日本古典年表

 

日本古典年表には、国語や歴史の教科書に掲載されているような著名な作品・資料・人物を記載しました。

解説文は、主に中学生・高校生を対象としてわかりやすく説明してあります。

流れが理解しやすいように 教科書等で見慣れている年表 という形式で

それぞれの資料の解説文を簡潔にいれてあります。

文学のみならず、社会の歴史事象の 理解補助にも役立ちますので ご活用ください。

時代 西暦 古典名、内容 出来事
奈良時代 712 【古事記】

太安万侶が、稗田阿礼のそらんじていた古伝承を筆録したものである      内容は神代から推古朝に至る
神話・伝説・歌謡など

710 平城京へ遷都
奈良時代 720 【日本書紀】

舎人親王編   神代から持統天皇に至る編年体の史書   叙述は漢文体 である

720 藤原不比等が死去
奈良時代 751 【懐風藻】

現存する最古の漢詩集   編者は淡海三船との説があるが未詳である

731 大伴旅人が死去
奈良時代 759 【万葉集】

仁徳~淳仁天皇までの歌約4500首を収めた最古の和歌集   「万葉集」の意味は、万(よろず)の言(こと)の葉を
あつめたものとする説と、万世(よろずよ)に伝わるようにとの願いから題されたとする説がある   編集は大伴家持
による私撰との説があるが、編者・成立事情とも未詳   作者は天皇から庶民までと広く、生活に密着した素朴な歌
が多い

752 東大寺大仏開眼供養
754 鑑真が来日
平安時代 905 【古今和歌集】

醍醐天皇の勅命で紀貫之らが編集した、最初の勅撰和歌集   約1100首を所収するが、ほとんどが5・7・5・7・7の
31音からなる短歌であり、「万葉集」以来の旋頭歌(せどうか)と長歌は大きく減少した   理知的技巧的手法による
優美・繊細な歌が多く、「万葉集」の男性的な「ますらをぶり」に対し「たをやめぶり」とよばれる

901 菅原道真を大宰府に左遷
平安時代 不明 【竹取物語】

作者未詳ながら、漢籍や仏典に詳しい男性知識人と推測される   成立年次も未詳ながら、「源氏物語」絵合の
巻で「物語の出で来はじめの祖(おや)」とあるように、日本最初のかなによる物語   かぐや姫にまつわる伝奇物語で、
チベットにもよく似た話があり、その関係が論じられている

平安時代 不明 【伊勢物語】

成立年次不明   六歌仙の一人である在原業平に関する小話を、業平の身近の人が綴った歌物語   貴族風に
洗練された「みやび」の精神が物語の基調をなしており、後代の文学作品、とくに「源氏物語」に大きな影響を
あたえた

平安時代 935 【土佐日記】

紀貫之が土佐守の任を終えて帰京するまでの55日間の旅日記   自身を女性に仮託、仮名で書かれた最初の
日記文学   知人との別れ、人情の機微、自然の脅威、行く先々での感慨など内容は多岐にわたり、なかでも、
土佐で失った愛娘に対する哀悼の叙述は印象深い   また、全編に57首の歌を配しながら歌論をわかりやすく
展開し、歌道の入門書的な役割もはたしている   男性の漢文日記にかわる新しい表現の可能性を切りひらき、
後の平安女流文学の基礎を築いた

935 承平天慶の乱
平安時代 951 【後撰和歌集】

村上天皇の勅命で源順らが撰進を始める   三代集の一つで第二勅撰集   成立年次は未詳である

平安時代 956 【大和物語】

作者未詳の歌物語   この頃に原形が成立したと思われる

960 中国に宋が起こる
平安時代 974 【蜻蛉日記】

右大将藤原道綱の母が不遇な夫婦生活を綴ったもの   最初の女流日記で、当時の貴族の一夫多妻時代に
おける女性の苦悩を描く   この年以降に成立

平安時代 不明 【落窪物語】

わが国最古のまま子いじめの物語   作者・成立年代とも未詳だが、一条天皇初期に成立か

平安時代 1000 【拾遺和歌集】

一条天皇の勅で花山院か藤原公任が撰進      三代集の一つ      このころ成立か

995 藤原道長が右大臣に
平安時代 1002 【枕草子】

清少納言による最古の随筆      約300段からなり、宮廷生活での主人・一条天皇中宮定子をはじめとする多くの
人々との交流、自然や人生についての随想を綴る      作品を流れる文学精神は、明るく理知的な「をかし」(対象を
客観的に眺める美)であり、同時代の「源氏物語」が「あはれ」の文学であったことと対比される      後代の随筆文学、
とりわけ吉田兼好の「徒然草」に大きな影響をあたえた

1000 定子が皇后に、彰子が中宮となる
1000 定子が死去
平安時代 1004 【和泉式部日記】

師宮敦道(そちのみやあつみち)親王との恋愛を主題に、物語風に描かれた和泉式部の日記      このころ成立か

平安時代 1008 【源氏物語】

紫式部による全編54帖からなる長編物語      前編は光源氏、後編はその子薫君を中心に多くの女性を配して、
宮廷貴族の生活を描いている      このころ一部が世に流布      日本女流文学随一の傑作として有名である

平安時代 1008 【紫式部日記】

紫式部の、宮廷生活中の見聞・感想を記す      この年から数年後に成立した

1016 藤原道長が摂政になる
平安時代 1055 【堤中納言物語】

10編の短編物語集      のうち「逢坂越えぬ権中納言」は小式部の作で、他の9編は未詳      1055年に近いころ成立

1051 前九年の役
1053 平等院鳳凰堂が完成
平安時代 不明 【夜半の寝覚】

作者・成立未詳      寝覚の君の心理追求を特色とする悲恋物語      『源氏物語』の影響を受ける

平安時代 1060 【更級日記】

菅原孝標の女(むすめ)の作      少女時代から夫の死後までの40年間の追憶記      このころ成立

平安時代 1060 【栄花物語】

作者・成立年次未詳      宇多~堀河天皇間の編年体歴史物語      藤原道長の栄華が中心である

平安時代 1086 【後拾遺和歌集】

白河天皇の勅によって藤原通俊が撰進      第四勅撰集      女流歌人の作が多い

1083 後三年の役
平安時代 1086 【大鏡】

作者未詳      文徳~後一条天皇間の紀伝体歴史物語      白河~崇徳天皇間に成立      二人の老人に自分たちが
見聞したことを語らせ、そこに若い侍を質問役として登場させ、それを会衆がきくという趣向がとられている
おもに藤原氏栄華のさまを叙述      「今鏡」「水鏡」「増鏡」とあわせて四鏡というが、中でも「大鏡」は傑出した
作品として名高い

1086 白河上皇が院政
平安時代 1106 【今昔物語】

源隆国の編集との説もあったが、今日ではほぼ否定されて未詳      日本・中国・インドに分けて1000余の説話を
集成      各説話が「今は昔」と語りはじめるところからこの名があり、全31巻の巻8、巻18、巻21の3巻は欠けている
当時の世相を知る資料が多い      このころ成立か

平安時代 1127 【金葉和歌集】

白河法皇の院宣で源俊頼が撰進      第五勅撰集

1129 鳥羽上皇の院政
平安時代 1151 【詞花和歌集】

崇徳上皇の院宣で藤原顕輔が撰進      第六勅撰集

1156 保元の乱
1159 平治の乱
平安時代 1169 【梁塵秘抄】

後白河院撰による歌謡集      このころ成立

1167 平清盛が太政大臣になる
平安時代 1170 【今鏡】

作者は藤原為経か      『大鏡』の設定に倣い、長谷寺詣での途中に出会った老女の昔語りという形式で、
後一条天皇~高倉天皇の約150年間の歴史を紀伝体で綴っている      1170年成立が有力      全10巻

1175 法然が浄土宗を開く
平安時代 1187 【千載和歌集】

後白河法皇の院宣で藤原俊成が撰進      第七勅撰集

1180 福原遷都
1180 源頼朝が挙兵
平安時代 1190 【水鏡】

作者未詳      このころ成立か      神代~仁明天皇間の編年体歴史物語である

1189 源義経が討たれる
平安時代 1190 【山家集】

西行法師の家集      自然と人生を歌った平明、清新な歌が多い      このころ成立か

1192 頼朝が征夷大将軍になる
鎌倉時代 1205 【新古今和歌集】

後鳥羽上皇の院宣で藤原定家らが撰進した第八勅撰集      「万葉集」以来の歴代歌人による1979首が収められ、
優雅で華美な情趣、技巧的・象徴的手法が特色である

1203 源実朝が征夷大将軍になる
鎌倉時代 1212 【方丈記】

鴨長明の随筆      日本の三大随筆の一つとされ、人生の無常と日野山閑居のさまを描く

鎌倉時代 1214 【金槐集】

源実朝の歌集      万葉調の歌が多い

鎌倉時代 1220 【宇治拾遺物語】

編者未詳、このころ成立か      196の説話集で、うち80余は今昔物語と重複

1219 実朝が暗殺される
鎌倉時代 1220 【愚管抄】

慈円作の歴史論

鎌倉時代 1220 【保元物語・平治物語】

筆者不明      保元の乱・平治の乱に取材した軍記物語      このころ成立か

鎌倉時代 1221 【平家物語】

平家一門の興亡を流麗な和漢混交文で描いた軍記物語      「徒然草」226段は作者を信濃前司行長(しなのの
ぜんじゆきなが)としているが、成立事情は複雑で多くの諸本が伝わり、成立年次も未詳      琵琶で語られ仏教的
無常観が貫流、国民的一大叙事詩として現在に生きつづけている

1221 承久の乱
1224 親鸞の浄土真宗が広まる
1232 御成敗式目
鎌倉時代 1235 【小倉百人一首】

藤原定家が天智天皇~順徳天皇間の百人の歌人の歌を一首ずつ選んだもの      このころ成立 した

鎌倉時代 1252 【十訓抄】

編者未詳      10に分類した教訓説話集である

1252 鎌倉に大仏ができる
鎌倉時代 1266 【吾妻鏡】

作者未詳      源頼朝の挙兵から87年間の、鎌倉幕府の和風漢文による日記体記録である

1268 北条時宗が執権になる
鎌倉時代 1280 【十六夜日記】

阿仏尼著      愛児の領地回復の裁判のため、京都から鎌倉へ下った時の紀行文      女性的・感傷的な筆致からは、
子を思う母の情があふれ、歌道を憂える誠心にみちている

1274 文永の役
1281 弘安の役
鎌倉時代 1330 【徒然草】

吉田兼好による長短さまざまの243段からなる名随筆      このころ成立か      自然・人生の各般の事象を豊かな
学識、平明な名文で記す      「枕草子」と併称されるが、より思想的      本書が後世にあたえた影響は大きく、戦乱
期を通して知識人に愛読されたほか、江戸時代には広く出版されて、町人層へも浸透した

1333 鎌倉幕府が滅亡
1334 建武の新政
室町時代 1356 【菟玖波集】

二条良基らが編集したわが国最初の連歌集 である

室町時代 1370 【増鏡】

作者未詳でこのころ成立か      元弘の変を中心に後鳥羽~後醍醐天皇間の編年体歴史物語である

1368 足利義満が3代将軍に
室町時代 1374 【太平記】

作者は小島法師とも言われるが未詳      50余年間の南北朝の対立を描いた軍記物語      このころ成立か

室町時代 1391 【御伽草子】

作者・成立未詳      庶民を対象とした平易な説話的短編小説      このころ行われる

1392 南北朝合一
1397 金閣寺を建てる
室町時代 1400 【風姿花伝】

世阿弥が著した能楽論書      能の原理だけでなく舞台芸能の芸術論としても代表的な書      このころ成立した

1399 応永の乱
1404 明との勘合貿易が始まる
室町時代 1438 【義経記】

作者未詳      源義経の悲運の生涯を同情的に描いた伝記物語      このころ成立か

1443 足利義政が8代将軍になる
室町時代 1495 【新撰菟玖波集】

飯尾宗祇が編集した連歌集      1429年以降60年間の作品を集めたもの      準勅撰集である

室町時代 1532 【犬菟玖波集】

山崎宗鑑が編集した俳諧書      俳諧集のはじめで、宗祇・宗長らの作を収録した

江戸時代 1682 【好色一代男】

井原西鶴の浮世草子第一作      8巻54章からなる      主人公世之介の54年間にわたる好色生活を描く

1680 徳川綱吉が5代将軍になる
江戸時代 1688 【日本永代蔵】

井原西鶴の浮世草子      近世初期に富を築いた多くの町人の例をあげた作品である

1687 生類憐みの令
江戸時代 1689 【奥の細道】

芭蕉の、奥州・北陸を経て大垣に至る紀行文      簡潔な文は紀行文中の傑作といわれるが、かなり創作的
この旅で彼の句境は進展      著作は芭蕉没後の1702年に刊行された

江戸時代 1691 【猿蓑】

向井去来・野沢凡兆が編集した蕉風完成期の俳諧集      向井去来は蕉門十哲の一人で、終生、芭蕉の説にそむかず蕉風を守った

江戸時代 1692 【世間胸算用】

井原西鶴の浮世草子      大晦日の町人の生活を描いた20の短編集      町人物の傑作

江戸時代 1703 【曾根崎心中】

近松門左衛門によるの世話物浄瑠璃の初作      大阪で起きたお初と徳兵衛の心中事件を扱ったもの

1702 赤穂浪士の仇討ち
江戸時代 1711 【冥途の飛脚】

近松門左衛門作の世話物浄瑠璃      遊女梅川と忠兵衛の恋愛悲劇を脚色したものである

1709 正徳の治
江戸時代 1715 【国性爺合戦】

近松門左衛門作の時代物浄瑠璃      和藤内が中国明の再興を図った史実を脚色      日本生れの主人公が
大陸で活躍する痛快さが鎖国下の民衆にうけた

1716 享保の改革
江戸時代 1748 【仮名手本忠臣蔵】

竹田出雲・三好松洛らの合作      赤穂浪士の討入りを脚色した時代物浄瑠璃である

江戸時代 1775 【去来抄】

向井去来著      芭蕉の俳論を集成した

1774 杉田玄白らが「解体新書」
江戸時代 1776 【雨月物語】

上田秋成著      全5巻で9編の怪異談を集めた読本の代表作      内外の古典・伝説から取材した

1776 平賀源内がエレキテルを完成
江戸時代 1802 【東海道中膝栗毛】

十返舎一九著      弥次郎兵衛と喜多八の二人の旅の失敗珍事を描く      この年から続刊した

1804 ロシア使節レザノフ来航
江戸時代 1812 【玉勝間】

本居宣長の学問各般にわたる随筆集である

江戸時代 1814 【南総里見八犬伝】

滝沢馬琴の作      八犬士を中心に里見家の再興を描いた読本      全98巻におよぶわが国最大の伝奇小説である

1815 杉田玄白「蘭学事始」記載
江戸時代 1819 【おらが春】

小林一茶が57歳のときの句文集で、彼の代表的著作      この年一年間の身辺雑記や感想などを記す      晩年に
初めて得た女児への深い愛、その死に対する悲嘆に、一茶の人間性や生活意識がにじみ出ている

1821 伊能忠敬の「大日本沿海実測全図」完成