伊勢物語 <あらすじ、要約>
伊勢物語 はご存じのように、平安時代のプレイボーイ、藤原業平(ふじわらのなりひら)をモデルにした物語です。
千早ぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは
の歌は 百人一首 にも収録されています
最近は 漫画 ちはやふる 映画 でも有名な歌です。
伊勢物語 全体としては200以上の歌が収録されていて、どれも高く評価されています。
自然の美しさを色彩豊かに表現し、時には愛する気持ちを 直接 素直に 言葉にしています。
とくに藤原業平が生きていた平安初期の頃は、モテモテ に評価されていて、同時に和歌の才能が重視されていた時代でした。
伊勢物語 の作者は、藤原業平自身だったと考えられていますが、彼の子供や実力のある歌人が修正□加筆していった可能性もあります。
伊勢物語 の文章は、高校の古文ができる方は 原文でも読めます
小説に飽きた方には、非常におススメできる名作です
伊勢物語<あらすじ 要約>
□ 昔、 ある男が狩りをしていると、とても美しい姉妹と出会ました
□ 男は姉妹に心を奪われ、来ていた服(狩衣 かりぎぬ)の裾(すそ)に歌を書いて送りました
春日野の 若紫の すりごろも しのぶの乱れ かぎりしられず
(春日野に芽生えた 若々しい紫草のように美しいあなたたちを見ると 私のこころは この しのぶずり のように乱れてしまいました)
□ 男は京都で、ある女性(二条の后 にじょうのきさき)と恋に落ちたました
□ 相手は天皇の妻であったため、人目を避けて通っていました
□ ところが、しばらくすると秘密の抜け道が警備され、会うことが難しくなってしまいました
人しれぬ わが通ひ路の 関守は よひよひごとに うちも寝ななむ
(人に気づかれないように こっそりと通っていたあの抜け道を守っている関守が 毎晩ちょっとだけでも 眠ってくれたらいいのにな)
□ 男の恋は叶わず、京から離れるように東国に旅立ちました
□ 友人を2人ほど連れて行ったが、道を知っているものはおらず、心細い旅が続きました
□ 隅田川を渡っているころ、ある見慣れない白い鳥が目につきました
□ 渡守(舟をこぐ船頭)によると、その鳥は 都鳥 というらしいです
名にしおはば いざ言問はむ みやこどり わが思ふ人は ありやなしやと
(お前が名前に都という名をもっているのならば 聞いてみたいことがある 私の愛した人は 今も無事でいるのだろうか)
□ しばらくして、男はある女性(伊勢の斎宮 いせのさいぐう)と恋に落ちました
□ 女性は人目を忍んで会いに来てくれたが、何も話さず帰ってしまいました
□ 彼女からの連絡はなく、男は嘆き悲しみ、彼女に歌を送りました
かきくらす 心の闇に まどひにき 夢うつつとは 今宵さだめよ
(悲しみに染まる私の心は 闇の中をさまよっています あの出来事が 夢だったのか現実だったのか 今晩決めてください)
□ 女性からは、下の句がない未完成の歌が届きました
かち人の 渡れど濡れぬ えにしあれば
(あなたへと会うために通った入江は 歩いても濡れないほど浅いものでした<私たちの関係も同じように浅かったのです>)
□ 男は続きを書いて、歌を送りかえしました
またあふ坂の 関はこえなむ
(それほど浅いのであれば 今度は私が関所を超えて あなたに会いに行きましょう)
□ しかし男の恋が叶うことはなく、男は人と自然に思いをはせていきました
□ ある秋のこと、水面(みなも)が一面の紅葉で染まっていました
千早(ちはや)ぶる 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは) からくれなゐに 水くくるとは
(いろいろと不思議の多かった 神代の昔でも聞いたことがない 龍田川が 紅葉で水を真っ赤な<から紅>に染めるなんて)
□ 男は次第に老いていき、人生を振り返りました
□ 多くの恋をし、友情に涙し、出世を志したこともありました
□ 死の間際、男は最後に歌を読み上げました
つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど きのふけふとは 思はざりしを
(人は必ず死ぬということは聞いていた しかしそれが昨日や今日 自分の身に訪れるとは思ってもみなかったな)
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