浮雲/二葉亭四迷 <あらすじ、要約>

浮雲/二葉亭四迷 <あらすじ、要約>

 

浮雲 の作者である二葉亭四迷の描く作品は 言文一致体(話し言葉で文章を書くこと) が特徴で、
浮雲を発表した当時は人々を大いに驚かせました。

特に代表作である浮雲は、読みやすい話し言葉を通して日常的な恋愛を描きながらも、
作品の中では厳しく自主性に欠ける日本国民を批判しています。

物語は ただの三角関係に見えますが、作品を通して 実行力を欠く文三 と 周りに流され自己のないお勢 の姿が強調されています。触れ動く主人公の葛藤が見せ場となります。

結局、文三とお勢の恋がどうなったのかはわかりませんが、自主性 がテーマとなっている以上、
勇気のない文三と 自分のないお勢が結ばれることは一筋縄ではいかないでしょう。

浮雲は途中の第3篇で中断されたままなので 未完の大作 とよく言われますが、
主人公たちの恋愛を読者に連想させる結果となったことも名作として受け継がれているわけです。

浮雲 は言文一致体ですので、比較的読みやすいので、中学、高校生にもおすすめできる名作です。

 

<浮雲/二葉亭四迷>の主な登場人物は4人です。

1、主人公であり容量の悪い   文三(ぶんぞう)

2、文三が恋い焦がれる従妹の   お勢(せい)

3、お勢の叔母で抜け目ない   お政(まさ)

4、文三の恋敵   本田

浮雲/二葉亭四迷<あらすじ 要約>

文三 と お勢

文三 は寄宿先で従妹の お勢 に英語を教わるうちに、次第にお勢のことが好きになるようになりました。
そして文三は勝手に お勢も自分ことが好きだろう と思い込んでいました。
仕事中も文三の頭の中はお勢でいっぱいで、仕事に身も入らず、
ついには役人の職をクビになってしまいました。
文三が無職になったことを知ったお勢の叔母の お政 は文三にさんざん嫌味を言い、
だんだんと文三のことをうとましく思うようになっていきました。
お勢にしても文三の理想主義的な考えに嫌気がさしているようでした。
そんなある日、昔の同僚であった 本田 が文三のもとを訪ねてきました。
本田は文三とは正反対の人間で、世渡り上手で出世街道を突き進んでいました。
本田は文三の容量の悪さをあざ笑うのでした。

本田はその後も文三のもとに足繁く通うようになり、次第にお勢と親密になっていきます。
叔母のお政も本田を気に入ったようで、お勢にしても本田に好意を抱いているようでした。
ある日、本田と文三が口論しているとお勢は本田の肩ばかりをもち、
ついには 本田を好きになった と口走りました。

初めて明確に知ったお勢の本心に文三はひどく傷つきました。
しかし、それでも文三はお勢のもとを離れることはできませんでした。
やがて、お勢は本田と距離を置くようになりますが、その本心は文三にもお政にもわかりませんでした。文三は離れつつあるお勢の心がいつか自分に戻ってくると夢見るのでした。

 

主人公の恋 前途多難

主人公である 内海文三(うつみぶんぞう) は下級官吏(かんり 役人)として勤務しており、
今は叔母の お政(まさ) もとで生活していました。
文三はお政の娘である お勢(せい) に英語を教わるうちに、次第に彼女のことを好きになっていきました。しかし文三は容量の悪さと勇気のなさからお勢に思いを伝えることはできていませんでした。
文三自身はお勢も自分に惚れていると勝手に思い込み、日々を悶々と過ごしていました。
仕事中にもお勢のことばかりを考えてしまい、ついには官吏の職をクビになってしまいました。
それを聞いた叔母のお政は  文三は要領が悪い と散々嫌味を言い、次第に文三のことをうとましく思うようになっていきました。お勢にしても文三の理想主義的な態度に嫌気がさしているようでした。
文三は悔し涙に暮れ、すぐにでもこんな家を出て行ってしまおうと考えますが、
恋するお勢のことを思うとどうにも動けないのでした。

 

文三のライバル 本田

しばらくすると、文三の昔の同僚だった 本田昇(ほんだのぼる)が文三のもとを頻繁に訪ねてくるようになります。
そのうちに本田は叔母のお政に気に入られるようになり、次第にお勢とも親密になっていきました。
本田は文三とは正反対の人間で、文三は勉強はできる一方で容量悪く不器用だったのに対し、
本田は勉強はできないものの世渡り上手で出世街道を歩んでいました。
仲良く話す本田とお勢の姿を見ては、文三はお勢の心が自分から離れて本田に傾いているのではないかと日に日に不安になっていくのでした。そんな文三の不安をよそに、お勢は本田とお酒を飲んだりして上機嫌になったりと、文三の心をさらに逆撫でするのでした。

 

思いを断ち切れない文三

ある日、本田が文三に復職の話をもってきました。
本田は 自分がうまく動いたおかげで文三は職場復帰できるかもしれないと恩着せがましく
お勢の前で文三に言ってのけました。日頃から本田が自分をあざ笑っていたことを知っていた文三は憤り、本田に絶交を言い渡しますが、それも軽くあしらわれてしまうのでした。
そんな文三と本田の口論が続いていくうちに、お勢は本田をかばうような言い方ばかりしました。
そして、ひょうんなことからお勢は 本田を好きになった と文三に伝えました。
お勢の明確な感情は、文三をひどく傷つけました。
しかし、それでも文三はお勢のもとを離れることはできませんでした。
文三はただただお勢を見守るだけで、どうすることもできませんでした。
やがてお勢は本田と距離を置くようになり、以前よりは文三との仲もいくらか戻ったように感じられましたが、文三にもお政にもお勢の本当の気持ちはわからないままでした。
文三は離れつつあるお勢の心がいつか自分に戻る日を夢見るのでした。

 

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