こころ/夏目漱石 <あらすじ、要約>

こころ/夏目漱石 <あらすじ、要約>

こころ は夏目漱石の代表作で、多くの方が一度は聞いたことがあると思います。
夏目漱石には他にも 吾輩は猫である や 坊っちゃん などの有名作品があります、

こころ は 人間の愛と身勝手さ(エゴイズム) をテーマとした作品です。

 

<こころ/夏目漱石>の主な登場人物は4人です。

主人公である 私 、暗い雰囲気の 先生 、先生の 奥さん 、先生の大学時代の親友 K 。

こころ/夏目漱石 <あらすじ 要約>

私(主人公)と先生の出会い

私(主人公) は高校時代に鎌倉の海岸で 先生 と出会います。
先生は暗い影のある風変わりな人で、私は先生に惹かれていき、しばしば先生の自宅を訪れるようになります。

先生は現代の ニートのような人で、特に仕事はしておらず、人付き合いもほとんどないようでした。
その一方で、美しい奥さんはいて、現在はかつての財産を使って暮らしていたようです。
先生は毎月誰かの墓参りに行っているようですが、私が尋ねても先生は何も教えてくれません。
私は先生の謎めいた雰囲気により惹かれていき、高校時代に出会ってから大学の卒業まで先生の家に頻繁に通います。

そのうちに、私は奥さんと親しくなり、先生についていろいろと教えてもらうようになります。
奥さんによると 先生は大学時代の親友の変死から性格が変わった そうです。
かつて先生は私に 恋は罪だ 、人間はいざという時に誰でも悪人になる と強い口調で話したことがあったことから、私は 先生の大学時代に何かあり、それがきっかけで先生は変貌した と考えるようになります。

私は先生の過去にどんなことがおきたのか聞き出そうとしますが、先生は一向に教えてくれず、
時期が来たら残さず話す と言うだけでした。

 

先生の遺書

私は大学を無事に卒業しますが、就職先は決まらないままでした。
そこで先生に就職先について相談するため、先生に手紙を出します。
しばらく返事が来ず時間だけが過ぎますが、父が危篤状態になったとき先生から長文の手紙が届きます。

その手紙の最後には この手紙が届くころ、私はこの世にいない と綴られていました。
手紙は、先生から私への遺書だったのです。

 

先生の自殺と過去

先生から届いた遺書には彼の過去が記されていました。
その遺書には、先生がもつ 人への不信感 と 過去の過ちと後悔 が長々と綴られていました。
先生は20歳で両親を失い、親から遺産を受け取りますが、信頼していた祖父に騙されその遺産を奪われます。

これが 人への不信感 の大きな原因へとつながり、先生は親類と縁を切ることになります。
その後故郷の新潟を離れ、上京した下宿先で 現在の奥さん にあたる女性(お嬢さん)と出会います。

先生は 人への不信感 が払拭されないままでしたが、お嬢さん と交流をしていくうちに恋心が芽生え始めます。
そんな時、親友の K が親に勘当され困っていたため、先生は自分の下宿先に K を同居させます。
すると K も次第に お嬢さん に惹かれていき、そのことを先生に打ち明けます。
しかし、先生も お嬢さんのことが好きだったため、K を裏切って K に内緒で お嬢さんとの結婚話を取り付けてしまいます。

その後 K は先生の裏切りを知り、それを苦に自殺します。
Kは遺書を残しますが、そこには先生への恨みや妬みなどは一切書かれていませんでした。
K の死後、先生は お嬢さん と結婚しますが、ずっと K への 罪の意識 にさいなまれ続けます。

これが冒頭の先生が私に言った 恋は罪だ  人間はいざという時に誰でも悪人になる という言葉に繋がっています。
そして先生は 罪の意識 と 自分の身勝手さ(エゴイズム)   に耐えられなくなり、ついに自殺します。

その先生の遺書を私が読み終えたところで <こころ>は終了します。

 

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