 は、典型的な風刺の童話作品です。

食べる側と食べられる側 の立場が逆転してしまうというユーモラスな設定になっています。

本来、人間が動物を食べるのですが、 注文の多い料理店 では 動物が人間を食べる 設定にすることで、傲慢な人間がちょっとしたことで弱者に変わるということが見事に強調されています。

作者の宮沢賢治自身も 田舎の貧しい子供たちと、都会文明とその傲慢さの対比 をテーマとして、
本作品を書き上げたといっています。

有名な 銀河鉄道の夜 にしても、親友が実は亡くなっていたという結論ですが、
主人公に葛藤はあっても、死んだ親友にとっては満足した一生だという描き方になっています

注文の多い料理店 においても残酷な結末にはならず終わっています

 

 

注文の多い料理店/宮沢賢治>の主な登場人物は2人(+犬2匹)です。

1、2人の紳士  自己中心的で、犬が死んだというのに金勘定ばかりしている

2、2匹の犬   紳士を助けるため、よみがえる

 

<注文の多い料理店/宮沢賢治> あらすじ、解説

自己中心的な2人の紳士が、狩りで迷子に~
猟銃をもった2人の若い紳士が、山に狩りに来ていました。
山は深い奥地にあり、おそろしい雰囲気をしていました。

山を案内してくれた人とは途中ではぐれてしまい、連れてきた2匹の犬も死んでしまいました。
そのうえ獲物が1匹もとれなかったので、2人の紳士は山を下りようとしますが、
2人は  やれいくら損した というお金の話ばかりをしています。

そのうち、風は強まり、木々はざわめき、山は異様な空気に包まれていき、
ついには2人の紳士は道に迷ってしまいました。
さすがの2人も次第に怖くなっていきましたが、ふと後ろを振り返ると立派な洋館が立っているのがみえました。
振り返ると、そこにはレストランが~

洋館は 山猫軒(やまねこけん) というレストランで、やたらとたくさんの扉がありました。
2人の紳士は、安心してレストランの中へと入っていきました。
すると、
当軒は注文の多い料理店ですから、どうかご了承ください
と書いてあります。

紳士たちは さぞ繁盛しているのだろう と考え、感心しながら進んでいきました。
次々とおかしな注文がくるが~
次の扉には、
髪を整えて、靴の汚れを落としてください
と書かれています。

紳士たちは素直に、置いてあったブラシで指示に従いました。
指示を終えると、不思議なことにすーっとブラシは消えてなくなりました。
驚きはするものの、紳士たちはどんどん中に進んでいきます。

次の扉には、
鉄砲と弾丸を置いてください
と書いてあります。
これにも素直に従う紳士たち~。
その次の扉には、
帽子とコート、靴を脱ぐこと
と書いてあります。

その次は
金属、とがったものを置くこと
次は
クリームを塗ること
次は
頭に香水をかけること
次は
塩をもみこむこと

ここまできて2人の紳士はようやく気が付きました。
山猫軒 というレストランは、客に料理を食べさせる のではなく、客を料理として食べる のだということに~。

絶体絶命のピンチを救うのは~!
2人は慌てて逃げ出そうとしますが、前の扉の鍵穴から、
大きな青い眼玉がキョロキョロとこちらをのぞいていました。

あまりに恐ろしく、2人はただただ泣くばかりで、もう動くことができません。
ーその瞬間。
突然、後ろの扉が壊され、2匹の犬が走ってきました。
それは死んだはずの紳士たちの犬で、前の扉に向かって突進していきます。
扉の向こうでは戦うような大騒ぎになったあと、しばらくすると山猫軒 はけむりのように姿を消し、2人の裸の紳士がただ立ちつくしていました。

その後、はぐれた案内人が戻ってきて、2人の紳士は無事に帰ることができましたが、
恐怖のあまりクシャクシャになった顔はもう元には戻りませんでした。

 

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